「ル・アーヴルの靴みがき」

2012-05-01 23:26:38 | 映画
偶然にも、今日観た二作品とも寺尾次郎さんの日本語字幕だったんですよ。

寺尾さんといえば、私が日本語のセンスがない!と詰った「アーティスト」の日本語字幕の方でもあるんですよ!

偶然にしてはちょっと出来すぎで驚いてます。寺尾さんと何か縁でもあるのかな…?きっとなくはないと思います。最近つくづく拳さんとの縁も強く感じてるくらいだからね。しかもニコール繋がりで…。

それはさておき…、

アキ・カウリスマキ監督最高!益々好きになった!

どうだろう…日本人はこういう映画嫌いかな…?私は大好きです!エロもグロもないおとぎ話のような展開、全然アリだと思ってます。少し毒気はあるけどね…。登場人物が皆いい味出してるんですよ。基本無表情なのに、不思議なくらい表情に魅入ってしまう。

それから、何ともいえないシュールな笑い。演技・演出・脚本・カメラワークすべてがアキ・カウリスマキワールドで満ち溢れていて高く評価されるだけはあると思う。

ヨーロッパにこんなほのぼのした映画を作れる監督がいて、そしてそれを高く評価できる人たちがいるということがとても素晴らしく思います。

アキ監督には珍しく社会問題(難民問題)を取り上げているんですが、アキ監督らしい奇跡を描いてます。取って付けた感見え見えの奇跡なんですが、全然許せる。全ての人間に生きる権利はあるし、難民といえども離ればなれになった親に会う権利だってあると思うんですよね。

基本アキ監督の作品は、人間の尊厳がテーマになっていて、地味に生きる希望や人間愛を描いているので、寅さん文化の日本人には好かれると思うんだけどな…。どないでっしゃろか…?

アキ監督自身日本贔屓なので、この作品でもそれを証明するものが登場するからそれだけでも嬉しくなる。この作品に関しては特にホッコリした気持ちにさせてくれるので、もし興味を持たれたら一度はアキ・カウリスマキワールドに触れらることを勧めます!

今日のまとめ:主人公の奥さんの髪留めがヒトデの形だったので、唐組を観たあとだけに、その髪留めが気になって仕方なかった。これも変な偶然。

あ、そうそう、日本語訳ですが、私はフランス語が分からないし、台詞も短いから「ル・アーヴル~」に関しては問題なかった。「預言者」はもう少し説明が欲しかったかな…。っていうか、寺尾さんてフランス語専門の方なのに、いくらフランス作品といえども、何故英語字幕の「アーティスト」に携わったのかが疑問。


今日は映画の日

2012-05-01 23:01:44 | 映画
ということで、予告通り「預言者」と「ル・アーヴルの靴みがき」を観てきました。

先ずは「預言者」…、

これを「ショーシャンクの空に」のようにハッピーエンディングと解釈してよいものなのかいささか疑問…。

っていうか、一回観ただけじゃ分からん!っていうのが正直な感想。

刑務所内で伸し上がって行くこととタイトルの“預言者”がどう絡んでくるのかそこが一番興味があったんですが、ただ単に「ゴッドファーザー」的な流れを汲んだ話ではなかったね。

生きていくために処世術を学ぶ青年の姿を描くだけでなく、タイトルに“預言者”とあるだけにやはりスピの世界観も描かれていました。

そこはちょっと私の考えとは解釈が異なるのですが、殺された相手が殺した本人の守護霊になるのか?って点なんですけどね。ここでは正しい道とは言い難いけど、悪い方向には導いてないからなんか矛盾を感じてしまう。それを認めたら犯罪を推奨してるもんと解釈されないかい?と思ってしまった。


生粋のイスラム教徒でもないアラブ系の主人公が刑務所に入れられるところから始まり、命令通りに人を殺したことでイタリア系のマフィアのボスから絶大なる信頼を得る。ボスの言うとおりにしつつ、処世術を学びつつ、霊(?)に導かれつつ、最後はマフィアから差別されていたイスラム教徒のアラブ人グループに鞍替えするあたりが、神の存在や見えない力を描こうとしていたのは分かったけど…、

