2022年度政府予算案
一般会計総額107兆5964億円
税収は過去最高
政府は24日、2022年度予算案を閣議決定した。
一般会計の総額は前年度比0.9%増の107兆5964億円となった。
新型コロナウイルス対策や「新しい資本主義」の実現、社会保障などの関係費が膨らみ、4年連続で100兆円を超えた。
企業業績の改善により税収は13.6%増の65兆2350億円と、過去最高額を見込んだ。
新規国債発行額は15.3%減の36兆9260億円で、2年ぶりに減少した。
◇社会保障費は4400億円増
一般歳出は67兆3746億円で、うち社会保障関係費は同4393億円増の36兆2735億円。
歳出全体の3割、一般歳出の中では5割を超える。
概算要求段階では、増加を6600億円程度と見込んでいたが、薬価のマイナス改定や後期高齢者の医療費窓口負担の引き上げなどによって、高齢化に伴う増加分に収めた。
コロナ対策では、ワクチンや治療薬の開発に向けて国立国際医療研究センターの体制強化に14億3000万円、保健所の人員増などに6億4000万円を充てる。
水際対策の推進には217億円を計上した。柔軟に使えるコロナ対策の予備費として、前年度と同額の5兆円を確保した。
岸田文雄首相が注力する看護職員らの処遇改善では、22年10月から23年3月までの6カ月分として、
看護に約100億円、介護に約200億円、保育所・こども園や障害福祉施設に約300億円、幼稚園に約10億円を計上した。
◇地方交付税は最高額
社会保障以外の主要経費のうち、公共事業費は6兆575億円。うち6割以上を防災・減災・国土強靱(きょうじん)化関連予算が占める。
文教・科学振興費は5兆3901億円、防衛関係費は5兆3687億円。国債の償還や利払いに充てる国債費は、2.4%増の24兆3393億円を計上した。
デジタル庁の予算は4720億円。
うち、各府省が整備・運用するものを含む情報システム関係費が4601億円を占める。
マイナンバー制度推進などの政策経費は42億円となった。
地方一般財源総額は、水準超経費を除く交付団体ベースで、前年度と同水準の62兆円を確保。
地方交付税は、入り口ベースで15兆6558億円、出口ベースで18兆538億円となった。
税収増により、出口ベースはリーマン・ショック以降で最高額となった。
◇赤字国債発行額は18%減
税収65兆2350億円のうち、法人税は前年度の約1.5倍となる13兆3360億円を見込んだ。
消費税は21兆5730億円、所得税は20兆3820億円。
新規の赤字国債発行額は17.7%減の30兆6750億円、建設国債は1.4%減の6兆2510億円となった。
公債依存度は34.3%で、21年度より6.6ポイント下がった。
歳出総額から国債費を除いた「基礎的財政収支対象経費」は、総額の約8割を占める83兆7166億円で過去最大。
基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字は13兆462億円で、前年度より約7兆円改善したが、19、20年度と比べると悪化している。
政府は、国・地方のPBを25年度に黒字化させる目標を掲げており、21年度末までにコロナの影響を踏まえて目標の「再確認と検証」を行う。
しかし、コロナ対策費に加え、22年度以降は団塊の世代が後期高齢者に入り始めることから社会保障費の伸びは高い水準が続くと予想され、
達成へのハードルは高いとみられる。