安東伸昭ブログ

安東伸昭の行動日記

岸田首相年頭記者会見

2023年01月04日 | 政治

令和5年1月4日

岸田首相年頭記者会見

 「インフレ率超える賃上げを」=格差是正を重視

岸田文雄首相は4日、三重県伊勢市の伊勢神宮を参拝後、年頭記者会見に臨み、

「賃上げによる人への投資こそが日本の未来を切り開くエンジンになる」と賃上げに意欲を示した。

   

今年の春闘を念頭に「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい」と経済界に呼び掛けた。

 首相は「賃上げと投資という二つの分配を強固に進め、格差の少ない力強い成長の基盤を作り上げる」と強調。

自身の経済政策「新しい資本主義」を巡り、格差是正のメッセージが十分でないとの指摘があることを踏まえ、

分配重視の姿勢をアピールした形だ。

 首相は、6月までにまとめる労働市場円滑化のための指針で、リスキリング(学び直し)による能力向上支援、

日本型職務給の確立、成長分野への円滑な労働力移動による「三位一体の労働市場改革」を進める意向も示した。

男女間賃金格差の是正や、年齢とともに女性の正規雇用が減少する「L字カーブ」の是正にも取り組むとした。 

 首相は「異次元の少子化対策に挑戦する」との考えも表明。

6月の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」策定時に、子ども予算倍増の大枠を示すと改めて説明した。

 新型コロナウイルス対策では、中国本土からの入国者検査を8日からPCR検査に切り替え、

直行便の入国者に陰性証明を求める考えを表明。

5月に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)については

「核兵器のない世界の実現に向けた力強いメッセージを発信する」と述べた。

 

 ◇岸田首相会見ポイント

 一、インフレ率超える賃上げ呼び掛け

 一、分配進め、格差の少ない成長実現

 一、労働市場改革や男女賃金差是正に意欲

 一、少子化問題で「異次元の対策」

 一、中国本土からの入国者への検疫強化

 一、広島サミットで「核兵器ない世界」発信

 


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地方版戦略策定で手引

2023年01月04日 | 行政

令和5年1月4日

デジタルの外部有識者参画を=地方版戦略策定で手引

 政府は、「デジタル田園都市国家構想」の総合戦略決定を受け、

地方版戦略策定に当たってのポイントを自治体向けの手引としてまとめた。

従来の地方創生の総合戦略に新しく加わった部分を解説。

デジタル関連施策を実効的なものとするため、関係機関が集まる推進組織には、

情報通信技術(ICT)分野に精通する外部の団体・有識者が参画することが重要と強調した。

 デジタル分野に精通した団体・有識者としては、大学の研究者のほか、専門の企業などが考えられる。

ただ、小規模な自治体ではそういった人材の確保が難しいケースも想定される。

そこで政府は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に通じた人材の派遣をはじめとした支援策で後押しする。

 この他、手引は施策間の連携を深めるため、自治体内で部署横断的な企画立案を進めることを要請。

期間設定では、国の総合戦略が2023~27年度の5年間である点への留意を求めた。

また、地域が目指すべき理想像として「地域ビジョン」を掲げるよう促し、

「スマートシティ」や大学を核とした産学官の取り組みなど総合戦略で挙げたモデル例を掲載した。

 政府は17日にオンラインで、自治体担当者向けの説明会を開催する予定

2月以降、各地での現地説明会も検討している。

 国の総合戦略は、これまでの地方創生の戦略を引き継ぐ形で策定した。

デジタル技術は地域の社会課題解決のカギになるもので、その力を生かして地方創生を深化・加速させると整理。

東京一極集中是正のため、地方と東京圏の転出入者数を27年度に均衡させ、

東京圏から地方に移住する人を年1万人にする数値目標を盛り込んだ。

 政府は地方創生の地方版戦略について、任意での策定を自治体に求めているが、

多くの団体で作成済み。これを生かす形で、策定・改定を促す方針だ。

 

   

  この画像をクリックすると本文を確認できます。

 

 手引書の8項に地方議会との関係が明記されています。

  津山市議会議会基本条令 15条の実行及び必要に応じては17条の追加を検討する必要があると考える。

 

 

