大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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教育への政治的介入は「指導書から突破される」教育の政治的中立性崩壊の危機 臨時議会で大田区が拙速に決めた【「学校教科書指導書」区長部局一括購入】

2024年04月29日 | ├教育

4月26日の大田区議会臨時会は、定額減税に全力を投入していたら、議案送付後に、学校教科書指導書の追加議案が出てきました。

一人会派で、ほとんど情報がなく、議案の質疑の有無をせかす区長部局から、断片的な情報を得て、調べ始めたところ、非常に深刻な問題が見えてきました。

 

学校の先生の通称「赤本」といわれる指導書の購入のしかたで、政治が教育の教える中身にまで大きく関与できるリスクを排除できないのは、なぜか、ご報告します。

そういえば、
岩盤規制というのは、一点突破の姿勢で壊されてきましたね。


こういうところを見過ごさないことが
こどもの過度な政治的関与からこどもの教育を守ることになる、と思います。

=====

 

議案の内容はこうです。

各学校の校長の権限で購入していた教師用指導書を、区一括発注にしたことなどで、金額が条例で定める2000万円を超えたため、議決に付すべき契約議案となりました。

大田区立小学校59校の教師用指導教科書  6,935冊
契約金額         1億9,069万5,890円

 

本来、当初予算に間に合うよう準備できるし、すべきところ、
臨時議会という、開かれるかどうかもわからない議会でないと間に合わないタイミングで、出してきたところに、非常に大きな違和感を持ちました。

 

私は、こんな風に考えました。

 

学校における政治的中立性の確保は、戦争の過ちを深く反省し、

文科省の「指導上の政治的中立の確保等に関する留意点」にあるように、教育基本法第14条で、学校教育における党派的政治教育の禁止を規定しています。

教育委員会というのは、市民から選ばれた組織ですが
区長部局の長である「首長」は、その政治的姿勢を有権者に問い、選挙で選ばれている、極めて政治的な存在です。

教育に政治的な姿勢が入れば、どんどんと独裁に近づくかもしれません。

ですから、
教育と政治=区長部局は、明確にわかれ、教育の中立性が
うたわれているのです。

公立の小中学校の教科書は、どの教科書を使うかというのも、
教科書は教科書採択のしくみに基づいて、政治的中立性を守る教育委員会が採択した教科書を使用しています。

ところが、今回購入する教師用の指導書には、採択のしくみがありません。

ある意味自由に作れるから、大田区が、説明する通り、金額も2000円から7万円と大きな開きがあるのです。

そういえば、副読本も採択のしくみが無いので
内閣総理大臣が、あちこちに登場する副読本を見たことがあります


これまで、各学校にまかされていた指導書の購入を区長部局が一括で行うように変わり、日本全国でこの動きが加速すれば、指導書を作る教科書会社が、首長部局に忖度した内容の指導を作る可能性を否定できません。


大田区の小中学校の指導書で
1億9千万円の契約なのです。


せっかく作った指導書も
首長の「好み」で買ってもらえないことがあったら、大変です。


しかも、
各自治体の首長も、国の顔色を見るかもしれません。


そうなると、少しずつ、何をどう教えるか、という教育の具体的な中身まで間接的に選挙で選ばれた首長が関与することも可能になり、学校教育における党派的政治教育の禁止を逸脱する可能性を排除できません。

私は、教師用指導書は、あっても良いかもしれませんが、
そこに、過度に頼るようになるのもどうかと思います。

先輩の先生が、経験の中で培った指導方法
国立大学の付属小学校などで研究した指導方法
など、あらゆる機会をとらえ、先生たちが試行錯誤し学び、
こどもたちに伝えていく

そういう中の一つに指導書もあったらいいかもしれません。


ところが、いま、学校の先生は、忙しいと言われています。


そもそも、指導書に過度に頼らなくても指導できる、ゆとりある教育環境を人も予算も整えるのが大田区の役割だと思います。
まずは、そこからではないでしょうか。


一方で、大田区は、区立小中学校の非常勤の先生の1冊数百円から千円程度教科書さえ購入していません。

ところが、どう教えるかという、教師の裁量の部分により大きく関与できるようにしようとしているのです。

こういうところに、大田区が、本気でこどもの学びや先生の環境を整えようとしていない部分が透けて見えてきます。

優先的に取り組むべき、ゆとりある教育環境のために人も予算も整える本質的な問題に取り組まず、
・負担軽減、遅れが無い、

といった表面的な部分をとりあげ、一括発注にすれば
大切な教育の中立性を失うことになりはしないでしょうか。


将来、党派的政治教育の禁止を逸脱するのではないかという不安を持ちます。

現在の各学校の発注で何ら問題はなく、極めて重要なことを当初予算ではなく補正、しかも、当日送付当日議決という拙速な決め方も問題で

この契約議案には賛成することができませんでした。

結局、こうした問題にも、一人会派は、情報から遠くに置かれますが、調べたことで、問題点を明確にすることができました。

結果は、私以外全員賛成で通ってしまいましたが、こういうことが教育の現場で起きています。

 

教育の政治的中立性が、将来、保てなくなる時が来るとするなら、こういうリスクを排除できないところにもあると思います。

 

=====

以下に、この議案についての
情報を付け加えさせていただきます。

冊数や金額が4年前に比べ増えた要因
・40人学級から35人学級に変わった
・デジタル教科書も購入する(デジタル教科書は高い)

指導用教科書の支給基準
・3クラス以下の学年 (紙1・デジタル各1)
 4クラス以上の学年 (紙1・デジタル各1)に加え紙1

これまでは
・各学校長の権限で購入元も決めていたので供給会社はバラバラだった

区の言う一括発注のメリット
・各学校の負担が軽減される
・バラツキや遅れが無い

 

 


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