いささかうろ覚えなのだが、若い頃の病気療養中の時は読書だけでなく、ヴィデオ、ゲームと時間潰しをずいぶんとやった。
そのなかでも記憶に残っているゲームが大戦略であった。要は戦争シュミレーション・ゲームなのだが、これがなかなかの難物である。
ハードがスーパーファミコンだったか、それともセガ・メガドライブであったか覚えていないが、3カ月くらい熱中した。私が取り組んだのは、大戦略のうち第二次世界大戦の東部戦線を扱ったバルバロッサ作戦を範としたヴァージョンである。
ちなみにバルバロッサ作戦とは、ナチス・ドイツのソ連侵略作戦の一端である。ゲームではドイツ側、ロシア側の二陣営を選択できる。私は当初、ドイツ側でゲームを始めた。
初戦は大勝利であり、その後も序盤は楽勝であった。しかし、侵攻を進める度に援軍を繰り出すソ連軍に手を焼くようになった。今でも覚えているが、キエフ攻防戦のし烈さは、TV画面の前で歯噛みするほどであった。
苦戦の理由は兵站が延びすぎて、補給がままならず、戦線を維持できないことであった。一方、ソ連側はウクライナ東部の工業地帯から無尽蔵に補給を続けられる。何度もやり直したが、私はキエフ攻略は出来たが、戦線を維持できずに撤退、すなわち敗北している。
戦史に詳しい方ならご存知だと思うが、歴史上の事実としてもドイツ軍は、この東部戦線で苦戦し撤退を余儀なくされている。そこで物は試しと、ソ連側陣営になってみて、ドイツ軍の侵略に対抗してみた。
これが予想以上に苦戦だった。まァドイツ軍の強いこと、強いこと。戦線をまるで維持できず、撤退を繰り返さざるを得なかった。だが、撤退する度に後方の軍需物資製造拠点である黒海沿岸に近づく為、兵站が楽になった。
粘り強く戦線を維持できれば、なんとかドイツ軍を止めることが出来た。しかし苦しい戦いであったと思う。兵站の重要性を思い知らされたゲームであった。
ところで、21世紀の現在、ロシア軍がウクライナに侵攻しての戦乱状態になっている。ロシア側を批難する声は大きいが、私は少々疑問に思っている。
ロシアにとってウクライナは絶対防御ラインである。散々、ウクライナを食い物にしてきたロシアだが、このウクライナこそがロシアにとって生命線であることは誰よりも強く意識しているのだろう。
ユーラシア大陸指折りの穀倉地帯を抱え、工業地帯を有し、さらにロシアがのどから手が出るほど欲する不凍港を有するウクライナは、絶対に西側には渡せない。だからこその軍事侵攻であった。ロシアにとっては祖国防衛戦争である。
その一方、ウクライナを西側に誘いながらも、今回の危機に手をこまねいているEU及びアメリカ。特にEUの中核ともいえるドイツが及び腰である。当然であろう。第二次世界大戦時、東部戦線で敗退した苦い記憶があるドイツが、積極的になれないのだろう。
今回の紛争がどのような決着に至るのかは不明ですが、決して西側社会が望む結果とはならないだろうと予測しております。