リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

ヴァイスのソナタ25番、51番、95番(10)

2024年04月22日 14時45分10秒 | 音楽系

ソナタ95番ト短調の構成は、Andante, Courante, Gigue, Paisane, Polonaiseの5曲です。全体的にとてもギャラントな香りが濃厚です。ヴァイスの写本にはときどき作曲年が書かれている楽曲があります。例えば1717年にプラハで作曲と書かれているソナタ1番ヘ長調(ロンドン写本)のスタイルとはかなり異なっています。

このスタイルの差はどこから来ているのでしょう。まず考えられるのはヴァイスがまわりの作曲スタイルの変化(ギャラント指向)に合わせて作風を変えていったということが考えられます。もうひとつは、実はシルヴィウスではなく一族のもう少し若い世代(例えばジギスムント)が作った作品であるということも考えられます。

先に紹介した51番も随所にギャラントの香りがしますし、ソナタ形式の萌芽も見られると書きました。定量的な根拠を提示するのは難しくあくまでも主観ですが、51番の楽曲はまだ1717年とか1719年などのように作曲年が書かれている楽曲との連続性が感じられます。しかし95番の、例えば Andanteや Courante なんかはちょっと「手」が違う感じがします。でもまぁS.L.Weiss作ということで番号がついているので、それはそれで議論の末の番号着けだったとは思いますが。