津山市議会基本条令

(重要な政策等の監視及び評価)

第15条 議会は,市長等が提案する重要な政策,計画,施策,事業等(以下「重要な政策等」という。)について,

議会審議における論点を明確にし,その重要な政策等の水準を高めるため,市長等に対し,

次に掲げる事項の説明資料を提出し,それに基づき説明等を求めるものとする。

 

(議決事件の追加)

第17条 議会は,地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定に基づき議決事項を追加する場合は,

その理由及び根拠を明確にしなければならない。

 

 

 

 

 


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米粉専用品種増産へ

2023年01月04日 | 農業

令和4年12月30日 日本農業新聞

農水省

米粉専用品種増産へ 機械・施設を半額補助 

農水省は、米粉専用品種の拡大支援に乗り出す。

種子の増産を支援する事業を設け、生産者やJAなどを対象に、育苗器や乾燥機といった幅広い機械・施設の導入を半額補助する。

パンや麺への加工に向き、需要が見込める品種の生産を促す狙い。

併せて措置する専用品種への新たな転作助成も通じ、国内で自給可能な米粉の利用を広げ、食料安全保障の強化や水田の維持につなげる。

 支援対象者は生産者や農事組合法人、JAなど。

対象品種はパンに加工した際に膨らみが良い「笑みたわわ」をはじめ、「ミズホチカラ」「ふくのこ」「亜細亜(あじあ)のかおり」などを想定する。

輸入に大きく依存する小麦の代替として増産を促す。

 導入を補助する機械・施設は、床土・種もみ処理施設や催芽機、播種(はしゅ)機、比重選別機など幅広い。

既にある施設に機械を置く場合も支援する。種子消毒施設や包装施設といった「種子種苗生産関連施設」は、

計画処理量1トン当たり111万3000円が導入費の上限となる。

   

 2022年度第2次補正予算で140億円を計上した「米粉の利用拡大支援対策事業」で対応する。

同事業では食品製造事業者の施設整備や商品開発なども支援する。

 同省は米粉専用品種への転作助成も見直す。

既存の水田活用の直接支払交付金による米粉用米への交付単価は、標準単収の場合10アール当たり8万円。

23年度予算案では、パン・麺用の米粉専用品種であれば同9万円を受けられる「コメ新市場開拓等促進事業」を新たに110億円で措置した。

こうした助成も講じ増産を促す。

 同省は米粉用米の生産量を30年度までに13万トンに増やす目標を掲げる。現状の約3倍に当たる。

 

   

 


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環境配慮の品種続々 有機栽培に適した水稲

2023年01月04日 | 農業

令和5年1月4日

環境配慮の品種続々 有機栽培に適した水稲、

農薬減らせるキャベツ みどり戦略の推進力に

有機栽培に適した水稲や、農薬の使用量を減らせるキャベツ。

農業の環境負荷低減を目指す農水省の「みどりの食料システム戦略」を受け、こうした品種に注目が集まっている。

化学農薬や化学肥料の低減など、同戦略を現場で無理なく進めるためにも、収量や品質を確保できる品種の開発が急務となっている。

   

