リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

鏡像

2024年12月10日 11時45分33秒 | 音楽系

鏡は己の姿を見るツールとして古くから使われてきました。私は日本史の教科書に出ていたナントカの鏡の写真を見て、こんなに沢山の装飾をしまくってどこに姿を映すんやとつぶやいていたお間抜けな高校生でしたが。

バーゼルにいたときの下宿には縦長の大きな鏡があり、それに自分の演奏姿を見ながら毎日練習していました。鏡を見ると自分の技術的な問題点がよくわかります。鏡で見るのは静的なフォームより動的なフォームを見ることの方が重要です。左手はここをこういう形で弾きましょうという静的なフォームはほんの序の口、少し動かすとそのフォームが崩れがちになります。そこを鏡を見て矯正します。

さらにずっと動いている鏡像を見ながら手のブレがないかどうかをチェックします。実はここがもっとも重要なところです。自分の左右指の体感覚と鏡の鏡像をシンクロさせます。

以前バーチャル楽器のすすめというタイトルで連載したことがありました。自分では当たり前だと思い込んでいましたが、鏡の話をしていて実は絶対に押さえておかないといけないポイントがあることに気がつきました。

連載では頭の中でバーチャル楽器を構成し、左手がどこを押さえているかのイメージを作りそれを音と一緒に憶える、というような話をしました。そこで注意しなければいけないのが、左手が押さえているイメージとはどんなものかということです。それは鏡に映した左手ではありません。バーチャルですからもともと「視点」はありませんがあえて言うなら指板を真正面から見たイメージです。ですからネックの方向は右上方向、1コースが一番下です。もっともネック自体のイメージはしませんが。

と書いてみましたがよく考察してみると実際は違うみたいで上下左右という概念はなさそうです。弾いているときに直接指板をのぞき込んで見たイメージと鏡に映っているイメージは同じかも。なんか頭が混乱してきました。イメージのスタートは人が演奏する指、または自分が演奏しているときに見る指、これらは同じものという認識です。でも鏡に映っているイメージは違うみたいですが、よく見て検討すると同じようにも思えます。ますます混乱してきました。(笑)少なくともネック側から見た指イメージがスタートではないことは確かですが。

バーチャルイメージを作ることができる人は人の演奏や映像を見ているだけで(たとえ音が出ていなくても)何調の曲かくらいは分かるようになるのは確かです。


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