守護霊に守られている…自分の本来の居場所に導いてくれる話だと解釈も出来なくもないけど…なんだかな…。腑に落ちない感じ。

フィクションだから変にリアリティーを求める必要はないし、自分の解釈でいいとは思うけど、ただ、監督や脚本家のメッセージが汲み取れなかったのが悔しい。

いつもなら、パンフレットがあって答えらしきものを教えてくれるんですが、この作品に関してはパンフレットがなく個々の解釈に委ねられているので、今はとてもむず痒い状態。なんかスッキリしない状態が歯痒い。


ちなみに、この映画の“預言者”とは予知夢を見た主人公のこと。ある意味、奇跡を信じるきっかけになったと解釈してます。間違いなく宗教は大きな役割を果たしていると思う。ラストのあの方達は、三人を見守ろうとしての再登場ですよね…?再登場であってますよね…?ハッピーエンドと解釈出来るけど…、不吉な予感とも解釈出来るんですよね…。

やっぱ、一回だけじゃ分からん。

今日のまとめ:DVD出るのかな…?出るならレンタルでもう一度観て確かめたい。

最近のヨーロッパの映画って、スピの作品が多いね。しかも高く評価されてるから驚き。

追記:この映画を見終えて思ったこと書きます。人生に全く成功していない私が偉そうに書くのもなんですが…、

若い頃って他人の芝がめちゃくちゃ青く輝いて見えてめちゃくちゃ羨ましくて堪らない時期ってあると思うんですよ。若い頃に限らず、特に悲しいことや苦しいことって常に終わりがなくてしんどくなることってありますよね。でも、年を重ね、経験を重ねることである程度自分流の哲学を身に付けることが可能だと思うんですよ。私はよく周りから諦めが早い、夢を諦めたらアカン、追い続けろ!ってアドバイスをもらうんですが…、

私の哲学は…、

確かに誰にでも平等に夢を実現するためのチャンスは常にある。でもそのチャンスを掴んでいい人とダメな人がいる。万人が全てチャンスを掴んで成功するとは限らないし、運が悪かったら今以上に地獄に落ちることもある。何事も冷静な判断と見極めが大事。残念ながら私は後者だと最近になって悟りました。周りからは退屈な人間だと思われますが、泣き喚いたり、自殺したくなったり、自分を追い詰める夢なら無理矢理叶える必要はないと悟りました。ましては他人や家族に迷惑かけるならなさらです。今は私の夢はある方たちに託してます。恋愛で苦しんでいる友達の相談を受けるといつも自分は間違った選択はしてないと思ってます。

平凡な人生でいい、健康で、大切な人の幸せを願い、くだらない小さいことにでも幸せと感じれる心のゆとりがあれば私は十分幸せです。

最近つくづく思うのは、本当に私は誰かに守られてるということです。一時、なんで自分ばかりこんな仕打ちを受けるのか分からず自暴自棄になっていた時期がありました。ある気付きを得てからは、自分は見捨てられたんじゃなくて、常に誰かに見られている、必ずしも生きてる人間ではなく、お天道様に見られていることに気付くために学ばされているんだと悟りました。それに気付いてからはずっと感謝しぱっなしです。常に自分は守られていることを実感する日々が続いてます。

神は乗り越えられない試練を与えない…確かにその通りだと思ってます。考え方と努力で乗り越えられるんですよ。そして、乗り越えられないと判断されたことは、有難いことに向こうから取り除いてくれてます。

結局何が言いたいかというと、私みたいな無謀な夢を追い掛けてはいけない人は、ある程度の経験を積んだら貴方の哲学を作りましょう。同じ過ちを繰り返さないための哲学でもあり、生きるための処世術でもあります。そうすれば夢は実現出来ずとも自殺したくなるような苦しい感情から回避できるはずです。つまらない人生で結構。感謝の気持ちで守られてると実感できるなら私は平凡な人生を選びます。ただ、いつ来てもいい新たな試練を乗り越えるためには学びは常に必要です。平凡な人生を求めてもなんだかんだで平凡な人生なんてないんですからね。

この映画を観て、人生に後悔はあっても、やはり生きることに無駄(悪いことは人のせいにしたり、怒りによる暴力など)がないように処世術を身に付けることは大事だと実感した次第であります。