 有機栽培に適した水稲新品種を開発したのは滋賀県だ。

田植え後1カ月程度の生育が旺盛なのが特徴。

有機栽培では、水稲の生育が雑草に妨げられることが課題となるが、雑草が大きくなる前に成長するので影響を受けにくい。

県によると、有機栽培に焦点を当てた水稲が開発されるのは全国でも珍しい。

 11月下旬に最終選抜を行い、「滋賀83号」を新品種に採用した。

2023年産で試験栽培し、24年産で本格デビューさせる。

 19年産から有機栽培米の産地化に取り組む県は「環境保全型農業に全国に先駆けて取り組んできたトップランナーとして、

有機栽培米の増産に弾みを付けたい」(みらいの農業振興課)と意気込む。

 一方、種苗メーカーの丸種(京都市)が取り扱うのは、農薬の使用量を減らせるキャベツ「YR優緑」だ。

例えばべと病抵抗性品種のように、特定の病害虫に抵抗性を持ち、その病害虫向けの農薬の使用を抑えられる品種はよくあるが、

同品種は、基本的に農薬全般の使用量を減らせる。

 一般的にキャベツは、葉の表面がろう成分で覆われているため、農薬が葉面ではじかれ、流れ落ちやすい。

一方、同品種は、ろう成分を持たない。

農薬の流出が少なく、少量でも効果を得やすい。

食味は一般的なキャベツと変わらず、葉は少し固めだが糖度は高いという。

同社は「減農薬を可能にした新しいタイプのキャベツ」とする。

 他にも、有機栽培に適した野菜の開発などが専門の自然農法国際研究開発センター(長野県松本市)が取り扱うのは、

痩せ地や病害虫に強い中玉トマト「メニーナ」だ。

有機栽培の条件下で10年ほど選抜を繰り返し、有機栽培への適性が高い品種を生み出した。

 同省は今月、「みどりの食料システム戦略」の実現などに向け、環境負荷低減や食料安全保障の強化に向けた新品種の育成方針も決めた。

同省は「同戦略に取り組む上で、品種開発は重要な手段の一つ。同戦略に資する品種開発を進めていきたい」(研究統括官室)と話す。

 

 


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知っておく必要がある、インボイス制度

2023年01月04日 | 行政

令和5年1月4日

「インボイス制度」に激変緩和措置! 気になるその内容を解説

インボイス制度についておさらい

インボイス制度は、買い手と売り手に関わる消費税のルールです。

買い手と売り手それぞれの立場で解説します。

   インボイス制度の概要|国税庁 (nta.go.jp)

   

 

買い手側から見たインボイス制度

買い手側から見たインボイス制度と、影響について確認しておきましょう。

事業者が売り上げにかかる消費税を納付する際に、仕入れに生じた消費税分を差し引く「仕入税額控除」を行います。

仕入税額控除を適用するには、取引で交わした請求書に以下の項目が必要です。

●書類作成者の氏名や名称

●取引年月

●取引内容

●税込み支払価格

●書類の交付先の氏名や名称__

インボイス制度が始まると、仕入税額控除を受けるには、上記の項目に「登録番号」「適用税率」「消費税額等」の記載が追加で必要です。

つまり、インボイスの発行事業者との取引でないと、仕入税額控除を受けられません。

そのため、仕入税額控除を受けられない取引を中止せざるを得なくなります。

 

売り手側から見たインボイス制度

次に、売り手側の視点でインボイス制度を確認します。

まず、インボイスの発行事業者として登録していないと、買い手側が仕入れ額控除を使えません。

そのため、買い手側が取引を中止する可能性があります。

加えて、インボイスの発行事業者として登録するには、「課税事業者」にならないといけません。

そのため、課税売上高が1000万円以下で消費税の納付が免除される「免税事業者」も課税事業者になります。

これまで免税事業者だった事業者でも、インボイスの発行で消費税の支払いが必要です。

その結果、売り上げが減る恐れもあります。以上から、インボイス制度をまとめると、以下の通りです。

インボイス制度は2023年10月から開始

●インボイスの発行事業者の請求書でないと仕入税額控除を受けられない

●インボイスの発行事業者になると、売上高にかかわらず課税事業者になる__

インボイス制度は、免税事業者やフリーランスから反発の声が上がったため、2022年12月に「負担軽減策」が発表されました。

どのような軽減策となったのか、確認していきましょう。

 

インボイス制度の新しい緩和措置とは?

新たに発表されたインボイス制度の緩和措置は、受け取った消費税の2割の納付になる見通しです。

これまでのインボイス制度と比較すると、図表1の通りになります。

 

売り上げと仕入れから、消費税の納付額をシミュレーションしてみましょう。

●売り上げ450万円(うち消費税45万円)

●外注費80万円(うち消費税8万円)

消費税の納付額は、売り上げの消費税から仕入の消費税を差し引いて計算します。

●これまでの制度:45万円-8万円=37万円

●緩和措置:(45万円-8万円)×20%=約7万円

緩和措置の導入で、消費税の納付額も約30万円も開きました。しかし、新しい緩和措置は、2023年10月から3年間の時限的な措置です。

3年後に緩和措置が終わると負担が増加するので、問題が先送りされているだけだと指摘する声も上がっています。

 

緩和されたように見えるが問題が先送りされているだけ?

