続きです。
私の話を聞いて先生は言った。「殺し合いの家系ですね」と。
私は「人殺しの家系、子殺しの家系」と呼んでいるが、今回は私が親を殺したことになるのだろう。財産を放棄すると言ったのだから。
実は今住んでいる家からは両親とも消えたが、生霊が住んでいる感じがしている。ラップ音がする様になっているのだ。
友人の神社のお札を置いてから止まっていたのだが、頻繫に鳴っている。まるで両親の生活音の様に。その感覚も堪える。本当に縁を切りたい。
父親は悲壮感いっぱいの顔をして「引っ越し業者を頼んで1月中に家に戻る」と絶叫した。それだけアパートに越して後悔していた。体調が著しく悪くなったので。
こうなるのは分かっていた。私が東京で働いていた7年以上の間に母親は3度入院している。十二指腸潰瘍でだ。延べ9カ月も入院した。父親にも鬱病を感じた。
分かっていたのだ。この二人は私を虐めて自我を保っていた事を。
私はそれで鬱病になった。仙台に帰って来たことを大変後悔していた。それ以上に父親の不動産での失敗に悩んだ。
私が仙台を出る時、マンション建設で私の案を示した。父親は納得して私の言う通りにすると約束した。私は安心して東京に出た。それが覆された。父親の案に変えられた。そして不動産で失敗。取り返しが出来ない大損をした。
何故、父親は私との約束を破ったのか。それは私に勝つ為。それは私を苦しめる為。もう親ではない。違う者が入っている。敵が入っている。
これが「人殺しの家系」。私の父親の存在は従兄と従妹の死に繋がった。違う者が入っているからだ。完全に敵。
否、父親だけでない。親族全てが敵同士。母方の親族も敵。だから母の兄弟は豊田商事で騙された。兄弟で騙し合った。
殺人事件はは他人間よりも肉親間での方が多い。相性が悪ければ関係を絶つべきだ。一緒にいるべではない。殺し合う関係なのだから。
この先生はその事を知っているのだ。修復など出来ない事も。
「人殺しの家系」と私に言ったのは戦国武将の直系の宮司だ。仙台では有名な方だ。一緒に食事をしたことがあるが、欝になっていると私は感じた。自分の家系を卑下ばかりしていた。
「私の先祖が殺した者が刀を持って襲って来る。無意識に左手でその刀を防いだから、掌に傷を負った」と言っていた。
竹で左の掌を切ったらしいが、それは先祖が殺した者の仕業だと言い切った。親との関係でも苦労したとも言っていた。何とか神職の仕事だけはこなしているが、それ以外は何も出来なくなったと言っていた。
私は「私も左手の掌を深く怪我している。神経が切;れ5針縫っています。鈍い痛みが続いている。父親は左の掌を15針縫っている」と言うと、その宮司は驚きの表情を示した。
宮司の先祖の武将は大河ドラマの主役にもなっているが、人殺しでは私の家系の方が格上だ。源氏からも平家からも憎まれている。怨霊にもなっている。
しかも母方も人殺しの家系。会津の山川だ。父方母方の家系とも多くの者を殺した。その宮司との家系以上に。
続く。