リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

バッハカンタータの楽譜

2008年10月10日 18時50分47秒 | 音楽系
ベーレンライターから出ている、新バッハ全集のスタディエディションが届きました。これはカンタータのみですが、ペーパーバック版で全19巻で10万円ちょっとです。結構高価ではありますが、音楽の内容を考えるとそれだけの価値が充分あると思います。むしろ安いといっていいかも。一家に一冊じゃなかった、19巻。(笑)

実は旧バッハ全集のDVDは買ったんですが、最新の研究が反映されていませんし(なんせ19世紀に出版したものですから)記譜もハ音記号のオンパレード、それに少しかすれたり字がつぶれているところもあったりで、あまり使い勝手はよくありません。まぁ、やっぱりお金だけのもので、いい情報を手に入れるにははやりそれだけのお金を払わないといけない、という見本みたいなものです。

インターネットで在庫のあるところを探してみましたら、ササヤとアマゾンにあることがわかりました。どちらに注文しようかと迷いましたが、ササヤの方が少し安かったのですが、アマゾンはポイントがたまるかもと思い、アマゾンに注文しました。実は注文の最後の最後というか、確定ボタンを押してからポイントがつかないことがわかり、選択を誤ったことに気がつきました。書籍を10万超も買えばかなりのポイントが、と思ったのですが、ちょっと迂闊でした。

今日ペリカン便で届いたのですが、実は二個口あるうちの一個(第1巻から第9巻まで)しか送られてきていないことが梱包を解いてからわかりました。そこでまずペリカン便に確認、ペリカンさんの配達忘れではないことがわかりました。



そこでアマゾンに連絡しようかと思い、HPを見てみましたがいったいどこにメイルアドレスがあるのか探すのが大変です。配送完了のメイルにはヘルプを見るとよい、とあったので、そのページに飛ぶも、下まで見ていってもいっこうにそれらしいものはありません。あるのはFAQばかり。だいたいこういうインターネットのサイトって解約とか問い合わせをしたい人には恐ろしく不親切でどうせずっと奥の奥にあるんだよな、ってブツブツいいながら、「奥の奥」まで見てみましたが見あたりません。

アマゾンよ、こんなことでお前大丈夫か?といいたいんですが、それすらどこにも伝えることができないもどかしさ!仕方ないのでページの始めに戻ったら、右の方に「カスタマーサービスに連絡」と書いた結構でかいバナーがありました。さすがアマゾンさん。(笑)(笑)最初からすぐには見つからないという先入観を持ってたのがいけなかったんですね。第10巻以降が来るのが楽しみです。

バーゼル里帰り記08最終回

2008年10月09日 11時13分28秒 | 音楽系
2時間以上休み無しで歩き回ったのでさすがに疲れました。こういう時にはトラムです。久しぶりに16番のトラムに乗って帰ることにしました。



バーフューサ広場から乗りましたが、チケット自動販売機がデジタル式の新しいのになっていました。旧式のは調子が悪いときは5フラン玉とか2フラン玉を受け付けないときがよくありました。そういうときは効果のギザギザを券売機の表面で少しこすって再投入するとうまく行くときがありました。この技はみなさん使っていましたが、新型券売機ではこういう技はもう必要ないでしょう。

切符の料金は3フランでしたので、5フラン玉を恐る恐る入れてみましたら、日本の自販機のようにすんなりと2フランのおつりと切符が出てきました。スイスも日本並になってしまいましたねぇ。実は旧式自販機のような融通のきかない自販機、結構好きだったんですが・・・

日本並みと言えば、鉄道の近距離用の車両も新型が導入されていました。よくヨーロッパの鉄道は次の駅のアナウンスはないし、発車のときも何も言わないで出発する(それも時間通りではなく)なんて言われますが、スイスに関してはそれは20年くらい昔の話です。出発のときはちゃんと笛の合図がありますし、少なくとも出発時間は正確です。次の駅の車内アナウンスもちゃんとあります。急行の場合はアナウンスは3カ国語で行われます。でもローカル線のアナウンスは車掌が適当にやっているのか、放送設備自体があまり良くないのかほとんど聞こえません。一応やっているということは分かりますが・・・



それが最新のローカル列車ではクリアなアナウンスに加え、各車両にディスプレイまであります。それと驚いたのは、列車の入口がホームとツライチになっていたことです。ヨーロッパの列車の入口は必ずホームと段差があり、よっこいしょっとステップを2,3段昇らなくてはいけません。それが日本の車両のように段差なしです。しかも車両とホームの隙間には、「橋渡し」までついていました。なんと細やかな!まるでヨーロッパ的ではありません。日本的というか現時点では日本を追い越してますね。

