ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ツワモノガタリ 細川忠孝

2022-03-16 11:13:00 | 

久々に痺れるほどの武道漫画を読んだと感じた。

それが現在、週刊ヤングマガジン誌に連載されている表題の作品だ。まだ始まったばかりであり、感想を述べるのは些か早過ぎるが、序盤が鮮烈に過ぎた。

なにせ新選組初代局長の芹沢鴨と一番隊の沖田総司の一戦である。神道無念流の芹沢と、天然理心流の沖田、果たしてどちらが強いのか。

私は芹沢をそれほど強いとは思っていなかったが、壬生浪士一の乱暴者であり、有能な資金集めの能力を持ちながら、その暴君ぶりで隊士から嫌われた芹沢である。元々、荒くれ者の集まりである壬生一党のなかで筆頭である以上、弱い訳がない。

本来の武士としての格を持たぬ浪士たちの集まりでは、人望だけでは下は付いてこない。実力あってこそ、下は付いてくる。弱い男には無理である。

一方、幕末の剣士の中でも、その名は知らぬ者のない有名人である沖田である。新選組では沖田、斉藤、永倉の3名が腕利きとして知られている。その中でも一番隊を任された沖田は、周囲から認められた剣士であることも間違いない。

史実としては、誰が芹沢を暗殺したのかは不明である。ただ、新選組が関与した可能性は高い。

それ故に、この作品は相当な創作が含まれると看てよい。私は剣道の経験はないが、竹刀を使う剣道と、真剣の剣法では違う部分が相当にあることは想像が容易につく。

平和な時代であった徳川治世の元では、剣法は侍の教養に過ぎなかった。しかし戦乱の匂いが漂う幕末に置いては、侍たちが道場剣法に満足できず、実戦での強さを求めて模索していた時代である。

江戸の三大道場の一つである神道無念流の使い手であり、道場では師範代を務めたとされる芹沢である。弱い訳がない。ちなみに新選組の数少ない生き残りであり、剣豪でもあった永倉新八も、この流派の使い手である。

永倉が暗殺班から外されたのは、そのせいではないかと思う。手を下したのは沖田であると噂されたが、真偽のほどは分からない。分からないからこそ、想像の翼が拡がる。

この作品の作者は、相当に取材したらしく、天然理心流の道場を訪ねて、沖田が得意としたとされる三段突きや、他の得意技のレクチャーを受けているようで、このバトルは相当に迫力がある。

今後もしばらく目が離せない作品であることは間違いないと思います。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする