景気が悪いのに忙しい。
それが今年の確定申告を終えてみての率直な私の感想だ。なにせ、個人事業者で前年を上回る売り上げを持ってきた方が極端に少ない。如何に昨年が厳しい年であったから数字でも立証された形となっている。
もちろん、政府の御用聞きと化している大新聞やTV局などマスコミ様が伝えるように、輸出関連を中心に大企業では好成績であることは明らかであり、今年の5月ぐらいに発表される3月決算企業の業績は良いであろうことは間違いない。
しかし、その好業績は一部にとどまっているとの思いが、今回の確定申告で一層深まった。実のところ、今回の申告は低調だろうと予測していたのだが、まさかこれほど不動産売買が多いとは思っていなかった。
この十年で一番、不動産売却の申告が多い年であった。これには正直驚いた。株式の売買が多いであろうことは、事前に予想していた。しかし、昨年はあまり不動産売却の相談はなく、むしろ平成27年から上がる相続税を見越しての相談のほうが多かった。
ところが、いざふたを開けてみたら、次々と不動産売却の申告が舞い込んできた。普通なら、ここは嬉しい悲鳴と云いたいところだが、資料をチェックしてみると大半が売却損の申告であった。これでは、あまり嬉しくない。
よくよく聞いてみると、損を承知の売却であった。要は収益を産まない土地よりも、今使えるキャッシュが欲しいらしい。少子化を迎える今後の日本では、確実に不動産余りとなることが明白である。また、高度成長期のような右肩上がりの土地の価値も夢幻であることも分かっている。
だからこそ、将来の値上がり益が期待できない土地よりも、今の暮らしを良くするための現金が欲しい。そんな本音が透けてみえる不動産の売却話であった。
もちろん、全ての売却話が損であった訳ではない。
郊外の家族向けの物件を売却して、都心駅近ワンルームのような収益性の高い物件に買い替える投資家もいた。やはり長年やっているだけに、不動産情報には詳しいし、よく研究している。
だが、大半の不動産売却はそうではなかった。数年前までは、不動産売却損を他の給与所得などと通算しての還付申告が出来た。しかし、予告なしの抜き打ち的税制改悪のせいで今は使えない。おかげで手間は食う割に、やりがいの無い申告が多くて楽しくない。
おまけに今年は同時並行で、相続事案2件、税務調査2件をやっていたので忙しいったらありゃしない。3月は、ほぼ3週連続で休みなしの出勤であった。もう、身体ボロボロである。
哀しいことに、まだ終わっていない仕事が山積みである。だから明日も出るが、日曜日は絶対に休む。とにかく休む、遅ればせながら冬眠である。え?もう春の兆しがあるって。んなこと知らん。
とにかく、あたしゃ眠るもんね。