ヨーロッパの鉄道はホームが低かったんですが、だんだん高くなってきました。跨線橋も駅中店も増えてきました。車内アナウンスもされるようになってきました。こういうことって日本ではずっと前からそうでしたが、まるでヨーロッパの鉄道が日本の鉄道のありかたをまねしているかのようです。でもヨーロッパカブレの人はそうはとらえずに、駅名のうるさいアナウンスなしで静かに到着する、これがヨーロッパの鉄道のいいところ。それにひきかえニッポンは・・・式のことをよく言っていました。何もアナウンスなしで到着するのは土地の人でもやはりちょっと不便なんでしょう、何でも便利にする日本式が支持されているようです。私たちもうかうかしてられませんね。ニッポンもがんばれ。(笑)

バーゼル里帰り記08(12)

2008年10月08日 11時15分12秒 | 音楽系
先日モーリスからメイルが来まして、ル・パコではもう雪が降ったそうです。これは異常に早いらしいです。

さて、9月16日。本日が最後の滞在日です。明日は成田に向かう飛行機に乗らなくてはなりません。今回は滞在期間が短いのであわただしいです。朝、駅のコーヒーショップで、朝食を取りながらテレビを見ていましたら、日経平均がえらく下がっているので驚きました。11600円台でしたからひよっとしたら500円以上の下げ?なんかこっちに来ている間に世界の経済は大混乱しているみたいです。リーマン破綻でAIGも危ない、ということはアリコも・・・帰る頃には収まっているといいんですが。

(注:帰る頃に収まるどころかますますひどくなっています。本日10月8日の日経平均は9700円台、AIGはお助けが入りとりあえず破綻は回避、アリコは本体から切り離され身売り中。バーゼルにいたころは激動の始まりに過ぎなかったんですね)

今日はチラシなどで使えそうな写真を撮りに市内を歩き回りました。そのために重くデカいキヤノンの一眼レフD40をわざわざ持ってきたんですから。チラシの素材になるのは、別に名所旧跡でなくてもよく、要はどこに目をつけて写真を撮るかです。



何げに取った写真でも意外にいいものがあります。昨年のビアンカ・ローザコンサートのチラシ写真なんかがそのいい例ですが、今日はその同じ場所に行って、チラシとして加工することを前提として何枚か取って来ました。そこを撮りながら思ったんですが、なるほどここはイケます。どこかって?それはヒミツです。(笑)



あと古い町並みの残っているところ(こういうところは意外と使えない)や、教会などをまわりました。残念だったのは天気があまりよくなかったことですが、それでも滞在中では今日が一番マシな日でした。これでかなりの量の写真ストックができましたので、一眼レフを持っていった甲斐がありました。

バーゼル里帰り記08(11)

2008年10月07日 12時22分26秒 | 音楽系
ほどなくモーリスがホンダの車で到着。彼の家の近くのレストランで食事をすることにしました。ル・パコのような田舎でもいろいろ変化があり、レストランに行く途中も新しい道を造っていました。その工事現場を通り路から少し昇った平らな土地にモーリスお薦めのレストランがありました。車から降りると本当に空気がおいしいです。モーリスの楽器のよさはこういったすばらしい環境で作っているというところから来ているのかも知れません。レストランの本日のお薦めは、ダック料理。いやぁおいしかったです。料理の写真を撮ろうと思いましたが、お客さんが地元の人ばかりなので、なんか気がひけました。



で、文字で表現してみますと、盛りつけは、ダックの切り身がふぐ料理の盛りつけみたいにぐるっと皿を一周。真ん中にライス(インディカ米)が盛ってありました。その隙間に野菜が少々という感じです。飲み物はビールとワイン、デザートは近所の山でとれたベリーでした。

食事のあとはモーリスのスタジオへ。そこで新しく作ってもらう楽器のスペックを詰めました。リュートは工業規格化されていないので形や大きさがまちまちです。店へ行ってリュートください、と言ってリュートを買うと、買う店によってみんな異なるサイズや形状の楽器を売ることになります。もっとも実際そんなリュート屋さんは存在していませんが。



だからリュートを買うときは、大体いつ頃の時代の、どういうボディ形状で、弦の数は何本で、というような細かい指示が必要になります。ま、バロック・リュートください、って買い方もありますけどね。(笑)でもその場合、全く予想もしなかった形のバロック・リュートが届くこともあり得ます。

約2時間くらいかけてあれやこれやと細部のスペックを詰め、そのあとはお茶を飲みながら雑談。でもホント、モーリスはいいところに住んでいます。

帰りはシャテル・サン・ドゥニ駅近くのチーズ屋さんでおみやげ用のチーズを買いました。ここで売っているものは「地チーズ」で、ものすごくクセはありますが、それはもう美味なチーズです。こういうのって日本で買うと目の玉が飛び出るような価格がついているんですよね。(笑)

