議会改革をテーマとした「市民と議員の条例づくり交流会議」に今年も参加しました。
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選挙により選ばれた国会議員の多数派から内閣総理大臣が選ばれる国政と異なり地方政府は、長と議員が異なる二つの選挙により選ばれます。
■首長の動きと地方議会の危機■
昨今、阿久根市の竹原市長(専決処分を繰り返す)、名古屋市の河村市長(市議会リコール)、大阪府の橋下知事(議会内閣制、大阪都、地方政党)提案など、首長側からの議会に対する挑戦とも言うべき行動が散見されるようになってきています。
竹原市長は、議会を開催しても否決されるから首長に与えられている議会を開催しなくても決めることができる「専決処分」を繰り返していました。
残念ながら、現在の地方自治法では、議会は、議会の招集権を持っていないのです。招集権を持つ首長が、議会を開催するいとまがないなどという言い訳がとおってしまうのが今の地方自治法です。(これほどの事態は想定していなかったと思います)ようやく先日開催しましたが。
また、河村市長は、公約を実現できないので、つまり反対派の議員が過半数をしめるので議会を解散させようとしています。
橋下知事の議会内閣制も、議会の多数派から首長を選ぼうというものです。投票率の低下や市民の議会議員への不信から地方政治を有効に機能させるための方策として提案されています。
■市民からも改革派?首長からも信頼を得られない議会■
これらの言動の背景には、首長のマニュフェストを推進するにあたり、議会が抵抗勢力になっているという首長と市民の認識があります。
大田区は、現在48人の区議会議員(定数50)がいます。
報酬は年間約1000万円。使途は制限されていますが、月に23万円もの政務調査費。他にも議長・副議長・委員長・副委員長などに支給される手当。充て職といわれ区が設置する審議会や協議会などの委員になると支給される費用弁償。監査委員報酬。(これらは、大会派であったり、与党と呼ばれる会派の議員で無いとポストをもらえ?ません)
他にも議会や委員会に出席すると、報酬とは別に、費用弁償と称して一日あたり¥3000円が支給されています。(この額は、数年前に大田区議会自ら¥6000から¥3000に引き下げています。)
こうした処遇をみると、日頃何をしているかもわからない、見えない議員に対し、定数削減、報酬削減という声が上がってくるのも当然でしょう。
残念ながら、現在の議会は、執行機関の追認と形式的な要望(文句)だけをくりかえし、自治体全体を考えず支持母体のために動く、十分な勉強もせず、マスコミの論調をそのまま議会に持ち込むと言った議員が多いことも確かです。
しかも、議員から首長が選出されたわけではないにも関わらず、与党・野党という枠組みで議員を選別したり、与党に飴をぶら下げ、反対勢力を懐柔しようとする動きは大田区にもあります。実際、大田区議会において、首長が提出した議案が否決されたり、修正されたりしたことは一度もありません。議案上程寸前までいって、議会の抵抗にあい、上程できなかったという噂は聞きますが、仮に、密室で区長と一部の与党会派と呼ばれる議員とが協議し調整しているのが大田区政なら、区民の信頼を得られるはずがありません。
議案を提案し、政策を決定する首長がいれば、そしてその首長が「改革派」と呼ばれる「素晴らしい」マニュフェストを実現する首長であれば、議会は不要であると思うのも無理ありません。
■首長だけで民主主義は実現できるのか■
マニュフェストを掲げ当選した首長は、そのマニュフェストの実現を有権者に信任されたものとして推し進めようとします。
しかし、全ての政策に賛同した有権者もいれば、良し悪しはあるものの、総合点でと選択した有権者もいるでしょう。また、政策も時間の経過とともに、修正していかなければならない部分も出てくるでしょう。
首長は、投票した有権者の中で最大多数の支持を得ていますが、他の候補者を支持した有権者もいれば、投票しなかった有権者もいるのです。
政策を提案し、議員も含めた市民と議論し、決定していくことにこそ、民主主義の基本があるのではないでしょうか。
一部自治体の首長の動きがイエスマンだけを議会に集めようとしているのだとするならば、民主主義による市民政治とは大きくかけ離れたものになるでしょう。
■今こそ議会改革を■
こうした、首長から挑戦状を突き付けられているとも言うべき状況の中、それでも、予算を可決できるのは議会しかありません。国から分権された権限を首長がほしいままにするなら、分権の意味はありません。
議会本来の持つ条例策定、行政のチェックといった機能を取り戻すことにより、地方自治体経営を健全にすることが、これからの地方主権時代には何より求められます。
しかし、行政とのなれ合いで議会内部にその権限をとどめるなら、真の分権とは言えません。 住民に最も身近な自治体が、住民の意見を聞きながら、その意志を反映させながら、政策実現していくことにこそが分権の本来の意味です。
先進自治体の中には
・住民の中に入っていき、議会として議会報告会を行う。
・議案提案前に議会として住民意見を聞く。
・インターネットによる議会・委員会中継など審議過程を透明化する。
・委員会などの傍聴資料を配布する。
・総合計画も議決事項に加える。
・質問の全文事前通告をやめる。
・議案の事前審議をやめ、議会で実質的な政策の検討と決定を行う。
など様々な試みが行われています。
■自治体政治に関心を■
前回の大田区議会議員選挙の投票率が約46%程度。昨年の衆議院議員選挙では、3区と呼ばれる大田区の北側で約69%でしたから、1.5倍にもなります。いかに区政に、区議会に関心が薄いかがわかります。
これが如実に表れているのが田園調布地域。区議会議員選挙では約35%の投票率でしたが、昨年の衆議院議員選挙の際には約71%と投票率が2倍も違っています。
確かに、介護保険も保育園も障害者自立支援法も国が定めた法のもとに行われていますが、実際の運営主体は大田区です。
特養の入所基準も、保育園の待機児対策も、緑地の保全などのまちなみも、ごみの分別も・・・区の独自政策によって決められていくものです。
分権の目的は、権限を生活の現場におろすことにあります。
生活課題を解決できる分権にするためには、議会改革が欠かせません。
*23区は東京都の内部団体的位置づけにあるため、自治体の固有財源である固定資産税や法人住民税がいったん東京都に吸い上げられ、「財政調整」という分配の仕組みによって23区に配分されるという特殊な事情がありますが、それは、また、別の機会に改めて。
名誉職や組織推薦議員は、自治体の政策や事業は分からず、業界、支持母体の利益誘導ばかり。
市民派の議員が増えないとダメですね。
誰でもマスコミ報道で知っている内容のほかは、独善的な主張と意味不明な文章しか見当たりませんが・・・