院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

舞台が始まる前

2012-02-09 04:37:03 | 芸能
 クラシックファンなら、オーケストラが始まる前、まだ幕が閉まっているときの調音の音にわくわく感を覚えるだろう。

 実は能にも同じようなことがある。舞台が始まる直前に、楽屋から笛の音が聞こえてくるのだ。これには笛の準備体操の意味と、これから始まりますという意味がある。

 曲は決まっていて、曲名を「調べ」という。(能楽関係者は「お調べ」という。)

 能楽ファンは「調べ」が聞こえてくると、鳥肌が立ってくる。人間の条件反射を利用した上手い演出である。

 クラシックにせよ能楽にせよ、それだけで食べていくのは大変である。その上、体調も管理しなくてはならない。地謡方は声が命だから、風邪もひけない。公演当日、風邪をひいて声がかすれたら、もう何ともならない。

 そうした命がけとも言える公演だから、開演直前には、いやが上にも観客のテンションは上がるのである。