ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

OSO18

2022-03-09 09:21:00 | 社会・政治・一般

自然は時折、辛辣なしっぺ返しをしてくる。

2019年7月のことだ。北海道標茶(しべちゃ)町オソツベツにおいて放牧されていた牛がクマに襲われた。以来、27頭の牛が同じクマに襲われたとされている。

目撃情報は少ないが、残された足跡などから体重400キロを超える超大型の羆であると推測されている。隣町の厚岸町にも現れて、やはり放牧されている牛を襲っている。通称、OSO18と呼ばれている。

このクマが近年稀に見る大型の羆であることは確かだが、現地の畜産業者や猟友会が驚くのは、その狡猾さである。

その行動パターンは従来の羆と大いに異なる。通常、クマは襲った獲物を埋めて何度も戻ってきて食べる。戻ってきたところを狙って狩るのが、猟師たちの常とう手段であった。

ところが、このクマは戻ってこない。たしかに牛を食べてはいるのだが、なかには背骨を一撃でへし折った後、放置していることもある。しかも、行動は夜間限定で、明るいところでの目撃例は皆無である。

まるで忍者クマだと評した現地の猟友会メンバーがいたが、現在に至るまでこのクマの消息は判明していない。まさに忍者なみの警戒心の強いクマである。おそらくだが、このクマは人間に追われた経験があるのではないかと思う。だからこそ、異常なまでに警戒心が強い。

実のところ、クマを駆除する猟友会の方々には、このクマを恐れる者が少なくない。そのクマが巨大であることは分かっている。心臓など急所を狙わなければ、まず一撃で仕留めることは無理だろう。

暗闇の中で、小さい急所を確実に仕留めるには、相当に接近する必要がある。ただでさえ、夜間にしか活動しておらず、しかも人間を警戒しているクマに接近するのは、技術的に難しい以上に恐武Sが勝る。

冬眠中に発見して駆除するのが理想的なのだが、まったく消息が分からない。既に寿命は10年を超えると思われる。当然に子孫を残してもいるだろう。このような狡猾にして巨大で怪力なヒグマが増えていくのである。北海道の人たちが恐れるのも当然であろう。

以前にも書いたが、このようなクマに対して警察は全く無力である。警官が保持する拳銃なんて、クマにとっては水鉄砲に近い。比較的民間でも所有者の多い散弾銃で唐ケるクマではない。本格的な大口径の狩猟銃が求められるが、まず公安委員会が許さないだろう。

日本は今も昔も刀狩の国である。民に武器を持たせないが、治世の基本であると考える国である。本来、国民を守るべき政府が、国民を守るための武器の保有を禁じる国である。そのくせ、治安維持機関である警察では巨大クマにまったく対応できない。

一応書いておくと、では自衛隊はどうかといえば、実は巨大クマに対しての個人装備の武器は持っていない。自衛隊員が普段使っている小銃は、連発こそ利くが、巨大クマには力不足である。戦車や装甲車に装備された大口径の機銃ならば可能だが、デカすぎるし、走行音が大きく、すぐにクマにバレる。森林を棲みかとするクマ相手だと、自衛隊は不向きとしか言いようがない。

ちなみにOSO18は、どうも箱罠を知っているらしく、標茶町や厚岸町に10個以上仕掛けられた罠には、近づいた形跡すらない。まったく恐るべきクマである。熊の嗅覚は犬以上で、毒餌などにはまったく振り向きもしない。

嫌な予想ですけど、民間人に複数死傷者が出ない限り、政府はせいぜい「遺憾である」で済ませるでしょうね。まァ政府高官が襲われて喰われれば、本気で対応するでしょうけどね。

コメント (6)
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