リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

リュートの調弦の仕方(12)

2023年10月04日 15時41分04秒 | 音楽系
調弦(フレッティング)は1箇所だけが特別にきれいになっているようでは必ずどこかものすごく狂っている部分が出てきたり、オクターブが合わないということが起こります。ルネサンス・リュートでは4つの「なんとか許容できうる4度音」とそこそこきれいな長3度のバランスが取れていることが重要です。

今まで述べてきた調弦法はどの調にもほぼ対応できるオールラウンドに近い、つまりあまりフレットを移動させて調整する必要のない調弦法・フレッティングです。特定の調を狙ってもっと「攻めた」音程になるようフレットを移動する方法もあります。そうした場合は別の調になるとより多くのフレットの移動しなおしをする必要があります。

ロバート・ダウランドの「とりどりのリュート曲撰」に収められた父ジョンの論文の最後にはこのように書かれています。

『このようにリュートが調弦されていると響板下の内部からこれらの音程間隔すなわち音空間が聞こえてくるでしょう。そして当たり前のようにスムーズに自分の耳でリュートの調弦ができ、またフレットの位置調整もできるようになるでしょう』

このシリーズでご紹介した調弦の方法はとても難しいと思います。そのようなことは不可能だとおっしゃるあなた、まずは音の出るチューナーを買ってそれに合わせてみるところからスタートしてはいかがでしょうか。何事もやってみないと出来るようにはなりません。

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