なぜに労働組合を責めないのか。
昨年以来、JR北海道に対する非難が絶えない。結果責任を負うのは、最終的には経営者である以上、政府から厳しい指弾をされるのは致し方ない。実際、組織ぐるみで不正を行い、やるべきことをしてこなかった責任があるのは間違いない。
しかし、いくらJR北海道の経営者を厳しく責め立てても、同じ過ちを繰り返す可能性は高い。
もともと、この問題が生じたのは、経営者と現場との間の意思疎通が上手くいってないからだ。その原因は国鉄分割、民営化にまで溯る。当時の国鉄を壟断し、腐敗させていたのは利権絡みの政治家(政治屋だな)や地方の土建業者だけではない。
なによりも、左派的政治活動に熱中し、本来の仕事をないがしろにし、鉄道ストを頻発させていた国鉄の労働組合こそ、国鉄腐敗の一方の主役である。勤務時間中の組合活動(これは違法だ)のみならず、常習的な遅刻や就業時間中の入浴あげくに飲食まで既得権としてふりかざした。
だからこそ、いささか強引に過ぎた国鉄の分割民営化は国民から支持された。当時、社会党や民社党、共産党などが必死で国鉄民営化を阻止しようと騒いでいたが、その直後の国政選挙で歴史的大敗をしたのは、国民が国鉄をどうみていたかの何よりの証拠であった。
そして、大赤字のJR北海道に再雇用されなかった旧・国鉄職員の恨みを受けて、再雇用されてJR北海道にもぐり込んだ労働組合員たちが経営者や幹部たちと、現場の職員たちとの間に立ち塞がった。
この実質的な妨害行為の一つに、JR北海道の経営者と現場との距離を空けてしまうことであった。つまり現場の声は経営者に届かないし、経営者の指示は現場には届かない。これでは事故が起こるのは必然である。
たいへん厭らしいことに、この労働組合員たちの妨害行為は言質を残さず、責任者の所在をあいまいにする形で行われている。明白な違反行為はなく、誰が妨害しているのかさえ分からないよう巧妙に行われてきた。
現場が指示どおりに動かない現実に諦めた幹部たちが、本社の指示を改竄し、指示を守ったがごとく偽装したのは間違いを嫌がる官僚的指向の顕われに過ぎない。民営化しても、長年の減点評価に馴らされた役人気質は民営化出来なかったのだろう。
だから今回、処罰が下されたのは必然であり、当然でもある。でも、裏の主犯たる労働組合を野放しにする以上、これからもJR北海道での事故はなくならないはず。
それは現場を取材しているTVや新聞の記者たちは知っているはずだ。それなのに、何故労働組合批判をしない。おかしいぞ、マスコミは。
仕事が落ち着いたら、北海道には観光に行きたいと思っていますが、正直今のJRには乗りたくないですね。