インボイス制度と新たに発表された緩和措置について解説しました。

消費税の納付額は軽減される措置になりましたが、3年間の時限的な措置が終わると、その後はどうなるか不透明です。

緩和措置が終了すると、負担が一気に重くなる人もいるでしょう。

今後も、どのような制度になっていくのか引き続き注目してみていく必要があります。

 

出典

国税庁 申請手続

国税庁 No.6497 仕入税額控除のために保存する帳簿及び請求書等の記載事項

国税庁 消費税の仕入れ税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。

 

 


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食料安保強化に向けた課題は?

2023年01月04日 | 大豆

令和5年1月1日

農業変革の時、基本法見直しへ 食料安保強化に向けた課題は?

ウクライナ危機を背景とした食料や生産資材の高騰、調達の不安定化で、食料安全保障の強化が重要課題に浮上している。政府は、“農政の憲法”とされる食料・農業・農村基本法の見直しにも踏み出した。基本法制定以降の国内農業の変化、安保強化に向けた課題を追った。


重要品目の動向 生産構造転換進む

 1999年の基本法制定以降、政府が国内生産の確保を重視する「重要品目」の生産は、どう推移しているか。主な品目の動向をまとめた。

■米

 米は需要減が続く主食用から、飼料用を中心とした非主食用への転換が進むが、全体では縮小している。

作付面積は2021年までに13%減少。水田面積も11%減った。

農水省は畑地化も含めた麦・大豆などへの転換を促す施策を強めており、農地維持の面からも今後の動向が焦点だ。

   

■麦

 食料安保強化に向け、政府が増産を重視する小麦は近年、米からの転換を主因に回復傾向で、

21年産で30年ぶりに22万ヘクタール台に回復した。

一方、10アール当たり収量は20年産447キロ、21年産499キロ、22年産434キロなどとぶれが目立つ。

実需者からの安定供給の求めに農水省は、豊作時に保管し、凶作時に供給できるよう保管施設の増強支援に乗り出す。

   

■牛肉

 牛肉生産は総量では大きな変化はないが、種類別では和牛が増加傾向の一方、乳用種は20年間で約3割減った。

農水省は、酪農経営で性判別精液の利用が広がり、肉用となる雄の頭数が減ったことを背景に挙げる。

 一方、環太平洋連携協定(TPP)や日米貿易協定で牛肉関税の削減は今後も進む。

値頃な国産乳用種は、輸入牛肉との競合がより厳しくなるとみられる。

   

■生乳

 生乳生産量は、都府県は離農が進むなどで減少する一方、北海道が増産している。

1999年と2021年の生産量を見ると、都府県は483万トンが333万トンに、北海道は363万トンが427万トンになった。

生産をけん引してきた北海道だが、直近は新型コロナウイルス禍による需給緩和などを背景に減産を決めるなど急ブレーキがかかっている。

 

担い手層の推移 雇用就農に存在感

 食料・農業・農村基本法の制定以降、農業に携わる人の数は右肩下がりで推移する。

高齢化も進み、現在の年齢構成を考慮すると、将来的な減少も避けられそうにない状況にある。

一方、農業法人などに雇われる形で農業に就く「雇用就農」が若手で増えているなど、変化も見え始めてきた。

大幅減少避けられず

 農業が主な仕事の「基幹的農業従事者」は、2000年時点で240万人いたが、22年に123万人に減った。

1999年の基本法制定から20年ほどで半減したことになる。

平均年齢は67歳を超え、20年後の農業を担う50代以下は、全体の2割に当たる25万人にとどまる。

 10~20年後を見据えると「大幅な減少が確実となっている。

少ない経営体で農業生産を支えていかねばならない状況」(農水省)だ。

同省は、20年後の基幹的農業従事者は30万人と現在の4分の1まで減ると推計している。

   

 

