続きます。
さて、色々遠回りの話をしてきましたが、ここからが本題です。この千〇との喧嘩に付いてです。
私の席は前の方でした。そして千〇は黒板に何かを書いていたみたいです。そこを誰かが黒板消しで千〇の背中を叩いた。学生服の背中がチョークの粉で汚れた。
千〇は「誰だ!」と叫ぶ。そして私を見た。千〇は私に近付き躊躇なく黒板消しで私の胸を叩き、学生服を汚した。
私は座っていた。勿論、千〇の背中を黒板消しで叩いていない。距離的にも時間的にも私がそれが出来る状態ではない。それは千〇も分かっていた筈。ただ単に腹が立って私に八つ当たりをしただけなのだ。
私の親もそれをしている。仕事のストレスを私にぶつけた。殴る、蹴る、踏みつける、飛び蹴りする、私が大切にしている物を壊す等々、再三やられた。
流石に親には手を上げてはいないが、その怒りが沸騰した。
千〇は黒板消しの鬱憤を私で晴らした。私がやっていないのを分かっていながらニヤっと笑っていた。
「俺は不良グループの大柄なアイツを倒した。俺に手を出せないだろう、俺が怖いだろう」。そう思って笑ったのだと感じた。
私は席から立ち上がり千〇の前に立った。「オレがやる訳無いのを分かっててやったな」と怒鳴った。千〇は笑ったままだった。
そう言う時の私は頭の回転が速くなる。私は千〇の左肩を右手で押す感じの仕草をしながら、左手で千〇の顔面をフックで殴った。右手でフェイントをかけて利き腕の左手で殴った。その位の喧嘩のテクはある。何たって学年で一番喧嘩の数をこなしていたのだから。
千〇には親への恨みも重ねて殴った。千〇は吹っ飛び鼻血を大量に流して仰向けに倒れた。
「私は我に返った。やり過ぎた。あんなに血を流している。どうしよう。一発殴らしてやるか」。そう思い私は立ち尽くしていた。
千〇はよろめきながら立ち向かってきた。避けられたが、殴った罪悪感がある。殴らせるために動かずにいた。千〇は私に体当たりして一緒に倒れた。千〇の下になった私に千〇の鼻血が大量に垂れた。
私はウワッと身を反転させ千〇を上から押さえつけた。そして大声で「オレがやる訳無いだろ。それなのに確かめずに黒板消しを付けたお前が悪いのだろ」と肺活量6600ccオーバーの大声で私は凄んだ。千〇はまた殴られると思い恐怖の表情に変わっていた。
私は千〇の上から離れ自分の席に着いた。千〇は暫く身を横たえたままだったが、立ち上がって自分の席に着いた。私が千〇を殴ってから席に着くまで教室は静まり返った。
私の家業は新聞販売店。刑務所帰りの奴も従業員で使っていた。親にも包丁で刺されそうになった。酔っぱらっている従業員にも包丁で刺されそうにもなっている。新聞販売店は命がけだ。
そして当時の中学・高校も命がけ。虐められたら卒業まで虐められる。それなら相手を殺して少年院に入った方がまし。教師達だって虐めをやっている。そんな教師など頼れない。
キリスト教教育など屑だ。何がライフ・ライト・ラブの3L精神だ。キリスト教の歴史を振り返れば戦争ばかりではないか。キリスト教は戦争兵器ではないか。第一、カトリックの神父たちは鬱憤が溜まって性的暴行ばかりしているじゃないか。
イエスキリストが目の前にいたら言ってやりたいわ。「お前は間違っている。お前の存在は結果的には悪だ」と。
話を千〇に戻します。あれ以来、奴は私に近付かなくなった。更に誰にも声をかけなくなった。独り黙った状態で高校を卒業した。同じ大学に通っていたが、見かける事は無かった。
その喧嘩から約20年後、奴は亡くなっていた。38歳前後だろう。病気だったらしい。
今想えば胃が悪い、内臓が悪いと言っていた。内臓が悪いと様々な病気になる。その点は気の毒だ。
ただ、アイツの性格は酷かった。自分のストレスを人にぶつける奴は最低だ。でも、私も親への恨みも込めてアイツを殴った。私も最低だった。中学・高校も嫌な想い出ばかりだ。
私には禍が集まる。騙そうとする奴が近づいてくる。近年の不動産屋とのトラブルもそう。馬鹿だと思われている。変な話だが人相が良過ぎるみたいだ。
私は天知茂に憧れているが、あんな眼力のある顔をしていたら、禍はやって来ないだろうなぁー。
もう、彼の事を考えるのは止めよう。気が滅入るだけだ。
私は死に付いて考え過ぎだ。どうも自殺した者を深く考えると自分も自殺したくなるみたいだ。
私の母方の従妹も母親の兄である伯父が自殺し、夫の弟も自殺した。そして本人も自殺した。
死は人を引っ張る。人は誰しも死ぬ。間違いなく死ぬのだから死に付いて考えても仕方が無いのだ。
それは兎も角、千〇はあんな性格しているのに結婚できたのだから大したものだ。子供もいると思うし。
でも、あんな性格をしていなければもっと長生き出来たのではないか。人から好かれれば人生に張り合いが出来る。ストレスが無くなる。活き活きと生きて行ける。それが分からなかったのか。
分からなかったのだろう。私も今もって分からない部分があるし。
もう、千〇への苛立ちは忘れよう。彼の事は忘れよう。死んだものを恨んでも仕方が無いし。
ではでは。