昨年、すなわち令和2年の倒産件数は7809件(東京商工リサーチ)で、前年比マイナス6.5%の減少とのこと。
ちなみに2002年以来、最も倒産が少なかったと短評されていたが、これが世間一般の感覚とかけ離れていることは誰もが感じることであろう。
別に東京商工リサーチが誤魔化した訳ではない。中小企業庁の発表や、帝国データーバンクの発表も似たり寄ったりだ。調査方法に変更があった訳でもないだろう。
それでも、庶民の実感と大きくかけ離れた倒産減少とは、いったいどういうことか。
街を歩けばシャッターの降りた飲食店を必ず目にする。その数は増える一方であり、実感としては倒産が増えたと思うほうが自然だと思う。
現在、店を閉めている飲食店には、自主的な休業と、本当の倒産とが混在している。自主的な休業は、多くの場合、補助金目的であることが多く、決して違法ではないが、外から見ると本当の倒産との区別がつきづらい。
更に厄介なのは、自主的な休業がいつのまにやら本当の倒産に移行していることがある。それも弁護士等を入れた法的な倒産ではなく、夜逃げに近いような倒産であるため、外部から把握が難しい。
だから令和2年の倒産件数が少なくカウントされてしまう。
一面の事実ではあるが、本当の意味で景気の後退を示す座標として、倒産件数は現状相応しくないと思う。いくら倒産件数が減ったことが事実であっても、景気が大きく後退していることは事実なのだから。
私は新型コロナウィルスを怖くない、心配する必要がないとは云わない。しかし、現状ワクチンが普及するまでは、根本的な解決策がない。だから緊急事態宣言を受けても、人々の緊迫感が増すことはなく、人出も減らない。
緊張感が薄れた以上に、ある種の諦めに近い感覚が強いと思う。だから開き直って、外出や飲食を躊躇わなくなったのだと推測している。
私自身は健常者よりも若干免疫力が低いので、今もけっこう自粛している。でも、このままでは日本の経済が危ないと心配せざるを得ない。多少、病気のリスクが上がっても、緊急事態宣言の解除は歓迎してしまう。
現在、所得税の確定申告業務の最盛期なのだが、連絡の取れない顧客が数名いる。入院などの可能性もあるが、倒産や夜逃げの可能性も否定できない。
まったくある意味、戦後最悪の不況ではないかと思います。まぁ明けない夜はないので、開き直って地道に頑張るしかなのでしょうね。