ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

離婚して車中泊になりました 井上いちろう

2021-04-08 12:02:00 | 

車中泊は、それほど快適ではない。

学生の頃、登山にはまっていたせいもあり、野外泊には慣れていた。ワンゲル部で野山を渡り歩いていた時は、テント泊が基本で一年のうち二か月程度は野外泊であった。

食事係などを役割分担していたので、さほどの苦労はない。狭いテント内ではあったが、登山中の場合疲労が激しいので良く眠れた。基本的に地面が平であれば、人はどこでも眠れるものだ。

ただし宿営地は常に平坦な訳ではない。北アルプスや南アルプスなどでは、岩がゴロゴロしているところが宿泊地として定められている。ゴツゴツした岩場で眠るのは、けっこうシンドイ。

だからエアマットなどを敷いて、その上で眠る。これは必需品であり、エアマット無しで野外で寝るのは非常にキツイ。特に冬場は、地面からの寒気で体温を奪われるので、断熱効果のあるエアマットは必要不可欠となる。

この経験を活かして、若い頃はダッフルバックに寝袋とエアマットを入れての貧乏旅行を何度かやっている。貧乏なので宿に泊まらず、代わりに駅の待合室や神社の境内の裏とか人目につかないところで内緒の宿泊をしていた。

宿泊代が浮く分、食費には金をかけた。ただ飲食店や美術館に入れなくなるのを防ぐため、銭湯や日帰り温泉などを活用して、身ぎれいにしておく。これをしておかないと、浮浪者と思われてしまい、警察の不審尋問を頻繁に受ける羽目に陥る。

断言しますけど、街で寝袋での睡眠は危険なだけでなく、疲労も蓄積します。だから体力のあった若いうちしかお薦め出来ません。っつうか、私、よく出来たと思う。

難病により健康を失ってからも、車を使っての貧乏旅行は何度かやっている。その経験からすると、車中泊は案外と難しい。まずコンビニやスーパーなどの駐車場は使えない。また不審者と思われる上に、暴走族等に因縁を付けられることもある。

24時間営業の施設も、警備員の見廻りがあって、追い出されてしまう。だから一番使い勝手の良いのは、高速道路のサービスエリアだ。私がやっていた頃はなかったが、表題の書によると高速道路内に24時間以上留まると、インター出口でひっかかるようだ。知らなかった・・・

実のところ、もうかれこれ30年近く、車中泊はやっていない。原因はやはり疲れるからだ。いくらマットを敷いても、車内の狭さはストレスになる。あと、明け方の寒さが堪える。20代後半の頃であっても、寝袋に入っていても、あの寒さは不快であった。

だから30過ぎて一人で旅するときは、車で移動はするが、泊まるのは健康ランドなど深夜営業している施設が多い。広くて快適な大風呂があるし、あまり美味くはないが食事処もある。深夜料金はかかるが、仮眠所がたいていあるのがありがたい。でも、ほとんどは大部屋での雑魚寝だ。

だから、やっぱり壁と天井に仕切られた個室で、窓から朝日が覗ける宿に泊まる快適さが一番だと思う。そして仕事を引退したら、大きめの車を買って、全国を旅して周ることは考えたことはある。

ちなみにキャンピングカーは考えていない。あれは、案外とメンテが面倒なうえ、走行性能が低く気持ちよく走れない。それならば、テントを買って、キャンプ場で幕営したほうがいい。一番良いのは、やはりサービスの良いホテルや旅館に泊まることなのは確かだ。でも高いよね。

またテントを張れる場所は限定されている。キャンプ場は観光地に限られるせいか、街中で幕営できる場所はほとんどない。可能ならば宿を探して眠るのがベストだろう。でも宿さえない僻地もある。

そんな時こそ車中泊の出番だと思う。表題の著者は思わぬ経緯から、車中泊を定宿とすることになったが、かなりの創意工夫で快適性を高める努力をしている。読みながら、これちょっとやってみたいかもと思ってしまいましたよ。

コメント (2)
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