国立公園など一定の地域内で、野生動物にエサやりをすると罰金30万円となる。
遅い!もっと早く実効性のある罰則を設けるべきであった。30万円を高すぎると感じる人もいるだろうが、私はもっと高くても良いと考える。
私がまず思い浮かべるのは日光のサルだ。
日光サル軍団を思い浮かべて微笑ましく思うかもしれないが、私からすると日光のサルは凶悪な強盗団である。観光客が写真目当てで渡す人間のお菓子の味を覚えてたサルは、気が付いたら人家に侵入して荒らす害獣と化していた。
一応書いておくが、成獣のニホンザルは、噛みつくし、引っ掻くし、その凶暴性は成人男性でも敵わない。素手の人間では、まったく勝ち目がないほどに強力な獣である。
サルをここまで凶悪な害獣に育てたのは、安易に餌をやる人間である。悪気はないのは分かっているが、それだけに悪質だと云える。ちなみに栃木県のサルによる農被害は、毎年数千万円に達する。
更に性質が悪いのが、北海道の知床半島の羆に餌をやる観光客だ。知床の観光道路の車中から、羆に餌をやり、それをインスタにアップする馬鹿が横行していた。自分がどれほどの迷惑な行為をしているのか分かっていない。
本来、クマは臆病な気質であり、人間には近づいてこない。しかし、安直に餌をやる観光客が多数出現したことで、人間は餌をもっていると学習してしまった。熊だって苦労して餌を獲るよりも、楽して餌を食べたい。
だから地元の人が決してやらないクマへの餌やりを平気でやる。その結果、人家周辺をうろつくようになった羆が続出している惨状である。
車の中から少しだけ窓を開けて、近づいてくるヒグマに餌をやっているが、バカじゃないかと思う。ヒグマが本気になれば、車の窓くらい簡単に割ってしまう。少し器用なクマなら、ドアのノブに爪を掛て開けてしまうこともある。
そんな危険性に気が付かず、スマホで動画を撮るのに夢中な観光客が後を絶たない。地元民も本来なら観光客に規制をかけるようなことはしたくなかった。政府でも内部に異論がかなりあった。
しかし、一定の地域に限定することで、今回の野生動物への餌やり禁止と罰金30万円の法案を国会に通した。苦渋の決断ではあったが、なにか事故が起きてからでは遅い。
クマにせよサルにせよ、本来は人間を恐れて近づかないはずであった。それを愛玩動物として扱う善意の観光客によるエサ遣りが横行した結果、人を恐れなくなってしまった。
その結果、人にも動物にも不幸な結果となっている。いろいろと伝え聞くところによると、野生動物に係る仕事をしている人たちからは賛否両論なのだが、現状を変えるには、罰金も止む無しが結論らしい。
何度か書いているが、繰り返し吼えるぞ。野生動物はペットじゃない!人間とは適切な距離で離れていてこそ、野生本来の生き方が出来る。これ以上、野生動物の生活を侵害するな。