ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

後見人の失踪が意味するもの

2013-12-10 12:06:00 | 社会・政治・一般

分かっていたからこそ慌てない。

現在、北朝鮮の政権内部における権力闘争が一つの答えを出したように思う。二代目の金正日の妹の配偶者であり、三代目の金正恩の後見人ともいわれた張成沢が政権から姿を消した。

既に粛清されたとの報もあるし、引退を強要されただけとの報もある。既に死亡説まで出る始末だが、いずれにせよ確証はない。分かっているのは、北朝鮮の公式発表などの場面から、姿を消して一か月以上経っていることだけだ。

もっともこのニュースに関心を払うのは、日本と韓国、そしてアメリカくらいだろう。私が注目したのは、北京政府の対応であった。やはりというか、驚くほど平静を保ったコメントを出していた。

多分、知っていたと思う。

歴代のシナの王朝同様、現在の共産シナも朝鮮半島は元々自己の勢力下にあると考える。ただし異様に民族感情の激しい地だけに直接統治よりも間接統治が相応しいと考えている。

実際、清王朝は李氏朝鮮を属国としたが、直接統治は避けて上手に支配した。余談だが現在の朝鮮半島では李氏朝鮮を独立国家のように教えているが、外交の権限を持たず、独自の軍隊すら保有できない独立国なんてありえない。肥大した自尊心で悪名高い民なので、その歴史的事実を認められないのだろう。

ただ清は日本との戦争に負けて朝鮮半島を手放した。以来一世紀以上経つが、未だに朝鮮半島への野心は途絶えていない。ただアメリカの実質保護下にあった南部はともかく、旧・ソ連の下で独立してしまった北部は、なんとしても取り戻したいと考えている。

ソ連の傀儡を脱した金日成はもちろん、息子の金正日もシナを十二分に警戒していたので、なかなか隙が出来なかった。だが三代目に権力が継承されたことで、シナに再びチャンスが与えられた。

最初はカジノとホテル。やがて鉱山開発と少しずつ経済協力に名を借りて朝鮮半島北部に利権を広げてきた。北京政府の目的は直接支配ではなく、間接支配だと私は睨んでいる。

そのために現在の金正恩を傀儡政権にすることが望ましい。だからこそ、金正恩の後見人である張成沢の排除を狙ったのであろう。長年ピョンヤンにおいて政権の中心に居た張の存在は、北京政府にとって障害であったと考えられるからだ。

だからこそ、今回の張成沢の失踪を平然と受け止めたのではないか。少なくとも日本や韓国ほどは、慌てていなかったのは確かだ。

南北コリアの統一は、朝鮮半島の人々には長年の夢だ。しかし、北朝鮮が北京政府の傀儡政権となったら、その夢は遠ざかるばかりであろう。また、日本にとっても新たな危機を孕む。朝鮮半島北部にシナの人民解放軍の基地が出来たら、日本の国防にも当然に大きな影響を及ぼすのは必然だからだ。

私は韓流ドラマやK-POPには興味はないが、日本の周辺国家の政治動向には一応の関心を払うように努めている。それなのに日本の新聞TVときたら、まともな報道さえしていない。やもすれば、ワイドショーでよくやる親族がらみの争い程度の報道なのだから頭が痛い。

本気で平和を望むなら、経済や券\だけでなく、軍事や政変にも注意を払うべきだと思うのですが、日本のマスコミ様におかれましては関心がないご様子。困ったものです。

追記 この記事は先週書いたものですが、今週に入り正式に政権からの追放を北朝鮮政府が認めたようです。シナに対する警戒感が強い古い世代を次々と排除する現政権。ますます警戒すべきだと思います。

コメント (8)
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