ノイバラ山荘

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雪・月・花

2010-05-18 22:38:58 | 短歌
万葉集に雪月花を詠んだ大伴家持の歌があります。
巻十八終わりの方です。


巻十八4143

     宴席に雪月梅花を詠める歌一首

・雪の上に照れる月夜(つくよ)に梅の花折りて贈らむ愛(は)しき児もがも


雪の上に月が照り輝くこんな美しい夜には、梅の花(枝)を折って贈りたいような可愛いい娘がいたら良いなあ・・という意味。

宴席での「雪月(梅)花」を題とした題詠です。
これが日本で雪月花が題とされた初めらしいのです。

和歌で雪月花が題として定着するのは平安時代ですが、
日本の美意識を代表する言葉として今でも受け入れられています。
(GACKTの曲に「雪月花」があったような・・。)

中国から輸入された考え方らしいです。

唐の詩人、白居易(772-846)の詩「寄殷協律」にも
この言葉は出てきます。


琴詩酒友皆抛我  琴詩酒の友は皆我を抛つ
雪月花時最憶君   雪月花の時最も君を憶ふ


白居易存命中の844年に、平安時代の留学僧恵萼により
67巻本の『白氏文集』が伝来しているらしいのですが、
家持の歌はそれより約100年前ということになります。
まだ白居易が生まれる前です。

30代になったばかりの家持の若々しい
先取の精神にふれる思いがします。