1976年に当時オランダのデンハーグ在住だった佐藤豊彦氏の自宅に1か月近く居候させていただいたことがありました。そのときに加納氏のバロックも持参しました。当時飛行機で楽器もいっしょに持って行くとき、楽器は荷物として預けても特に問題はありませんでした。
というのは、今と違って飛行機までのベルトコンベアは平面的で、今のようにドーンと上から落ちるような部分がなかったからです。79年に渡欧したときも同様で、楽器のダメージは全くありませんでした。今のように1m以上の高さから落とされたら大体の楽器は壊れますよね。
佐藤氏宅で居候中は氏の楽器を弾かせてもらったり(実は大きな声では言えませんが留守番のときにはいろんな楽器を弾きまくりました)、氏に加納氏の楽器を弾いてもらい感想を聞かせてもらったりました。
氏の感想で印象に残っているのは「よく鳴っていい楽器なんだけどなんか違うんだよなぁ」というつぶやきでした。実はその前にこっそり氏の楽器を弾かせてもらったとき、私は自分の楽器が似て非なるサウンドがするのに驚いたので、氏のつぶやきにがっかりしつつも納得しました。氏の楽器にはニコやファン・デ・ゲーストなどがありました。
というのは、今と違って飛行機までのベルトコンベアは平面的で、今のようにドーンと上から落ちるような部分がなかったからです。79年に渡欧したときも同様で、楽器のダメージは全くありませんでした。今のように1m以上の高さから落とされたら大体の楽器は壊れますよね。
佐藤氏宅で居候中は氏の楽器を弾かせてもらったり(実は大きな声では言えませんが留守番のときにはいろんな楽器を弾きまくりました)、氏に加納氏の楽器を弾いてもらい感想を聞かせてもらったりました。
氏の感想で印象に残っているのは「よく鳴っていい楽器なんだけどなんか違うんだよなぁ」というつぶやきでした。実はその前にこっそり氏の楽器を弾かせてもらったとき、私は自分の楽器が似て非なるサウンドがするのに驚いたので、氏のつぶやきにがっかりしつつも納得しました。氏の楽器にはニコやファン・デ・ゲーストなどがありました。
ありがとうございます。
先生のコメントを数回読み直していて、この事は、様々な分野に当てはまると思いました。
とても納得のいくご説明に靄が晴れました。
感謝申し上げます。
楽器の現物から得られる情報でさえそれは全体からすると極く一部、もちろんそれも製作家の受容力によって異なるでしょうが、それ以外は製作家が補うものです。従って私はそもそも「オリジナルに忠実」という概念自体が存在しえないと考えています。せいぜい「オリジナルを基に」でしょう。「オリジナルを基に」ニコが、ファン・デ・ゲーストが、マイケルが、スティーブンが、モーリスが、ラースが(以下略)作るわけです。同じモデルでも彼らの楽器は皆音が異なるでしょう?
またいい楽器は合成樹脂だろうとガット弦だろうとそれぞれにいい音がなります。ナイロン弦で鳴らない楽器がガット弦を張ればいい音が出る楽器になる、ということはありません。まぁせいぜい多少マシになったと錯覚する程度です。それも張ったハナだけ、ガット弦が古くなったまま使っているのであれば前よりひどくなります。
製作家個人の問題ですか。
なんとなくですが、わかる気がするようで靄がかかってる感じです。
欧州でもピンキリで、これも個人の問題に拠る。。。
興味深いです。
伝統的な歴史的に忠実なものを好むのか、聴衆を前に説得力る音量の大きいものを好むのか、歴史的に拘るなら全てガットを前提にしたオリジナルに忠実な設計のものが良いのか、ナイロン弦に対応できる補強重視の現代的な設計のものが良いのか・・・、
この問題を語る時、先輩諸兄、愛好家さんも喧々諤々の議論多きところだと思います。私も以前、会で持論をぶち上げてしまい気まずくなったことがあります。ですから、ここは専門家の立場からの先生のご意見をよくお聞きしたい点なのです。
どうぞよろしくお願いいたします。
核心が出てきた感じです。
何か違うんだよなあ。。という印象こそ欧州の名器を弾かれてきた佐藤先生の正直な感想と、先生がこっそりと弾かれて即座に感じ取られた違和感なのだなと思いました。
まず第一に、当時はネットも無い時代で、ファクシミリでオリジナルの設計図なども参考にできず、本邦では見様見真似的に、製作されていたのでしょうが、欧州には本物を検分できる環境があり、やはり違うのだと思います。ニコやゲーストもオリジナルの検分には相当なご経験があったのだと推察します。
欧州製と日本製の決定的な違いとは何か。それは先生が次回のテーマで語っていただけると期待しておりますが、
よく寝かした古材等の吟味の要素もあるのでしょうが、それ以外にも大きな要因があると思います。現在でさえも、日本製のリュートでは達成できていない点があるのか、なぜ、欧州リュートを選定されるのか、私にはわからない点も多く、それもご教示いただけると幸甚です。
次回のテーマ(6)を楽しみにしております。