いったん、国内線空港になったはずの羽田空港が国際化に路線を切り替えたのは、北京オリンピックの頃だったと記憶しています。
羽田空港が国際化に移行したとき、やけに騒いでいるなあ、という感覚はあったものの、そのままスルーしてしまったことを、あとになって後悔しました。
成田は国際線、羽田は国内線というすみ分けについて、当時の私は、今ほど航空行政に関心が無かったこともあり、よくわかっていなかったのです。
羽田空港の歴史的な経緯さえ、軽々と乗りこえられたように、地方空港の国際化も、必ずしも推進すべきと言えないと思うのですが、都道府県のレベルで国際化が進んでいる状況を視察しました。
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九州唯一の県管理空港である「佐賀空港」の機能強化について視察しました。
佐賀空港は、滑走路2千m、6時半から24時までの利用が可能な空港ですが、平成31(2019)年まで、夜間24時から4時半までも使用しており、4時半から6時半以外の使用が可能な空港だそうです。
福岡空港が市街地への騒音影響等で22時以降着陸できないことから、北九州空港での代替着陸が始まったところですが、佐賀空港も、福岡空港の夜間受け皿も視野に入れているそうです。
空港利用者数は、2013年以降2018年まで6年連続過去最高を更新し、2017年には空港建設時の需要予測73.3万人を突破しています。
2019年にいったん需要が73万人に落ち込み、その後コロナで大幅な減となりましたが、現在、羽田往復は9割まで回復しているそうです。
有明無料道路開通で、佐賀空港まで75分かかっていたところが、40分に短縮されるなど、空港へのアクセスも向上しており、佐賀空港への利用客の九州からのエリア拡大を目指して取り組んでいます。
一方、中国の滑走路は2千6百mが標準なことや、より遠方のタイ、シンガポールからの需要を狙い、大型機材にも対応可能なように滑走路を2千5百mに延長して、西安の運休で3路線に減った国際線を4路線に戻すだけでなく、東アジアの主要都市との拠点空港を目指しているそうです。
出張所を持たないLCCの拠点空港であることから、県職員が、航空機利用を促すセールスを行う、千台だった無料駐車場を2千百台に増やす、二次アクセス向上のためレンタカーやリムジン利用促進補助、空港の乗客スペースの待合室保安検査場等の整備等を行っているそうです。
地域経済のためとはいえ、公務員が民間航空会社のセールスを担う時代になったということに非常に衝撃をうけました。
一方、羽田空港の機能強化も、乗客だけでなく、貨物需要増が背景にあるため、佐賀空港の貨物便の取り組みについて伺ったところ、企業誘致とセットでの半導体や県産品の国内外への輸送も視野に取り組んでいるそうです。
佐賀空港が県管理空港でありながら、国際線増強を目指すなど、グローバル化は、空港の国内線、国際線といったすみ分けをなくすだけでなく、行政が企業利益のために税や人的資源を投入しており、国等の統一的な方針がなければ、不毛な自治体間競争による非効率な公的資源投入になる恐れがあると思いました。