年齢を重ねてひねくれてきたせいか、報道不信が収まらない。
新聞社やTV局の記者が多忙なことは承知している。しかし、あまりに安易な報道が多過ぎるように思う。
もちろん、良く取材してあり参考になる記事も決して少なくない。だが、あまりに思慮不足の報道が多いと感じる。
その典型なのが、いわゆる「脱炭素社会」って奴だ。
別に私は反対している訳ではない。でも、これがある種の偽装というか、パニック防止のための役割を担っていることは分かる。
この脱炭素社会の実現には、二酸化炭素を排出する自動車エンジンの縮小廃止が当然とされている。要は地球温暖化防止のための脱炭素社会である。
何度か書いているし、一部のメディアには掲載されているが、現時点で二酸化炭素による地球温暖化は、科学的に立証されている訳ではない。温室効果は認められるが、それが地球の気温上昇にどの程度影響を与えているかは証明されていない。
地球の過去には、今よりもはるかに温暖な時期は何度もあった。一番近いのは、ヴェルム氷河期を終わらせた温暖化だ。そして、この温暖化の原因は、まだ判明していない。おそらく太陽の活動と関連が強いと言われている。
実際、地球の気温に一番影響を与えているのは、間違いなく太陽からの輻射である。ただ、地球規模の大規模な火山活動や、宇宙からの小惑星などの衝突が、地球の気温に大きな影響があったこともある。
はっきりと、温暖化ガスが地球の気温を上昇させたとの証拠は、今のところないのが実情だ。にもかかわらず、現在の地球温暖化が人類の化石燃料の大量使用に基づく温暖化効果ガスが、気温上昇に影響がないともいえない。
だから、ある程度、脱炭素社会の実現が地球の温暖化に歯止めをかける可能性があることは、私も否定しない。
それでも、それ以上にはっきりと分かっていることがある。それは化石燃料のうちでも最も産業効果が高い原油の枯渇が近づいていることだ。それを最初に警告したのは、1970年代のローマ・クラブによる発表であった。
これが契機となり、産油国の減産による石油ショックが世界中に経済パニックを引き起こし、大きく景気を後退させたことを記憶している方は多いと思う。
脱炭素社会の実現は、そのような大衆心理によるパニックを防ぎつつ、化石燃料の使用を減らそうとする目的を秘めているはずだ。それを知ってか、知らずかマスコミは、あたかも脱炭素社会が正義であるかのように報道する。
私はこれが気にくわない。
ご存じだろうか。欧米は高々に脱炭素社会の実現のため、世界を先導する姿勢をみせている。でも、よくよく調べるとガソリンを大量に消費する軍用車両、軍用船舶などは除外されている。
トラックやバスなどの輸送インフラを担う車両の他、航空機、貨物船なども除外されている。これは私も分る。本音の部分では、軍事車両なども当然だと考えてはいる。でも、このあたり、しっかり報道して有権者の理解を得ろよと言いたくなる。
私が、かくも五月蠅くなるのは、いつも平和、平和と喧しい反戦メディアが、このようなことを問題視することなく平然と無視していることだ。そりゃ、彼らの主張が偽善であり、ポーズに過ぎないことは知っている。
知ってはいるが、ここまで厚顔無恥だと本気で腹が立つ。まぁ、実際のところは知らずに善人面したいだけで、本気で平和を追求している訳ではないだろうと思っている。あるいは、まさかと思うが、知っても知らないふりをして、善人面を優先しているだけかもしれない。
嗚呼、苛立たしい。
ついでに書き捨てると、脱炭素社会は部分的にしか実現しません。っつうか無理です。アフリカ、アジア、南米などの途上国では当然のように無視でしょう。電気自動車ですべてを代替するなんて、100年後でも困難だと思いますよ。