大田・生活者ネットワーク、奈須りえです。大田・生活者ネットワークは、ただいま上程されました第1号議案 平成24年度大田区一般会計歳入歳出予算に反対の立場から討論いたします。
昨年3月11日に起きた東日本大震災とそれに伴う原発事故は、私たちの暮らしに未だにさまざまな影響を及ぼしています。
これらを単なる地震にとつなみによる天災としてその現象面だけをとりあげ、「きずな」と「がんばり」で解決しようとしていますが、それだけで、私たちのこれからの暮らしを守ることはできるでしょうか。
東日本大震災と原発事故による影響を、それまで私たちの社会に内包してきた様々なシステムの劣化からくるものととらえなければ、目前にある課題も、そして、これからさらに進んでいく高齢化・少子化・人口減少・ひとり世帯の増加、グローバル化等々に対応することもできないと考えます。
昨年平成22年度予算の討論で発言した「政治不信」はますます進んでいますが、私たち大田区議会は、そうした政治不信を払しょくできるだけの議会になっているでしょうか。
現在、大田区議会では、議会改革を標榜し取り組んでいますが、表面的な改正を「改革」とよび検討チームをたちあげただけで区民の期待する「議会」にはほど遠い状況です。
地方政府は、二元代表制により執行機関である行政とその代表、そして、それをチェックする立法機関である議会とで構成されていますが、現状の行政を容認し追認する議会であれば、区民にとって議会は無用の存在です。その結果、すぐれた、強いリーダーシップを兼ね備えた首長が統治すればよいというのが最近の風潮ですが非常に危険なことです。民主主義が危機的状況にあるといっても過言ではないと思います。
一般市民にとっての議会改革とは、「定数削減」であり、自らの代表の発言権を狭める「改革」を何の疑問もためらいももたずに発言する現状を私たち議会は真摯に受け止めなければなりません。
震災以降、この一年間、活者ネットワークは、
・震災とそれに伴う原発事故による、大口事業者としての東電ではないPPS事業者からの電力購入の問題をいち早く提案しています。
・また、放射能の区民生活への影響についての区の責務を明確にするための提案も率先して行ってきました。
・他にも、ますます進んでいく少子化・人口減少に伴う労働力人口の減少に対応するための子育て支援・就労支援策については、具体的な数字を示し、1歳児保育の予約制の導入とそれに伴う認証保育所の経済負担を認可と同じにするための大田区独自の支援策
・児童館改革
・職員配置を可視化するなど民営化の効果についての具体的な検証
・規制によるまちなみ誘導と社会変化に対応したまちづくり政策
・財政改革
・入札制度改革
・災害廃棄物広域処理の問題
など様々な分野において、現状の課題を具体的に示すとともに、その解決策についても具体的に示してきました。
これらの指摘に加え、平成22年度決算において、財政悪化の要因を外的要因に押し付け、大田区の課題を放置している指摘を行い、民営化の効果を検証できる状況を作ること、大田区の人件費相当分を見えるようにすること、施設整備費が他自治体に比べ割高であること、などを提案しましたが、24年度予算には全く生かされていません。
それどころか、今回の予算においも、一律5%シーリングをお題目に、たとえば、人が要の男女平等推進センターでの「たんぽぽ相談などの相談事業」を内容無視単なるコスト削減の入札に変えています。予算書で20万円弱の経費削減をよくやったと評価するのが今の大田区なのでしょうか。
一方で、今年の予算でも、コンサル事業と箱もの事業が目立ちます。政策の策定まで民間に任せ、行政の役割は一体なんでしょうか。
また、施設老朽化に伴う整備は重要ですが、漫然と施設整備を繰り返せば、財源は枯渇します。足りなくなったら国がなんとかしてくれる、増税するだろう、自分はもういないという感覚としか思えない現状は、国云々以外はそのまま現在の日本政府の在りかたと重なります。
相談事業という人が要の事業であるにも関わらず、お構いなしで、20万円の経費削減にこだわる一方で、入札制度改革は一向に進みません。奇しくも3月24日の読売新聞に大田区入札3割不成立。予定価格上回り「割高」随意契約という記事が掲載されました。
入札制度改革を放置し2年間で4億円割高という指摘でしたが、区の「今後はもっと競争を促す仕組みを考えたい」とは、議場で私が入札における競争性の担保についての質疑に対する答弁と大きく異なるもので、放置した結果を区は厳しく受け止めるべきですが、こうした改善策も24年度予算には盛り込まれていません。
民間外資系投資会社に20年間そのあり方そのものに大きな問題のある、糀谷工場アパートは今後20年にわたり、毎年7347万円総額14億7000万円もの負担が伴います。以前に行った仲六郷二丁目の土地などもそうですが、こうした後年度負担を伴う債務負担行為もまた増えてきています。
一方で、民間活力の導入ということで伊豆公園学園のPFI事業が採用されています。この工場アパートに似た側面があり、民間企業にどうリスク負担させるとともに、適正な利益をあげて良好な区民サービスを提供していただくかの仕組み構築が重要な時代に入っていますが、大田区は、それができていません。そうした中で、空港跡地についてもPFIを採用しようとしていますが、財政負担とその効果の見込みがあまりにも甘く、不安が残ります。調査を重ねていますが、基本的な考え方を方向転換すべきです。
