多分だが、平成25年は私の人生で三指に入るほどの悪運に恵まれた年であった。
なんといっても今年2月の心筋梗塞による緊急入院である。このせいで、どれだけ予定が狂ったのか、思い出すだけで頭が痛くなる。更には腎臓結石が追い打ちをかけ、とどめは糖尿病の疑いを指摘されたことだ。
もっとも糖尿は体重を減量すれば、まだ十分余裕がありそうなので治療には至っていない。ただ、医師からは厳しく「今後はご自身の自覚次第ですよ」と釘を刺されている。もう深夜の夜食はやらないと決断せざるを得ない。
実は心筋梗塞をやらかして以降、昨年まで続けていたジョギングと柔軟体操、軽い筋トレを止めていたのが大きな原因だろうと考えている。その癖、甘いものや脂っ気の多いものを食べる習慣はそのままだから太るのも無理ない。
ただ、自分の自覚と努力次第で糖尿病はある程度回避できそうなので、現在試行錯誤しながら減量を実行中である。
私生活が散々であったのは確かだが、それに負けず仕事も辛かった。余裕がまるでない仕事が続いたことが痛い。なにせ心筋梗塞から退院して、その日の午後には仕事をやらざる得なかった。
確定申告という一年で一番忙しい時期にぶつかったので仕方ないが、すぐに法人決算が相次ぎ、更に相続税の仕事に振り回され、休む暇がまるでない。身体的に非常にきつかった一年であったことは間違いない。
そして、その苦労が経済的に報われなかったことが一番辛かった。顧問先の中小企業は昨年以上に赤字決算が続き、黒字決算をたまにやると戸惑うほどであった。梼Yした顧問先もあるし、夜逃げして行方不明の顧客も出る始末である。
仕事をしたのに報酬を頂けない未収の売上の続出は、私の財布を直撃した。「金がないのは、首がないと同じ」とは西原理恵子の言だが、実に身に沁みる金言である。首がないから回りもしない。
そんな辛さを読書で癒したかったのだが、今年はいささか不作の年であった。残念ながら衝撃を受けるような作品にはお目にかかれなかった。むしろ失望のほうが少なくない。
その代表が東野圭吾の「さまよう刃」だ。ずっと読みたいと切望していただけに、この作品の顛末はあんまりだ。ノンフィクションならともかく、フィクションでこんな半端なエンディングは頂けない。ただ作家としての力量の高さは感じ取れたので、いずれ他作品を読むつもり。
佳作として浅倉卓哉の「四日間の奇蹟」を挙げておきます。読んだ当初はけっこう感激したのですが、時間を置いて振り返ってみると、ちょっと演出が臭い。でも熱中して読めたのは確かなので、未読ならば読む価値ありです。
一方、望外な爽快感が味わえたのがドン・ウィンズロウの「ストリート・キッズ」であった。数年前に二作目、三作目をタイトルだけで興味をもって買っておきながら一作目を読むまで我慢していた。待った甲斐があり、これは満足のいく及第点。ただし、二作目三作目を家のどこかに仕舞い込んでしまって見つけられない私が落第。
だらしないにも程がある。
再読では、やはりジャレド・ダイヤモンドの「銃・病原菌・鉄」に尽きる。未だにこの作品を超える知的興奮を与えてくれる本とは出会えずにいる。未読の方は是非ともトライして欲しい。難解というより、その知識の深さ、広さに圧倒され勝ちだが、このような歴史の描き方もあるのだと知って欲しいのです。
マンガに関しても、やはり今年はこれ!といった作品には出会えなかった。ただ、私が以前から注目していた三部けい「僕だけがいない街」がようやく少しだけ人気が出てきたらしい。拙ブログでも紹介した「魍魎のゆりかご」と「鬼燈の島」も機会があったら読んで欲しいです。
後、どうしても一言文句が言いたい。こら冨樫!あんたは季節労働者か?一年近く連載さぼっているんじゃない。映画じゃ誤魔化されんぞ。早く「HUNTER×HUNTER・暗黒大陸編」を再開せい。まったくもって困った作家である。
で、おまけは映画。あまり注目はされなかったようだが「飛べ、ダゴタ」は良かったです。終戦直後に佐渡島に不時着したイギリス軍輸送機と、地元の人たちとの交流を描いた実話の映画化。さりげなく、清濁併せのんだ懐の深さに感銘しました。
さて、来年は絶対、今年より良い年であるはず。根拠はないけど、これほどヒドイ年が続く訳がないので、きっと良いはず。いや・・・良くなってくれないと困ります。まァ、ヒドイ年だといいつつ、元気だし仕事も続いているし、最悪ではなかったのも確か。
ほんと、人生いろいろあるものです。それでは良いお年をどうぞ。