思ったよりも長引いているのが、今回のウクライナ戦争でしょう。
当初ロシアは短期間で戦闘は終結すると考えていたはずです。しかし、ウクライナ側の抵抗が激しく、結果戦力の暫時投入という悪手を取る羽目に陥った。
プーチン大統領にとっては大誤算であったと思います。では、なぜなのか。それは十数年前のクリミア紛争を参考にしたからでしょう。
セバストポリ軍港という不凍港を有するクリミア半島は、本来ウクライナの領土ですが、ロシア系住民が多く、ロシアへの帰属を望んだことに呼応してのクリミア紛争でした。
当時も欧米は反対しましたが、ロシア軍は短期間で侵攻を終了させることに成功しています。これと同様に、今回のウクライナ侵攻を立案して実行したのでしょう。
では、何故に違う結果となったのか。元々、ウクライナは旧ソ連の一地方に過ぎず、温暖なクリミア半島はソ連の上流階級である共産党幹部たちの別荘地として人気でした。だから、ウクライナ人よりもロシア人のほうが多く居住しており、ソ連崩壊後も権力の事。を握っていたロシア政府の要人たちの別荘地であり続けた。
だからロシア軍がクリミア半島に侵攻した時、ロシア国旗を振って歓迎した映像は決してフェイクではありませんでした。もちろん不快に思ったウクライナ人もいたでしょう。でも、当時は諦めていた。だから短期間でクリミア半島はロシアの手に墜ちた。
その記憶が冷めやらぬロシア軍は、今回のウクライナ出兵も同様に考えていた節が見受けられます。たしかにウクライナ東部にはロシア人も多く居住しています。しかし、ここのロシア人は一般庶民であり、ウクライナ人と仲良く暮らしていました。友人であり、親戚でもあり、家族でもあったのです。
そこへロシア軍が無理やり来ても、嬉しくない。だからクリミア半島のように歓迎することは出来なかった。もちろん少数ながらも歓迎するロシア人もいたと思いますが、大半のロシア人は巻き込まれるのが嫌で、ロシア側に避難する始末。
歓迎されぬ地でのロシアの占領は、上手くいくはずがなく、ウクライナ側の反攻を招いたが故に長引いたのが、今の現状でしょうね。
長引く原因の一つは、西側すなわちNATO軍が動かないことでしょう。散々ウクライナに流し目を送り、西側に勧誘していた癖に、実際に軍を投入するだけの覚悟はなかった。
経済制裁だって中途半端です。なぜか日本のマスコミはあまり積極的に報じませんけど、今も西ヨーロッパの国々、特にドイツはロシアから天然ガスを購入し続けています。寒い冬をロシア製の天然ガス抜きで暮らすなんて真っ平なのでしょう。
まァ天然ガスくらいしか売り物がないロシアにとっても、これを断つことは不利益だと承知している。だから西側への制裁も中途半端にならざるを得ない。
予定外の戦力投入と、中途半端な経済制裁は、今回のウクライナ戦争を長引かせている大きな要因です。
故国を破壊されているウクライナの人たちにはお気の毒ですが、まだまだ長引くと思います。