パートナーシップ関係の相手方を配偶者と同等の扱いとする条例改正案が提出され、私一人でしたが、反対しました。
この問題は、性的嗜好の問題に直結させ、LGBTの方たちの人権を守るべき、という論調になっていますが、民法の規定する夫婦や家族の問題をどうするか、という非常に大きな問題で、それにしては、十分な議論がなされていません。
一点突破、全面展開をもくろんだ特区の時を想起させ、非常に危険だと感じます。
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第62号~66までの条例改正は、都のパートナーシップ制度を使い、大田区の職員の勤務時間、休暇、給与退職手当、旅費支給に関して、パートナーシップ関係の相手方を配偶者と同等の取り扱いとする条例改正です。
民法の解釈に関わる、日本の法体系への影響があまりに大きい条例改正にもかかわらず、その影響を十分に議論しないまま行うことになり問題です。
これは、かつて、一部だから、法の解釈の範囲だから、とスタートさせたどぶろく特区に象徴された構造改革特区が、総合特区で1国二制度、法の下の平等を乗りこえ、国家戦略特区になったら、今の日本の法令の改廃を事業者主導、事業者利益の視点で今も次々提案され変えられている状況を想起させます。
日本の岩盤規制は、国民の基本的人権にかかわる権利を守っているから岩盤で、それを特区というドリルでこじ開け既成事実化して全国展開してきたのです。
性別にかかわらず、人を愛し、ともに生きていく選択や性的嗜好は、誰も犯すことはできません。
そこを守るためと言いますが、今の夫婦や家族に関わる法制度が守っている権利の解釈に、パートナーシップという要素を加えることは、対象者を広げるということです。
対象者が広がれば、様々な影響がでてきます。
たとえば、東京都はこのパートナーシップ制度を使って、都営住宅の入居を可能にしています。
対象者が広がりますから、都営住宅の個数を増やすかと言えば、そうはなりません。
また、人生のパートナーとして歩む性的マイノリティ(LGBT等)のお二人なら都営住宅の入居が認められるけれど、性的嗜好はLGBTではない二人が一緒に暮らそうというのは、認めないというのは、どう考えるべきでしょう。
そもそも、
単なる同居ではなく、「家族」という単位を公的住宅制度が守ってきた意義は、どこにあったのでしょう。
仮に、
単身世帯が増えているのだから、「家族」を特別扱いする必要はないとするなら、公的制度により守られてきた「家族」は、誰が、どう守るべきでしょう。
あるいは、
「家族」を特別扱いすることなく、「単身者」と同等に扱う社会にしていこう、とするなら、「単身者」の暮らしは、誰が、どう守るべきでしょう。
いま、
私たちの暮らしは、お金がなければ、生きられない、生きずらい社会になってきています。
着ること、食べること、住むこと、教育を受けること、移動すること、
職場に行って働きお金を得る前提を整えるにも、お金が必要です。
LGBTという家族の新たな概念を、これまでの概念に加えようとするなら、家族単位で守られてきた、様々な、法的権利をどうするのかの整理が必要です。
その議論なしに、地方自治体から、夫婦や家族に関わる法制度を既成事実化すれば、いつか、国の法制度を変えざるを得なくすることになるでしょう。
本来民法を改正すべきところ、民法の改正なく、自治体が憲法上規定される婚姻の解釈を大きく変える条例改正をすることで、婚姻の解釈を条例で既成事実化することは、性的自認のいかんに関わらず、国民全体に不利益を及ぼすことになるかもしれません。
・家族だから入れていた公営住宅に、誰でも入れるようになれば、子を育てる家庭の住環境を守っていた公的住宅制度が後退することになります。(今でも不足していますから、さらに、ですが)
・配偶者に優遇されていた相続の制度は、賃金の高い夫に先立たれた妻を守る側面もありますが、LGBTも婚姻関係に類する解釈になると、異性婚だけ相続で優遇するのが問題視され、配偶者や子への相続の優遇がなくなるかもしれません。
そんな、バカな、と思われるかもしれませんが、LGBTのパートナー関係を婚姻と同等にすることは、突き詰めて考えれば、婚姻とは何か、にたどりつき、いまある、婚姻関係にあるものだけの権利をどうすべきか、整理せざるを得なくなります。
私が少し考えただけでも、相続や贈与など財産や税制や戸籍や社会保障制度にも関わる、信じられないくらい非常に大きな影響を及ぼす問題だと思います。
私は、性的嗜好は認められるべきですが、夫婦や家族は、今の制度を維持すべきという考えを持っています。
LGBTの問題が最後にいきつくのは、公的制度が守っている婚姻関係にあるものの権利が失われることで、公的制度の崩壊と言ってもいい問題です。
配偶者控除、扶養控除、公営住宅、健康保険・医療、年金、、、、
結果として、税負担が減り、企業負担がへることになります。
これは、かつて、一部だから、法の解釈の範囲だから、とスタートさせたどぶろく特区に象徴された特区の制度を思い起こさせます。
どぶろく特区で始まった構造改革特区が、
総合特区で1国二制度、法の下の平等を乗りこえ、
国家戦略特区で、今の日本の法令の改廃を事業者主導、事業者利益の視点に変えてしまいました。
法令の改廃は、今も事業者主導で、次々提案され変えられている状況です。
日本の岩盤規制は、国民の基本的人権にかかわる権利を守っているから岩盤で、それを特区というドリルでこじ開け既成事実化して全国展開してきたのです。
性別にかかわらず人を愛しともに生きていく選択や性的嗜好は、誰も犯すことはできません。
そこを守るためと言いながら、今の夫婦や家族に関わる法制度が守っている権利の解釈に、パートナーシップという要素を加え、広げることで、地方自治体から、夫婦や家族に関わる法制度を変えざるを得なくすることは、信じられないくらい非常に大きな影響を及ぼす問題です。
問題の本質がすり替えられており、反対しました。
残念だったのは、こんなに大きな問題だったのに、反対したのは、大田区議会で私一人だったことです。
条例本文は以下のリンクから