今の俺をみてくれ!
そんな心の叫びが聞こえてきそうな試合であった。1992年の日本武道館における全日本三冠チャンピオンであるスタン・ハンセンに挑戦者・川田利明が挑んだ試合である。
ハンセンが全日本プロレスに移籍してしばらく、彼の身の回りを世話していた若手が、実は川田利明であった。世話係とは、選手の衣類、コスチュームなどの洗濯、靴磨き、荷物運び、些細な買い物と雑多な用事を任される。要は、使いっぱしりである。
その川田だがその後、幾多の試合を得て若手から中堅へ成長し、遂にはメイン・イベントの試合にも上がれるようになった川田である。単なるアマレス上がりの若手から、空手の蹴り技を覚え、多彩な攻撃が出来る成長株となった川田である。
しかし、ハンセンは川田を認めなかった。フロントに、なんであんなグリーンボーイと俺の試合を組むんだと文句を言っていた。だから、試合を組まされても、まともな試合をやらなかった。川田の技を受けようとせず、力任せに投げ捨て、叩きつけ、暴れるだけの、雑多な試合ばかり。
しかし、今回の王座挑戦での川田の意気込みは凄かった。試合が始まるや、ハンセンのお株を奪うラフプレーの嵐で川田が優位に立つ。ここにきて、ハンセンは、ようやく川田の本気に気が付いた。
ブレーキの壊れたダンプカーと異名を取ったハンセンが、アクセルを全力で踏み込んだ。ハンセンは自分が認めた相手でないと、なかなか全力を出さない。下手に全力を出すと、相手を怪我させてしまうからだが、今の川田なら大丈夫だと判じたのであろう。
私は、この試合を表現する言葉を持たない。
結果は、ハンセンの防衛成功であった。だが、観客は負けた川田の頑張りに喝采を送った。リング上に唐黷髏?cを傲慢に見下し、お得意のロングホーンのメ[ズで控室に戻るハンセン。
その後だ。ふらふらしながら、川田はハンセンの後を追いかけた。そして控室に入ると、ふらつきながらもハンセンに握手を求めた。一瞬驚いたハンセンであるが、ニコッと笑うと川田を抱きしめて握手に応じた。
ファンが選ぶ1992年のベスト・バウトがこの試合であった。
あのグリーンボーイ風情と馬鹿にしていた川田を、ハンセンが初めて認めた試合であった。ハンセン自身も、後の回顧録で日本における最も印象に残った試合の一つに、この川田戦を上げている。
長いこと日本でトップレスラーとして活躍したハンセンだが、実は日本人相手では意外なほど名勝負といわれる試合は少ない。対馬場戦くらいではないかと思う。そして次点がこの川田戦ではないか。私にとっても忘れがたい名勝負であった。
今後も200回をめざして続けて欲しいと切に希望するものです。お願いいたします。
正直に言ってハンセンですから勝てるとは思いませんでした。でも序盤の攻めからハンセンが本気になるのが解る!ハンセンて格下の相手だと怪力にもの言わせて、プロレスせずに蹂躙します。
「相手になった」のが解りました。
若き獅子を唐オた巨象は圧唐ナしたが、次のチャレンジを期待させる終わりで、ハンセンにも川田にもワクワクしました!!
いつかハンセンすらも負ける日が来るのだろうけど、その時は川田のような若き挑戦者が、古傷たくさん残る歴戦のプロレスレスラーになって、引導を渡すのだろう。
そういう梶原一騎的なドラマを感じてしまう一戦でした。実に実にプロレスなロマンを掻き立てる一戦でして、もう何というのか…
ほどほど美味いという豚骨ラーメンを食いに行って、最初は「噂ほどではなかろう」と斜め上からの視線だったのが、美味くて思わず替え玉にトッピング附けてしまい、食い過ぎてしまったけど、
満足の気だるい満腹感…そういう感想です。
こうやって「因縁」を正しく着けて、いつか田園コロシアムみたいな興奮な試合を見せてくれるのだよ。それがプロレスというものだ!!
などとラーメン屋で熱く語り、デート中の女性に振られました(笑)
ふん、あれが解らん女などいらんわ!
という訳で熱く熱く興奮とほろ苦い想い出の試合であります。いやぁ、川田もハンセンも格好が良かったですね!