民間活力の導入という名の企業との連携は、区の描いた収支比較によるメリットが強調されますが、その収支比較できるだけの情報が議会に届かないところにも問題があります。
指定管理者制度を採用する施設が増えているため、利用料金が総額予算からのぞかれてしまうなど、表面上の予算額がこれまでの予算額の意味するものと大幅に変わってきています。
大田区は、未来プランを修正しましたが、人口予測も高齢化率も読み込んだ上で未来プランを立てており、震災による影響や景気低迷という要因だけが修正の要因ではないはずです。生活者ネットワークが指摘してきた、最低限の入札制度改革や財政改革にも取り組まず、政策の優先課題を無視した利権温存一律5%シーリングのコストカットには問題があります。
災害廃棄物広域処理拡大に政府は躍起になっていますが、環境省とのヒアリングの場において環境省は、がれき処理が順調に進んでいると明言しています。26年3月末までの補助金支給期限において、1/3の予算を費消していると言っていましたので、十分と言えるでしょう。
一方で、がれき処理の期限を26年3月末にしたことに、明確な根拠があるわけで無いことも明らかになりました。一年延ばせば広域処理など必要なくなります。
それどころか、政策立案において、いつまでに、どの程度処理エリアを拡大することでどのくらいの費用負担になるかというシミュレーションさえ行っていないことが明らかになっています。
4月15日には、大田清掃工場に災害がれきが持ち込まれ始めます。最終的に国が全額補てんするものの、大田区が出資している一部事務組合が受託した事業で大田区が大きな責任を持つ事業であることに変わりはありません。
しかし、安全性については、東京都や一組、国任せで自主的に判断していないことが今回の議会を通じで判明しています。
しかし、大田区がたのみにしている環境省も、この災害がれきの広域処理についての市民からの質問に対し、放射能についての答弁を避けています。その理由を知見がないとしています。
原発事故により、これまで100ベクレルだったクリアランスレベルを残しながら、埋め立て処分において8000ベクレルを容認するというダブルスタンダードという矛盾を持ったまま災害がれきに限らない廃棄物処理が行われています。
中央集権から地方政府へ。大田区の基本構想にも自律した地方政府を目指すと記されていますが、国の決めたことに漫然と従うだけで、大田区という一個の独立した地方政府としての自覚に欠ける政策立案と政治判断が、財政規律なき計画策定と財政改革なき予算なっているため反対です。
昨年3月11日に起きた東日本大震災とそれに伴う原発事故は、私たちの暮らしに未だにさまざまな影響を及ぼしています。
これらを単なる地震にとつなみによる天災としてその現象面だけをとりあげ、「きずな」と「がんばり」で解決しようとしていますが、それだけで、私たちのこれからの暮らしを守ることはできるでしょうか。
東日本大震災と原発事故による影響を、それまで私たちの社会に内包してきた様々なシステムの劣化からくるものととらえなければ、目前にある課題も、そして、これからさらに進んでいく高齢化・少子化・人口減少・ひとり世帯の増加、グローバル化等々に対応することもできないと考えます。
昨年平成22年度予算の討論で発言した「政治不信」はますます進んでいますが、私たち大田区議会は、そうした政治不信を払しょくできるだけの議会になっているでしょうか。
現在、大田区議会では、議会改革を標榜し取り組んでいますが、表面的な改正を「改革」とよび検討チームをたちあげただけで区民の期待する「議会」にはほど遠い状況です。
地方政府は、二元代表制により執行機関である行政とその代表、そして、それをチェックする立法機関である議会とで構成されていますが、現状の行政を容認し追認する議会であれば、区民にとって議会は無用の存在です。その結果、すぐれた、強いリーダーシップを兼ね備えた首長が統治すればよいというのが最近の風潮ですが非常に危険なことです。民主主義が危機的状況にあるといっても過言ではないと思います。
一般市民にとっての議会改革とは、「定数削減」であり、自らの代表の発言権を狭める「改革」を何の疑問もためらいももたずに発言する現状を私たち議会は真摯に受け止めなければなりません。
震災以降、この一年間、活者ネットワークは、
・震災とそれに伴う原発事故による、大口事業者としての東電ではないPPS事業者からの電力購入の問題をいち早く提案しています。
・また、放射能の区民生活への影響についての区の責務を明確にするための提案も率先して行ってきました。
・他にも、ますます進んでいく少子化・人口減少に伴う労働力人口の減少に対応するための子育て支援・就労支援策については、具体的な数字を示し、1歳児保育の予約制の導入とそれに伴う認証保育所の経済負担を認可と同じにするための大田区独自の支援策
・児童館改革
・職員配置を可視化するなど民営化の効果についての具体的な検証
・規制によるまちなみ誘導と社会変化に対応したまちづくり政策
・財政改革
・入札制度改革
・災害廃棄物広域処理の問題
