都市計画法が改正され、それまでは行政が持っていた、地域のまちづくりのルール=都市計画を変更を住民提案でできるようになりました。
法は、提案者は一人でもよいとしていますが、大田区は、まちづくり条例を改正して、任意団体の大田区連合町会に所属する町会・自治会の承認を取らなければ、地区計画を大田区に提案できない仕組みを作ろうとしています。
私が日ごろまちづくりで一緒に活動している専門家のみなさんに伺ったところ、聞いたことが無いということでした。
国家戦略特区だから、どうせ、なんでもあり、と誰かから提案されたのでしょうか。
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法は、地区計画は、一人でも提案できるとしています。
たとえば、芦屋市のHPには以下のように書かれています。
平成14年7月12日に「建築基準法等の一部を改正する法律」が公布されました。本法により、都市計画法が改正され、土地所有者及び借地権者の3分の2以上の同意及び同意者の地積が区域内地積の3分の2以上があれば、都道府県又は市町村に対して、「整備、開発及び保全の方針」及び「再開発方針」等に関するものを除き、都市計画の決定又は変更をすることを提案できるものです。
その提案者につきましては、一人でも複数人でもよく、また、まちづくりの推進を図ることを目的に活動している法定の特定非営利活動法人(以下「NPO」という。)等も対象となっています。
ただでさえ、大田区では(たぶん多くの日本の自治体)、環境保全型のまちづくりが難しくなっています。
土地を買って、その土地から最も利益を上げられるプランを作り、売って地域からいなくなってしまう事業者が、地域の住民の住環境より、企業利益を優先するからです。
そして、それを法律や条例はそれを許しています。
実際、行政から「住民」に降りてきたはずの都市計画の権限ですが、平成14年の制度改正以降、実際に活用してきたのは圧倒的に事業者で、それに対し、住民発意の地区計画は非常に少なくなっています。
こうした状況の中で、あえて、任意団体である町会自治会、しかも、連合町会に加盟すると条件をつけることで、何が起きるでしょうか。
個人の財産権に大きくかかわる地区計画が是か非かの判断を任意団体の町会にゆだねていいでしょうか。たった一人でも、個人の財産権を侵害すると言われれば、承認しにくくなりはしないでしょうか。
しかも、すべての町会に、合意形成のしくみがあるかどうかも確認できていません。
そもそも、町会・自治会の意思決定権を誰?どこ?が持つのでしょう。
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私は、議員になって初めて、区長に、この議案の取り下げを求めました。
是非以前で、民主主義の手続きとして問題があると考えたからです。
2016年2月23日
大田区長 松原 忠義 様
大田区議会議員 奈須 利江
地域力を生かした大田区まちづくり条例の一部を改正する条例議案について
いつも大田区長松原忠義様におかれましては、大田区政のためにご尽力いただき、感謝申し上げます。
さて、早速ですが、先日送付されました「地域力を生かした大田区まちづくり条例の一部を改正する条例」につきまして特に下記の部分に大きな問題があると考え、議案の取り下げを求めます。
記
1.任意団体である自治会等の承認を要件とするなど、法で保障された区民の権利を著しく制限する。
2.提案段階において、協議会、地区計画検討団体に、地区計画案の1/2の賛成を要件としており、住民参加の法の主旨を大きく制限する。
以 上