平成26年5月2日 (備忘録)
地方公会計整備で新基準=自治体に導入要請へ―総務省
総務省の「今後の新地方公会計の推進に関する研究会」(座長・鈴木豊青山学院大名誉教授)は、民間の企業会計の手法を取り入れた財務書類を地方自治体が作成する際の新たな基準を示した報告書をまとめた。これを受け同省はより詳しい書類作成の手引を策定し、2015年1月をめどに新基準による財務書類の作成を自治体に要請する方針だ。
報告書は、作成が必要な財務書類として、貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書の4表と、関連事項についての付属明細書を挙げた。
その上で、それぞれの書類に記載すべき内容を詳しく説明した。例えば、貸借対照表は資産の部を「固定資産」と「流動資産」に区分し、固定資産は「有形固定資産」「無形固定資産」「投資その他の資産」に分けて表示する。
さらに、有形固定資産の開始貸借対照表の価額の測定は「取得原価が判明しているものは原則として取得原価とし、不明なものは原則として再調達原価とする」といった形で、それぞれの基準を示した。
また、「財政状況を正しく把握するためには、正確な固定資産に係る情報が不可欠」として、財務書類4表に加え、固定資産台帳を整備する必要性も強調した。
報告書がまとまったことを受け、総務省は新たな基準の周知と、より詳細な取り扱いを定めた手引の策定を進める。15年1月をめどに自治体に新基準による財務書類の作成を要請し、原則として3年後の18年3月末まで、遅くとも5年後の20年3月末までに移行を完了させたい考えだ。
この他に報告書では、これらの財務書類に盛り込まれた情報の「活用の充実を図ることが重要」と指摘した。総務省は具体例として、図書館運営などへの活用を想定。行政コスト計算書に基づき、本の貸し出しに掛かるコストを「1冊当たり267円」などの形で算出し、市民の満足度を評価する「物差し」としての活用を期待している