など様々な分野において、現状の課題を具体的に示すとともに、その解決策についても具体的に示してきました。
これらの指摘に加え、平成22年度決算において、財政悪化の要因を外的要因に押し付け、大田区の課題を放置している指摘を行い、民営化の効果を検証できる状況を作ること、大田区の人件費相当分を見えるようにすること、施設整備費が他自治体に比べ割高であること、などを提案しましたが、24年度予算には全く生かされていません。
それどころか、今回の予算においも、一律5%シーリングをお題目に、たとえば、人が要の男女平等推進センターでの「たんぽぽ相談などの相談事業」を内容無視単なるコスト削減の入札に変えています。予算書で20万円弱の経費削減をよくやったと評価するのが今の大田区なのでしょうか。
一方で、今年の予算でも、コンサル事業と箱もの事業が目立ちます。政策の策定まで民間に任せ、行政の役割は一体なんでしょうか。
また、施設老朽化に伴う整備は重要ですが、漫然と施設整備を繰り返せば、財源は枯渇します。足りなくなったら国がなんとかしてくれる、増税するだろう、自分はもういないという感覚としか思えない現状は、国云々以外はそのまま現在の日本政府の在りかたと重なります。
相談事業という人が要の事業であるにも関わらず、お構いなしで、20万円の経費削減にこだわる一方で、入札制度改革は一向に進みません。奇しくも3月24日の読売新聞に大田区入札3割不成立。予定価格上回り「割高」随意契約という記事が掲載されました。
入札制度改革を放置し2年間で4億円割高という指摘でしたが、区の「今後はもっと競争を促す仕組みを考えたい」とは、議場で私が入札における競争性の担保についての質疑に対する答弁と大きく異なるもので、放置した結果を区は厳しく受け止めるべきですが、こうした改善策も24年度予算には盛り込まれていません。
民間外資系投資会社に20年間そのあり方そのものに大きな問題のある、糀谷工場アパートは今後20年にわたり、毎年7347万円総額14億7000万円もの負担が伴います。以前に行った仲六郷二丁目の土地などもそうですが、こうした後年度負担を伴う債務負担行為もまた増えてきています。
一方で、民間活力の導入ということで伊豆公園学園のPFI事業が採用されています。この工場アパートに似た側面があり、民間企業にどうリスク負担させるとともに、適正な利益をあげて良好な区民サービスを提供していただくかの仕組み構築が重要な時代に入っていますが、大田区は、それができていません。そうした中で、空港跡地についてもPFIを採用しようとしていますが、財政負担とその効果の見込みがあまりにも甘く、不安が残ります。調査を重ねていますが、基本的な考え方を方向転換すべきです。
民間活力の導入という名の企業との連携は、区の描いた収支比較によるメリットが強調されますが、その収支比較できるだけの情報が議会に届かないところにも問題があります。
指定管理者制度を採用する施設が増えているため、利用料金が総額予算からのぞかれてしまうなど、表面上の予算額がこれまでの予算額の意味するものと大幅に変わってきています。
大田区は、未来プランを修正しましたが、人口予測も高齢化率も読み込んだ上で未来プランを立てており、震災による影響や景気低迷という要因だけが修正の要因ではないはずです。生活者ネットワークが指摘してきた、最低限の入札制度改革や財政改革にも取り組まず、政策の優先課題を無視した利権温存一律5%シーリングのコストカットには問題があります。
災害廃棄物広域処理拡大に政府は躍起になっていますが、環境省とのヒアリングの場において環境省は、がれき処理が順調に進んでいると明言しています。26年3月末までの補助金支給期限において、1/3の予算を費消していると言っていましたので、十分と言えるでしょう。
一方で、がれき処理の期限を26年3月末にしたことに、明確な根拠があるわけで無いことも明らかになりました。一年延ばせば広域処理など必要なくなります。
それどころか、政策立案において、いつまでに、どの程度処理エリアを拡大することでどのくらいの費用負担になるかというシミュレーションさえ行っていないことが明らかになっています。
4月15日には、大田清掃工場に災害がれきが持ち込まれ始めます。最終的に国が全額補てんするものの、大田区が出資している一部事務組合が受託した事業で大田区が大きな責任を持つ事業であることに変わりはありません。
しかし、安全性については、東京都や一組、国任せで自主的に判断していないことが今回の議会を通じで判明しています。
しかし、大田区がたのみにしている環境省も、この災害がれきの広域処理についての市民からの質問に対し、放射能についての答弁を避けています。その理由を知見がないとしています。
原発事故により、これまで100ベクレルだったクリアランスレベルを残しながら、埋め立て処分において8000ベクレルを容認するというダブルスタンダードという矛盾を持ったまま災害がれきに限らない廃棄物処理が行われています。
中央集権から地方政府へ。大田区の基本構想にも自律した地方政府を目指すと記されていますが、国の決めたことに漫然と従うだけで、大田区という一個の独立した地方政府としての自覚に欠ける政策立案と政治判断が、財政規律なき計画策定と財政改革なき予算なっているため反対です。