資本金1円以下でも会社が出来る。
どうゆうことかと言うと、従来資本金は株式の発行価格でした。しかし、今回の改正で資本金の計上は、払込価額から設立費用を控除してもよいとされました。会社を設立するためには、登記が必要になります。大体30万から50万程度かかります。
資本金1円で払い込んで会社を設立した場合、1円の資本金から設立費用をマイナスすると、純資産がマイナス表示されてしまいます。つまり資本金が0円となり、「その他の利益剰余金」がマイナス表示されるようになります。おかしな話ですが、法務省令を読むと、これも認めるとなっています。
こんな会社、信用できます?
今回の会社法改正は、起業を容易にして社会に活性化を促すことを目標としています。その意図や良し。されど、起業し、それを事業として継続するには金が要る。100万や200万程度の金なんぞ、あっという間に消えていく。それが実情です。業種にもよるでしょうが、最低でも500万は欲しい。金はいくらあってもいい、それが経営者の現実。
さらに言うなら、なぜ最初っから会社なのか。始めは個人として開業して、金をためて実績を上げてからの会社設立が、従来の王道でした。この方法は、今後も一番理想的なケースだと私は考えています。失敗してもリスクは少ないし、税金の負担も少なくて済みます。
最近本屋さんで立ち読みした本に、ある行政書士の方のものがありました。開業して数年で年商3000万円突破と、威勢のいいものでした。でも一読して唖然としました。この方、4年前の一円法人を認めた「新事業創出促進法」を活用して、多数の1円法人の設立業務で多くの手数料報酬を稼いだようです。
会計・税務の立場からすると、かならずしも法人による事業が良いとは限らないのが常識です。業種や利益率にもよりますが、収入なら2~3000万円、利益なら900万円程度なら、法人よりも個人のほうが有利です。しかも消費税を考えたら、最初の2ヵ年は個人でやり、3年目から法人にすれば、実質4年間消費税を払わずに済む。
私の事務所では、最低三年間の損益見通しなどの検討をした上で、会社でやるか個人でやるかを助言するようにしています。上記の行政書士の方は、おそらく知らずにやっていたのでしょう。無知ゆえのことで、悪気はないと思いますが、あまりにヒドイ。
起業すること、事業を運営していくことは、誰にでも出来るとは言い難いのが現実です。そして、どうしたって金は要ります。資本金1円が、本当に良い制度なのか、私には疑問に思えて仕方ありません。
2 コメント
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- Unknown (jin rock)
- 2006-06-08 20:49:25
- 日本という国自体も 借金だらけで 普通の会社に あてはめてみると とっくに梼Yしてるというのに 再建策を とろうとは しません ふしぎな国です
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- Unknown (ヌマンタ)
- 2006-06-09 00:09:51
- 実のところ、日本政府の借金は過剰に宣伝されているのではと勘繰っています。なにせ膨大にあるはずの資産の内容が明らかでない。そもそも単式簿記で経理しているので、実態がはっきりしない。増税の理由としての借金、そんな印象を持っています。
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