令和2年3月13日
新型コロナ感染爆発に備え―改正特措法が成立、施行
「緊急事態」なら私権制限
新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた改正新型インフルエンザ対策特別措置法は13日の参院本会議で与党、立憲民主、国民民主両党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。
同日夜に公布され、14日に施行された。都道府県知事に強い行政権限を持たせて私権を制限する「緊急事態宣言」の発令が可能になる。
安倍晋三首相が実際に踏み切るかが焦点だ。
首相は14日午後6時から首相官邸で記者会見し、改正法成立を受けた今後の対応を説明する。国会審議で答弁に当たった西村康稔経済再生担当相は13日、「適切に運用したい。都道府県知事、全国知事会とできるだけ早く意見交換したい」と記者団に語った。
国内外で感染が収まらない新型コロナウイルスを、旧民主党政権下の2012年に成立した特措法の対象に追加する内容。
追加する期間は、施行日から最長2年と規定しているが、政令で来年1月末までと決めた。
政府が専門家の意見も踏まえ、「全国的かつ急速なまん延により国民生活に甚大な影響が及ぶ」などと判断すれば、緊急事態を宣言できる。
これを受け、都道府県知事による
①住民外出自粛の要請
②学校・映画館など大勢の人が集まる施設の使用制限の要請・指示―などが可能になる。
改正法は13日の参院内閣委員会で可決された。
与野党には私権制限への懸念があり、衆院段階と同様に「緊急事態宣言に当たっては、やむを得ない場合を除き、国会へ事前に報告する」ことを求める付帯決議を採択した。
宣言決定までの会議録の保存なども要求した。
ただ、付帯決議に法的拘束力はない。
条文上は宣言に当たって「国会に報告する」とのみ規定しており、事前報告や国会承認は求めていない。
◇改正特措法ポイント
・新型インフルエンザ対策特別措置法の対象に新型コロナウイルスを追加
・施行日から最長2年の時限措置
・急速な感染拡大で甚大な影響が及ぶと判断すれば、首相が緊急事態宣言を発令
・宣言で都道府県知事による外出自粛要請、施設使用制限などが可能
・国会への「事前報告」は付帯決議
(了)