バーゼル里帰り記08(10)

2008年10月06日 11時28分41秒 | 音楽系
9月15日、リュート製作家のモーリス・オッティガー氏のところに出かける日です。彼はレマン湖の少し北に位置する、ル・パコという田舎に住んでいます。とても空気がおいしいところです。ここはフランス語地域ということもあり、食べ物がとてもおいしく、今日もどんなおいしいものをごちそうしてもらうかとても楽しみです。

朝10時1分のベルン方面にのる列車に乗ろうと家を出ましたがえらい寒いです。これではさすがに長袖シャツの重ね着ではとてももちません。道行く人は皆コートを着ています。列車の発車まで少し時間がありましたので、スーパーによって安物のセーターでも買っていこうかな、と思っていたら、大家さんにばったり。

「いやあ、ほんと寒いですねぇ。あんまり寒いのでこれからセーターを買いに行くところなんですよ」

「おお、それなら、私のコートを貸してあげるよ。おいで」

ということで、また家に戻り、彼が持っている一番ちいさいコートを借りました。かなり分厚いコートでしたが、これで外にでても全然暑くありません。気温は多分10度を下回っていたのではないでしょうか。列車の発車時間がせまってきましたので、早足で駅へ。家は早足で2分、オリンピック級の人が走れば20秒以内で駅に着く至極便利なところなのでいろいろ助かります。


駅前より。この道の奥がウチです。

家を出る前にモーリスに電話をしておいて、パレジューで待ち合わせをすることに。モーリスの家に行くには、毎時1分発のインター・シティ(なぜか英語です(笑))に乗りベルンで乗り換えます。ベルンからの接続は数分で大変スムーズにつながっています。次にパレジューという田舎で下車、そこから三重県北部を走っているナローゲージの北勢線のような鉄道に乗り換えます。これもうまく接続されています。この鉄道は北勢線よりは線路の幅は広いですが、列車そのものはまるで遊園地内を走っている列車のようにゆったりと走ります。そして走ること10分でシャテル・サン・ドゥニというところに到着します。いつもはここでモーリスの車に乗るのですが、今日はパレジューまで来てくれるというので、パレジューの駅で待つことに。


少しかすんでいましたが、いい天気です。

待ち合わせの時間より少し早くつきましたので、駅の付近を歩きながら写真を撮ることに。せっかく大きく重いキャノンの一眼レフカメラを持ってきたんですから。パレジューはバーゼルと違い晴れてはいますが、風がありそれがまた冷たいです。大家さんから借りてきたコートは大正解です。

バロック音楽の旅08第2回

2008年10月05日 11時59分51秒 | 音楽系
10月4日はバロック音楽の旅08講座第2回、「鈴木美香チェンバロコンサート」でした。ことしからコンサートとレクチャーを分離して、コンサートは大山田キリスト教会をお借りして催すことにしました。ここの教会は比較的新しくなかなか音が美しく響きます。牧師さんがドイツ人なので彼の常識(マ、キョウカイナラコノクライノオンキョウハヒツヨウデースって感じ(笑))が反映された結果なんでしょうか。



鈴木さんは今回、名古屋在住のチェンバロ製作家安達正浩によるフレンチタイプのオリジナル楽器を使用しました。この楽器はやや小振りなので可搬性に優れている楽器でピンクのつや消し塗装に白い吹きつけ紋様が入っているとても美しい楽器です。まだ製作自体は進行中とのことで、蓋の裏側の絵もまだ入っていませんでした。どんな絵柄が入るのでしょうね。今から楽しみです。



プログラムは:

ジョヴァンニ・ピッキ(伊1572 -1643)作曲   トッカータ
ヤン・ピーテルスゾーン・スウェーリンク(蘭 1562 - 1621)作曲涙のパヴァーヌ
ルイ・クープラン(仏 1626 - 1661)作曲 プレリュード イ短調
フランソワ・クープラン(仏 1668- 1733)作曲 修道女モニカ
ジャン・フィリップ・ラモー(仏 1683 - 1764)作曲 未開人、エジプトの女
ドメニコ・スカルラッティ(伊 1685 - 1757)作曲 ソナタ 嬰へ短調 K25
ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデル(独 1685 – 1759)作曲 第5組曲 ホ長調
プレリュード-アルマンド-クーラント-エアとヴァリエーション(調子のよい鍛冶屋)

ルネサンス後期、イタリアの初期バロックからドイツの後期バロックまで、チェンバロ音楽を俯瞰するプログラムです。修道女モニカのあとに休憩をはさみつつ、私や鈴木さんのトークをまじえて進行しました。