若手世代 新たな潮流

 一方、新規就農の状況に目を向けると、雇用就農が増加傾向にある。

直近の21年は、前年比15%増の1万1570人と過去最多を記録した。

49歳以下の若手に限ると同16%増の8540人に上っており、実家の農業を継ぐ「新規自営農業就農」の7190人を上回った。

 これまでの主流だった親元就農を雇用就農が逆転。

就農希望者の受け皿として法人などが存在感を増しており、新たな潮流となりつつある。

 農水省は、法人について、離農者の農地の受け皿になるとみている。

基本法の見直しに向けた議論では、個人経営を引き続き支援しつつ、法人の経営発展に力を注いでいく意向を示す。

 

   

検証部会の議論は 「適正価格の形成」焦点

 食料・農業・農村基本法の見直しに向けた議論が進む。

野村哲郎農相の諮問を受け、農水省の食料・農業・農村政策審議会は昨年9月に検証部会を新設。論点を詰めている。

 大きな焦点となっているのが、農産物の適正な価格形成だ。

検証部会委員で、JA全中会長の中家徹氏は「再生産に配慮した適切な価格形成の実現が最重点」と強調。

日本農業法人協会副会長の齋藤一志氏も、農業で適正な対価が得られるようにする必要性を訴えた。

 農水省も生産費を考慮した価格設定を求めるフランスの法律を調査するなど、適正な価格形成のための制度づくりに意欲を示す。

 担い手の減少を踏まえた対応も論点だ。

審議会会長で東京大学副学長の大橋弘氏は高齢化が「相当に危機的な状況」だと強調。

「現状の延長線上で大丈夫か。よほどの取り組みが求められるのではないか」と提起する。

 農水省は離農者の農地の受け皿として、農業法人を重視。委員からも法人の育成が必要との意見が出る。

 一方、大規模経営が不振に陥った場合、地域全体に影響が及ぶと懸念する声もある。

従来の担い手に限らず、多様な経営体を基本法に位置付けるべきだとの意見もあり、今後、どう具体化していくかが焦点になる。

 基本法の見直しは6月の改正案の大枠取りまとめ後、24年の通常国会での法改正が想定されている。

   

 

食料自給率1ポイント上げるには!

   


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藻類バイオマスエネルギー

2023年01月04日 | 情報

令和5年1月2日

ついに国の予算がついた

藻類バイオマスエネルギーで日本が本当に産油国になる日

 ついに国の予算がついた…藻類バイオマスエネルギーで日本が本当に産油国になる日 

  ・ミドリムシ?

  ・発電菌?

 

藻類バイオマスエネルギー研究を続ける(一社)藻類産業創成コンソーシアム理事長で

筑波大学共同研究フェローの渡邉信(わたなべ・まこと)さんのプロジェクトに国の予算がついた。

10年ほど前、「日本を産油国にする」と言って顰蹙を買った渡邉さん。しかし、時代はその発言を追うかのように、

新エネルギーに向かって大きく舵を切り出した――。

   

