えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

いちにち一考

2008年08月25日 | 読書
ほぼ二日間ねむっていました。
で、いろいろさぼったと。

今日はさすがに動こうと、起きてヤクルト系の
飲み物を飲んだらパッケージに「高血圧用」

なんだか指先がとろりとします。
あう。


雨の日はほんとうに眠くなります。
ネコと一緒です。
無条件に家にいても良いような気がして、
気温の冷たさがお茶をおいしくしてくれるせいで、
本を繰る手も止まります。

ガルシア・マルケスの短編をやっと読み終えて
くたびれました。
『十二の遍歴の物語』(新潮社・旦 敬介訳)をだらだらと。

くたびれるのは、このヒトの独特の暗さ。
いつも、このヒトの短編を読むとつかれてしまいます。
アップダウンが全くないにも関わらず、情熱的な文章が、
ひたすら淡々と繰り返されるからです。
たとえば、

「マリア・ドス・プラぜーレスはコブラのように燃える瞳で
彼をにらみつけ、金縁眼鏡の向こうに情熱のない瞳を見、
猛禽のような歯、湿り気と闇に慣れた動物の雑種のような手を見た。
あるがままの彼を見た。」(同書130Pより)

単語自体は「コブラ、猛禽、雑種、闇」どれも、イメージと響きが
強力で、うっかり使いどころを間違えるとただ暑苦しさに流れがち
になる言葉なのですが、それをこれほど並べて、まったく逆の、
取り澄ました傍観者になれる文章はそうそうないと思います。

ただ、翻訳ものはどうしても、訳者の日本語の感覚が現れてしまう
ので、その点、鼓 直・木村栄一訳の『エレンディラ』(ちくま文庫)
の方が日本語の文章はきれいだと思います。
作品の内容は、質が違うので比べられません。
一方が洋画のようなファンタジーなら、もうひとつは
アンデルセンのようなファンタジーだからです。
いずれにしろファンタジーであることには変わりありませんが。

どちらも浮遊感のある物語集です。
誰かの心に刺さるような、激しさはないけれど、
穏やかで冷たい。
短編集なのに読むときは腰を入れないと、文章に負けてしまいます。

こういう雨の日なら、夜に読むほうが良いかもしれません。

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