鈴木さんのチェンバロは各時代の様式の違いを的確にひきわけ、教会の音響と相まって大変魅力的でした。受講者の皆様もきっと満足していただけたのではと自負しております。次回第3回講座は、片岡博明フラウト・トラヴェルソコンサート(チェンバロ 鈴木美香、テオルボ 中川)を予定しております。

バーゼル里帰り記08(9)

2008年10月02日 10時52分04秒 | 音楽系
教会にはあと2人の日本人がいました。Wさんをご存じらしく、休憩のときにこちらに来ていろいろWさんと話をしてらっしゃいました。私も自己紹介をすると、どうも私をご存知らしいので驚きました。実は今から26年前にデュルビーのバロック・リュートを買った際、パリ経由で日本まで運んでもらい、それを成田で受け取ったことがありました。運んで頂いた方はフラウト・トラヴェルソのKさんという方でしたが、そのKさんが目の前にいる方でした。26年ぶりです。いやー、ホント奇遇ですねぇ。すっかりいいおじさんになってしまったと向こうも思ってらっしゃるでしょうね、口には出されませんでしたが。(笑)


この楽器を1982年8月にKさんに運んで頂きました。

コンサートが終わり、駅前のミスター・ウォンで今村氏、K氏らと共に食事をすることにしました。日曜日のそれも10時前でもやっているミスター・ウォンはスイスにあって貴重な存在です。ミスター・ウォンはアジア系の無国籍系(笑)セルフサービスレストランです。バーフューサ・プラッツ近くに最初に店を出しましたが、お値段が安く味はそこそこ、お腹はふくれるので人気で、ほどなく駅前に進出してきました。バーゼルに来てから私はすでに行っているのですが、以前より店がきれいになってましたので、はやってるんでしょうね。ここだと、20フラン以内で食事ができます。日本だとせいぜい600円くらいのメニューですが、スイスは人件費が高いんです。



食事が終わってK氏らはクラインバーゼルにある宿に向かうので別れました。今村氏は鉄道で帰るというので、駅まで一緒に向かいました。23時05分のベルン行きの発車まで少し時間があるので、跨線橋の中で立ち話をしていました。ふと前をみると、私たちがいる向かい側にK子さんがいらっしゃる。彼女は以前バーゼルで勉強されていた方ですが、もう日本に戻っているので、こんなところでしかもこんな時間に会うとは思いもよりませんでした。彼女に聞くとこちらに来ることがまだ時々あるとのこと。これまた奇遇。

今日は懐かしい人に二人も会いました。2日前のロザリオにしてもそうですが、この街は1年ぶりにやってきても色んな人にばったりとよく会う所です。

金融危機

2008年10月01日 10時36分29秒 | 日々のこと
アメリカ下院で金融安定化法案が否決されました。昨日の朝刊では金融安定化法案が可決の見通しと書いてあったので、大方の人(多分下院議員自身も含むかも)は可決と見ていたのでしょう。

でも僅差ではありますが、否決です。うーん、アメリカの議会にはアホな人が多いのかなぁ、とは言いいませんが、もうちょっと状況をしっかりと見てもらいたいものです。少し修正を加えて議会に再提出、再可決をするということも考えられているようですが、最初からきちんとしてほしかったですねぇ。このことで、今回の金融危機は政府の対応のまずさも大きな原因のひとつだと市場は理解してしまうでしょう。ですから、再可決をするなら、7000億ドルの3倍くらいは支援金額を盛らないと後手に回ったと思われます。この際だから、ドーンと行きましょう。(笑)

実はこの金融危機は、私のような一般庶民にも影響が出ています。実はなけなしの金をAIGの日本支社アリコに預けています。AIGの危機を知ったのはバーゼルにいたときで、本当に驚きました。日本と連絡を取るのに時間を取られてしまい、本当はホピーのところ(旧下宿から徒歩20分です)に行って夕食をと思っていた計画が吹っ飛んでしまいました。さて、出かける前にちょっとインターネットでも、とヤフーを見たのがいけませんでした。今にしてみれば、知らぬが仏の方が良かったようです。

幸いにもAIGの破綻は回避され、アリコも今のところ無事です。でも世の中どうなるか最近は特に分かりませんから、油断はできません。以前の共栄生命のときも被害にあいましたから・・・しかい今回ホピーのところに行けなくなったというのは、すでに大被害を被ったわけです。(笑)

今朝アリコから手紙が来ていました。安心してください、と書いてありましたが、そりゃそういうでしょう。アリコは国内で管理されているので、破綻した場合預けてある金額の9割は戻るのですが、10割ではないですからねぇ。ほんと、しっかりしてください、頼んます。