下水を使った藻を繁殖させ原油をつくる筑波大学教授時代から

渡邉信さんが研究を進める藻類バイオマスエネルギーは、下水処理場を使って藻を繁殖させ、

濃縮し、原油化するという画期的なプロジェクトだ。

下水処理では、有機物や窒素、リンを取り除くために膨大なエネルギーを必要とする。

その一連の処理を藻が行い、その藻を使って原油を生むというのが渡邉さんのめざす着地点だ。

日本全国の下水処理場がその舞台である。

プロジェクトは、苦しみをともないながらも着々と進んでいる。

前回のインタビュー(プレジデントオンライン 2022年3月25日)から最も大きく進んだのは、国から研究が評価され、予算がついたことだ。

具体的に言えば、国土交通省水管理・国土保全局から年3000万円の予算が2年にわたって下りることになったのだ。

渡邉さんが現在の進捗(しんちょく)状況をこう言う。

「私たちの研究はいま、実証段階へと移行しつつあります。

国交省から2年間にわたって予算がつくことになったのは、下水関係者と勉強会を開いたりしながら、

理解を深めてきたことも大きかったと思います。

これは私たちにとって、大きな進展でした。

下水処理が公共事業である以上、国の理解と支援が欠かせなかったからです。

とにかく行政が目を向けてくれたことが重要です。

私は、彼らを失望させたくない。いまは成果を上げていくことだけに日々傾注しています」

プロジェクトは、まず大学での基礎研究、次にそれを基に企業等法人が中心となって技術開発をする応用研究、

そして、それらの研究が評価され、ようやく実証研究へと進んでいく。

実証研究では、大がかりなパイロットプラントを造り、下水処理施設を実際に使うことになる。

このレベルまでくると、大学や企業ではなく、県レベルの行政の管轄となる。

現在、渡邉さんのプロジェクトは、この実証段階の手前の応用研究まできている。

「この12月に、現在の研究開発進捗状況や課題についての中間報告をおこない、

有識者会議から評価を受け、3月の年次評価で継続を認められれば、次年度は20倍の規模で、

今年度得られた培養・濃縮・バイオ原油変換の最適条件などを検証していく、ということになるわけです。

具体的には、たとえば、藻類の収穫量を安定的に確保するという課題があります。

いま目標値としているのは、水深1mの100Lタンクで1日リッター当たり0.1から0.2グラムの生産収穫で、

この9月の段階では、小貝川東部浄化センターで0.199という値を出すことに成功しています。

一番低くても0.13グラムでした。10月~11月はさらにこれを上回る数字で、

リッター当たり0.2から0.3グラムという目標値のマキシマムを超える数値を出しています。

これを維持していきたい。

そして、その増殖した藻類を収穫し、高温高圧(350℃ 200気圧)によって有機物を油化する『水熱液化』という技術を使って、原油に変換するわけです」

年間150億立方メートルの下水で原油を生産できる

現在は、いくつかの条件を設定しながら、100Lタンクを使って、どういう条件で藻を培養するのが効率的なのか、

最適な条件を見つけようとしている段階。

もちろん、自然のまま藻が出てくるのが一番強いわけだが、必要とする藻類の生産量を上げられるかがポイントとなってくる。

「11月から寒い時期により増えるタイプの藻類を入れたりしながら調整していきます。

基本的に生産するのは野外ですから、環境の振れ幅にも耐性を持っている種がいいわけですが、

暑いときに増える藻類は寒いときには増えない。

暑いときに増えるもの、寒いときに増えるもの、それらが上手にかみ合ってくれれば安定した生産につながるわけです」

現在、日本全国の下水処理量は年間約150億立方メートル。

それをすべて使えば、原油の生産量はこれだけになるということは計算上は示せるが、

下水関係の行政官からは、そのうち実際に使えるのは何割かといった具体的なデータが常に求められている。

「たとえば、太平洋側と日本海側では、冬場の日照時間が違うでしょう。

光合成はどうなんですか、と尋ねられる。

そこにもまた新たな技術が必要になってくるわけですし、季節によって変わっていく藻の実態をつかむことは大きな課題でした。

ただ、この1年で、1日の平均的な収穫量はなんとか見えてきたので、その地域の気象、

環境に適応している土着藻類集団を活用していくことで、クリアできる可能性は高くなっています」

もっとも、そうやってさまざまな問題を技術で解決できても、コストの問題は常につきまとう。

たとえば、精製コストの問題なども明確にしていかなければならないわけだが、「実際には石油と比べても大きくは変わらない」と渡邉さんは見ている。

「これからの2年間でまずそれなりの成果を出して、次のステップ、大規模なパイロットプラントでの実証研究までもっていく。

