ユニックRCを修理してあげてから、付き合いが続いている方から、一風変わった製品の修理依頼があった。
硬貨を選別して、金額までカウントしてくれる「COIN SORTER」というものだ。
ガソリンスタンドの売り上げ計算に使っている様だ。
硬貨を内部テーブルに運んでくれる羽根が途中で止まってしまうという現象の様で、同一品を購入したものの、しばらく使っているとまた同じ現象になったということで2台送って来た。
少ない硬貨では、完全なチェックが出来ないので500円*10枚、100円*50枚、50円*50枚、10円*50枚、5円*50枚、1円*50枚も送ってもらった(合計13,300円)。
分解してみると、硬貨の表面凸凹でプラスチック素材が削られる様で、プラスチックには円周状にスジが入っており、その削られた粉が赤外LEDや赤外トランジスタに付着していた。
これを綺麗に拭き取り、更に内部の回転台も滑らかに仕上げて摺動部にはセラミックグリスを塗布した。
組立直して、カウントさせると、新しい方は問題無くなったが、古い方は100円の中に5円が1個間違って落ちて、金額が+95円となる場合がある。
しかし、何回かやっているうちに、誤カウントも無くなり、途中でエラーストップすることも無くなった。
合計金額以外にも、各硬貨別の金額もスイッチ切り替えで表示出来る様になっている。
どの様な原理なのか、蓋を外した状態で見てみると、硬化の直径で分類するという、意外と簡単なものだった。
小さい方から順に1円/50円/5円/100円/10円/500円で、機械の受けボックスもその順番に並んでいる。
硬貨を入れると送りの羽根が回り、下の傾斜したテーブルにある量の硬貨を落とす。
この羽根は常時回転してるのでは無く、ある程度の硬貨がテーブルに落ちたら停止する様になっている。
傾斜したテーブルは下の固定台と上の回転台が密着していて、回転台に空いている穴に硬貨が、はまって行き、回転するが、固定台に空いているスリット(クマノフ様から指摘が有り、穴では無く、固定側はコイン径に合わせたスリットになっています)スリットの大きさを各硬貨に合わせているので、その大きさにあった穴に来た時に落ちる仕組みだ。
回転台には硬貨が残っているかの検出センサー、回転角度の検出センサー、コイン通過でカウントするセンサーが取り付けられている。
硬貨をカウントした後も羽根が20パルス回り完全に硬貨が無いことを確認してから停止する。
1円 φ20
50円 φ21 差1mm
5円 φ22 差1mm
100円 φ22.6 差0.6mm
10円 Φ23.5 差0.9mm
500円 φ26.5 差3mm
と、やはり5円と100円の違いが少ないので、その様な現象が起こりやすい様だ。
動作確認でOKとなったが、もう1度、カバーを取ってみると、プラスチックにはまた筋が入っていた。
依頼者には、エラーが出る様になったら、エアガンに内部と外部(コイン検出)からエアガンでプラスチック粉を飛ばす様お願いした。
おもちゃ修理にも通じる、仕掛けの面白さを味わえた。