アメリカの次期大統領であるトランプ氏は、さっそくにTTPからの離脱を宣言した。
これまで必死にTPPを推し進めてきたアメリカの製薬会社、保険会社や投資グループは大いに失望しただろう。一方、失意を押し隠すのが難しい自民党の推進派議員たちは、未だにTPP推進を口にする。
だが、元々アメリカの投資家たちが自由貿易の名のもとに強欲な商売を海外で堂々と出来ることを目指したものがTPPである以上、トランプの宣言は事実上幕を降ろしたに等しい。
私はアメリカが求める以上、日本が拒否することは適わぬとみて、消極的ながらTPP受け入れに賛成であった。しかし、次期アメリカ大統領がここまで言う以上、もはや現状のままでのTPP批准はないだろう。
実に嬉しい。
それが私の本音だ。いい加減、自由貿易礼賛風潮に辟易していたので、今回のトランプ次期大統領の宣言は嬉しいものだ。ただ、油断は出来ないとも思っている。
元々、アメリカが自由貿易を方便に言い出したTPPは、ある意味西欧文明の進歩が停滞している現状から産まれたものだ。アメリカ国内に、十分利益を見込める投資事案が減少しているからこそ、世界中に食指を伸ばすための手段がTPPであった。
ここでTPPが取りやめになろうと、投資先が停滞している現状に変りはない。アメリカの富裕階級は、新たな投資先を求めることを止めないだろうから、再び形を変えて自由貿易の強要は復活すると予測できる。
そう、自由貿易とは、強者が弱者を貪る口実である。それが自由の本質であることを忘れてはならない。どういう訳か、日本のマスメディアは、自由貿易=善、保護貿易=悪との前提に立って報じることが多い。
これは現在の日本が自由貿易において、強者の側であるからこそ、成り立つ理屈である。しかし、それも自由貿易をアメリカが推し進めてきたからこそであることを忘れてはならない。
日本が主導してきた訳ではなく、アメリカの尻馬に乗って稼いできたのが実情である。
今回のTPPの失敗により安堵している方は、私も含めて少なくないはずだ。だが、くれぐれも安心してはいけないと思います。断言しますが、形を変えて、必ず自由貿易のごり押しは復活すると思いますよ。
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