モスクワ写本の現代版がパリのル・ルート・ドレから出版されています。2015年の出版です。この出版社はギターやヴィウェラ音楽、マンドリン音楽、さらには現代音楽や子供向けの楽譜も出しています。リュートとテオルボ関連の編集総括はミゲル・イスラエルが担当しています。彼は私がバーゼルで学んでいたときに一緒に勉強していた人で、バーゼルで学業を終えてパリに移り沢山のいい録音を残しているのはご存じの方も多いのではないでしょうか。彼が担当しているので、このモスクワ写本の現代版は充分信頼していいと思います。
その解説には、「現在モスクワにあるミハイル・イヴァノヴィッチ博物館の音楽図書館が所蔵している」とあります。1976年出版の全音版には中央音楽文化博物館が所有しているとあります。当時館長だったアレクセーヴァ女史からコピーをいただきミヒャエル・シェーファー氏からも助言をもらったともあります。
なにせ1976年当時はソ連だったし、その後ソ連が崩壊しどういう経緯で現在の所蔵場所に行ったのかは定かではありません。これら現代版の出版にもすでに何か歴史の流れを感じさせます。