リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

どういう楽器を使うか、それが問題

2024年05月01日 12時21分39秒 | 音楽系

コンサートを自分で計画したり頼まれたりするときいつも悩むのはどういう楽器を使うかと言うことです。バロック・リュートのソロなのかルネサンスのソロなのか、はたまたアッティオルバートなのかテオルボなのか。たまにバロック・ギターもあります。(実際今年の初めのコンサートではアンコール1曲だけバロック・ギターで通奏低音をしました)コンサートの内容によって異なってくるのです。コンサート前にはリハーサルをするので楽器のチェンジがスムーズに行くように調整します。

調整しなくてはいけないのはどうしてかというと、通奏低音の場合だと調弦の異なる楽器でそれぞれコンサートをこなすのは頭が混乱してしまいます。ニ短調調弦、テオルボの調弦、g-tuning、それぞれ共通音の弦はあるとはいうものの全て五線譜の読み方が異なります。2種類以上の調弦の楽器を交互に五線譜で読んでいると、うっかりして5コースでミを出したつもりが、実はレだったり。これはとても怖いことです。

チェンジの練習をして大丈夫だと思っていても「魔が差す」ことがあります。コロナ前まではこの調整のために一覧表を作って結構ギリギリのところで調整していました。違う楽器で通奏低音をする2つのコンサートがある場合、リハーサルがあるので時期によっては異なる調弦の楽器での練習を一日のうちにしなくてはいけなくなるのです。できるだけそういうことにならないように調整はしていますが、時にそうならざるを得ないときが出て来ました。

しかし幸か不幸か最近はコロナ禍前ほどはコンサートが込み入らなくなってきていますので、通奏低音はできる限りニ短調調弦で行うようにしています。楽器は、声楽ひとりとかフラウト・トラヴェルソの伴奏なラースのバロック・リュート、それ以上の編成だとモーリスのフレンチ・テオルボを使います。フレンチ・テオルボにニ短調調弦の弦をはるので、ジャーマン・テオルボですね。これだとソロも合わせ物も頭はいつもニ短調調弦で、頭がとても楽です。

今年は6月まではニ短調調弦のテオルボ、それから11月まではバロック・リュート、そのあと2月の初めにヴァイオリンとチェロとのアンサンブルがあるのでテオルボです。調弦は同じですけど、弦長が異なるしテオルボはシングル弦なのでそれなりには注意が必要です。今愛知県の某市からルネサンス・リュートを使ったコンサートを頼まれていますが、まあどうしましょうねぇ、まだ返事をしていませんがやっぱり断った方がいいでしょうねぇ、時期にもよりますが。