いまのプランとしては、下水処理場内に直径50メートル、深さ1.4メートルぐらいのタンクを設置して実際に下水を利用して藻を生産する。

そして、国交省が下水道法を改正し、国の認可の下で藻類による下水処理と原油生産を全国の下水処理場でできるようにする。

そこまでが2030年までにできれば、理想です。あと8年しかないので時間はないわけですが」

太陽光、水素では飛行機を飛ばすには役不足

渡邉さんは、藻類バイオ原油の優位性、重要性をこう説く。

「他の再生可能エネルギーももちろん重要です。

しかし、たとえば、飛行機を飛ばすにあたっては、太陽光、水素などの電気エネルギーは現実的ではない。

なぜならば、オイルほど高いエネルギー密度を持っている資源はないわけです。これをなぜ使わないのか、ということなのです。

たしかに電気自動車は走らせるにあたっては、CO2は排出しません。

けれども、その電気の資源は化石燃料であり、原子力であり、さらには送電で運ばれたものです。

そういう意味でも、全国各地の下水資源を使い、CO2を吸収しつつ原油を生む藻類エネルギーの意義は計り知れないと思っています」

渡邉さんはエネルギー資源の限られた日本で藻類バイオマスが果たす役割の大きさを確信している。

「私たちの最終ゴールは、やはり、日本で原油をつくるということです。

日本国内で原油を生産することがいかに大事であるかは、いままさにエネルギー問題に直面していることからもわかるように、

国防上でも、生活していく上でも、きわめて重要だと考えています。

現在の目標値からいけば、この藻類エネルギーの開発によって、日本が輸入している原油のかなりの部分をまかなえる可能性は高いとみています」

藻類バイオマスエネルギーの研究に本格的に取り組んで18年。

74歳の研究者は、藻類の原油化という崇高な目標に向かってひた走る。

「解決すべき問題は多く、つらいことはつらいんですけど、実現に向けてひとつまたひとつと着実に進んでいることがいまはたまらなく幸せです」

一志 治夫(いっし・はるお) ノンフィクション作家 1956年長野県松本市生まれ。

東京都三鷹市育ち。

講談社「現代」記者などを経て、ノンフィクション作家に。

『狂気の左サイドバック』で第1回小学館ノンフィクション大賞受賞(新潮文庫収録)。

主な著書に、『失われゆく鮨をもとめて』(新潮社)、『たったひとりのワールドカップ 三浦知良1700の闘い』(幻冬舎文庫)、

『魂の森を行け 3000万本の木を植えた男』(新潮文庫)、

『幸福な食堂車 九州新幹線のデザイナー水戸岡鋭治の「気」と「志」』『美酒復権 秋田の若手蔵元集団「NEXT5」の挑戦』(ともにプレジデント社)など多数。 

 

さんデジ(2022年4月23日)

  未利用農地でコケ培養 コバシHDなど、新産業創出へ

未利用農地でコケ培養 コバシHDなど、新産業創出へ

農業機械製造などのコバシホールディングス(HD、岡山市南区中畦)は27日、真庭市の未利用農地でコケを培養するプロジェクトを始めると発表した。コケはインテリアとして人気が高まっているほか、ビルなどの壁面緑化や、水質を浄化する環境改善素材にも活用できるという。岡山県内外の企業や自治体と協働し、新産業の創出を目指す。

 プロジェクトチームにはコバシHDのほか、コケの胞子が発芽して糸状になった「原糸体」の大量培養技術を持つ理化学研究所発のベンチャー・ジャパンモスファクトリー(JMF、埼玉県和光市)▽農事組合法人・寄江原(真庭市下方)▽真庭市▽中国銀行と山陽新聞社、天満屋など5社でつくる地域商社「せとのわ」(岡山市北区本町)―が参画する。

 コバシHDは、水田のあぜを固める「あぜ塗り機」を用いて培養プールを造成。JMFはプールで原糸体を育て、寄江原は苗箱などに原糸体を移してコケを栽培する。せとのわは製品企画や販路開拓を担当。真庭市は協力する農家の紹介などサポートを行う。

 今年は生産管理や栽培に注力し、来年以降、透明なガラス容器でコケを育てる「テラリウム」などを製品化する。建物の断熱効果を高める壁面緑化用にも売り込む計画。コケは金属を吸着する性質があることから、廃水などを浄化する用途も探っていく。培養プールは今後増設し、2024年までの3年間で1億円の売り上げ目標を掲げる。

 コバシHDは、バイオ企業・ユーグレナ(東京)とミドリムシを大量培養する共同研究で、プールの造成技術を確立。同サイズのコンクリート製と比べて費用が約10分の1と安価な上、田畑に戻すのも容易なことから活用策を探ってきた。コケの培養事業が広がれば、年々増えている未利用農地を有効活用でき、農家の新たな収入源にもなるという。

 この日は、培養プールを設けた寄江原の圃場(ほじょう、真庭市鹿田)にプロジェクトチームの代表者が集まり、記者会見。コバシHDの坂下翔悟執行役員は「地域の経済を回しながら、社会問題の解決に取り組んでいく」と述べた。

 


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