そもそも、なぜ会社を作るのか?
歴史的に考えれば、産業革命以降多額の資金を必要となった事業の母体として、会社という存在に多人数から資金を集め、有利な条件で市場経済で勝つことにメリットがあったはずです。多数の資本家から金を集め、それを事業に投入する有利さは、個人事業家に優るものでした。
更に所有(株主)と経営(会社)の分離により、所有者(株主)のリスクを当初投資額に留め(有限責任といいます)ることと、優秀な経営者を外部から迎え入れるシステムを設けたことで、従来の家族経営よりも進んだ事業展開を可能なさしめたことが、会社制度の優位性でした。
更に税制が、会社を優遇していたことも大きい。日本の場合、個人が儲ければ儲けるほど、高い税率になる累進課税制度でしたから、会社として法人税の一定税率で税額が計算されるほうが、税の負担は少なく済んだ。その結果、街の八百屋さんまでが会社を作り、節税に励むありさま。
その結果、日本は世界で最も中小法人の多い国となりました。ですが、かつて世界で一番高負担と言われた個人への累進課税も緩和され、収入、利益によっては個人の方が節税効果が大きい昨今です。
それでも、政府は会社を作りやすい環境を整えた。なぜか?
個人事業の場合、どうしても私生活上の出費と、業務遂行上の出費が混同しやすい。つまり、家事費と必要経費の区分が難しいのが現実です。しかし、会社形態にすることで、会社業務に関係ない出費は、出費の受益者への給与もしくは交際費課税として処理しやすくなる。
今後、少子高齢化社会を迎える日本では、社会の停滞による弊害を防ぐ意味でも、起業の容易さを整えておくことは、有益であると考えての会社法改正だと、私は考えています。
最低資本金制度の撤廃は、私個人としては否定的なのですが、起業の促進といった効果はある程度あると思います。
次は今回の会社法改正の、もう一つの目玉である会社の定款自治について書き記したいと思いますが、未だ勉強中なので今しばらく時間を頂きたいと思います。
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