ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

外堀は埋まったか?!

2012-09-27 12:16:00 | 経済・金融・税制
物事には必ず良い面と悪い面がある。

今年は昨年以上の不況ではないかと感じる。その原因の一つに政府の無為無策がある。とにかく、今の民主党政権は内向きで、国民の暮らしぶりに対する関心がまるでない。野田首相ばかりでなく多くの閣僚が霞が関の方ばかり向いていて、国民生活の実態から目を背けている。

もはや選挙では勝ち目なしと諦めているのか、多数派に目を背けて、従来から自分たちを熱心に支持していた依怙地な少数派(反原発、反米軍基地)に媚び売ることで、糊口をしのぐつもりらしい。

霞が関(官僚)は相変わらず、お役所村の秩序維持にしか目がいかず、下々のことなど気にもとめない。もちろん、地方自治体は悲鳴を上げているので、霞が関詣ではしているのだが、昔と違い官官接待がなくなったので、エリートさんたちには耳が痛い情報が伝わっていない。

何度か書いているが、明るい会議室で下級職にある者が、上級職にある者に対してその仕事の瑕疵を口に出来るわけがない。昔なら酒の席で、やんわりとそのあたりを指摘してご理解いただく知恵があった。だが飲食を伴う接待なんか必要ない、との浅薄なお利口さんたちが夜の情報交換を禁じてしまった為、下々の本音は霞が関には伝わらない。

だから霞が関の頭のいいはずのエリートさんたちが打ち出す政策の多くが、空振り続き。東北関連の復興予算でさえ、この秋の段階で一兆円以上余っているというのだjから、信じがたい非効率ぶりだ。

これは現場の本当のニーズを取り込めなかったが故の失態なのだが、主導すべき政治の不在が根幹にあるため、その責任を官僚だけに押し付ける気はない。今の政治家、これは民主、自民を問わず、本当に現場に行かない。

かつて田中角栄が派閥の末端議員にまで厳しく命じたドブ板選挙の伝統は、既に廃れてしまったのだろうか。自ら足を運ばずして、有権者の本音が引き出せると思っているのだろうか。だとしたら傲慢甚だしいし、国民の本音が分からないのも当然だと言える。

ところで、私は今年は昨年以上に不況だと冒頭で書いた。その根拠は、市中にお金が十分に回っていないことを実感しているからに他ならない。

その原因は日銀が、相変わらずデフレ政策を継続しているからだ。景気が冷え込んでいる時に、財政緊縮政策をやっているのだから、不況は必然の結果に他ならない。夏前に、日銀の新しい政策委員に、脱デフレが持論の新人を送り込んだようだが、結果をみれば相変わらずのデフレ政策維持である。

私に言わせれば、脱デフレは白川・日銀総裁が二期目を狙って、口先だけで唱えただけに過ぎず、本音はデフレ政策の維持なのだろう。そのことは、今年の円ドル相場を見れば一目瞭然なのだ。

民主党政権は、円高に苦しむ企業なんかに興味はないし、実質賃金の目減りに苦しむ国民にも興味はない。興味があるのは、反対者が多数の人権救済法案であったり、熱烈な少数派の主張する脱・原発政策ぐらいなものだ。

日銀の白川は、そのあたりを見越して、口先だけの脱デフレで誤魔化すつもりだったのだろう。幸い、日経や朝日など主要マスメディアは、記者クラブを通じて上手くコントロールできているので、世論は無視できると踏んでいたはずだ。

しかし、そうは問屋が卸さなかった。

今年も欧州の金融危機は、未だ危険水域にあることに変わりはなく、アメリカでも景気回復の足取りは鈍い。大量のユーロ紙幣、ドル紙幣を刷ってきた欧米は、日本だけが緊縮策を堅守しているがゆえに苛立ちを隠せなくなった。

世界経済を牽引してきたシナ経済にも陰りが見える以上、日本に景気拡大を迫らざるを得なくなってきたからだ。そうなると、デフレ政策を頑なに守ろうとしている白川・日銀が邪魔であることは明らかだ。

慌てた白川は、10億ドル規模の資金注入を言い出したが、この程度ではデフレ解消にはほど遠い。官僚的な「追加策の小出し」は国際的には通用しない現実を認められないらしい。実際、日銀が小出し、小出しの追加策をやるたびに円は高くなっている。誰かいい加減、その事実を日銀につきつけてやれよ。

国際金融市場は、既に白川・日銀総裁にイエローカードを突きつけたと私は思う。日銀の記者クラブで懐柔されている腰抜け記者たちは、さすがに其処までは書けない。だから外堀は埋められたなどと、他人行儀な記事で誤魔化している。

だが、そろそろ本気で白川の後任探しが始まっているとみるべきではないか。私は期待を込めて、そう願っている。

もし日銀が本気でデフレ政策からインフレ政策への舵を切れば、おそらく円相場は一ドル90円台はおろか100円もありうる。図体がでかいだけのメガバンクや、上っ面だけのIT企業では、日本経済を牽引できない。やはり輸出で稼ぐ自動車、家電などの製造業こそが主軸だと私は考えている。

ただし、物事には良い面、悪い面がある。デフレ政策は不自然なまでに円の価値を押し上げてしまった。そのために輸出企業は辛酸をなめたわけだが、その反面輸入する原材料、石油、天然ガスなどの価格を抑制していたのも事実だ。

忘れてもらっては困るのだが、石油等の化石燃料は世界的になだらかに高騰を続けている。この傾向は長期的なもので、輸出で稼いでいるはずの韓国やシナの国内経済が不振なのは、生活費を直撃している輸入原材料の高騰が大きな原因だ。

ここ最近の反日暴動(デモでは甘いと思う)の根底には、生活が苦しい人々の不満があると思う。反日という狼煙は、自国政府に対する不安を誤魔化すのに最適の手法であることは、シナにおいて今も昔も変わっていない。

同じことが日本にも起きる可能性は高い。ただでさえデフレ不況の苦しむ日本に、生活費の高騰を招く円安は極端な排外主義や民族主義を生み出す元凶になりかねない。これを防ぐには、円安を景気上昇につなげて雇用回復と実質賃金増加に結び付けることこそ理想なのだ。

民主党のように金をただばら撒くだけの景気対策、雇用対策は誤魔化しにすぎない。やはり仕事の機会を増やし、働いて金を稼いで生活を安定させることこそ王道だと思う。

そうなると、今の民主党政権及び白川・日銀には出来ないことは明らかだ。私としては一刻も早く総選挙を行い、実務型の政権樹立を待ち望んで止みません。
コメント (2)
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