ヌマンタの書斎

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会社法1 概要と既存の有限会社

2006-06-06 09:28:16 | 経済・金融・税制
今年、5月より新・会社法が施行されました。法案自体は昨年6月に国会で成立していましたが、詳しい内容を定めた法務省令の公表が大きく遅れていて、私らも困っているところです。

まだ勉強中ですが、これまで印象を一言で言うと、アメリカの影響が非常に強まった、です。

明治維新により、近代国家への道を踏み出した日本が選択したものの一つに、ヨーロッパ型の法治国家の建設がありました。民法はナポレオン法典(フランス)に、商法はプロシア商法典にと、本来日本の社会習慣、制度を立法化するべきにも関わらず、法律そのものを末オて導入し、長い歳月をかけて法と社会をすり合わせていくという、前代未聞の国家建設を育んできたのが日本です。

しかし、20世紀に入りアメリカの影響を強く受けるようになり、従来のヨーロッパ型(大陸型とも言います)から、アメリカ型の法体系へと少しづつ変化してきました。なかでも、今回の商法改正、会社法新設は、きわめてアメリカ寄りのものとなっています。

極めて大きな変化ですので、先月くらいから会社法への否定的な意見が新聞紙面を、ときおり賑わせているようです。正直、従来との整合性はあまり重視されていない会社法ですから、拒否反応が起こるのも無理ないところがあります。

そうは言っても法は法。既に実施されているのです。私の事務所でも、既に新会社法のもとでの、新会社設立の仕事も行っています。正直手探り状態なのですが、メリット、デメリット双方あり、一概に否定もしませんが、やはり困惑は避けられない。

ここ暫く、何回かに分けて新・会社法について、私なりの見解を述べていきたいと思います。

まず、従来の商法は、どちらかといえば大会社向けのものでした。しかし、新・会社法は中小企業をメインとした部分が非常に多い。日本の会社の9割は、中小企業ですから、ある意味実情に即したものを目指していると思います。もっといえば、旧・商法の有限会社法編のかなりの部分を、今回の新・会社法にもってきたと言ってもいいかもしれません。

なお、既にある有限会社は「特例有限会社」として半永久的に存在することになります。法律上は、株式会社としての扱いになりますが、有限会社のメリットも残されています。実は非常にオイシイ。
もし、現在休眠中の有限会社をお持ちの方がいるようでしたら、是非大事にしてほしいと思います。
使い方によっては、非常に便利で、新会社法下での株式会社よりも、使い勝手は良いのではないかと考えています。旧・有限会社のメリット、デメリットは以下のとおりです。

 メリット ① 役員の任期規制がない。つまり株式会社なら2年に一回ある改選登記費用がかからない。
      ② 決算公告義務がない。
 デメリット① 株式よりも格が下と見られる
      ② M&Aには向かない

既に長年有限会社としてやってきた実績がある会社には、デメリット①は関係ないし、そもそもM&Aを考えていない経営者が大半なので、つまるところデメリットはなく、従来の有限会社のままで良いが結論です。
コメント (2)
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