入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’20年「春」 (58)

2020年05月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
 8時半、牧場の気温は10度。昨日の天気予報によれば、早朝から南部(伊那市は長野県の南部に当る)は激しく降ると言っていたから、それを聞いて雨に濡れてまでも、と思っていた。目覚めて雨音がしないので、しばらく思案していたが、結局上に来た。雨はまだ降り出していない。


                             Photo by Ume氏
 山室川の第1堰堤の近くに植えられた枝垂桜に寄せて、焦点不明の、勝手なことを呟いた。それに対してUme氏から「あの桜にどんな魅力を感じているかという"肝心な部分”」が記述不足であることを指摘され、続けて、
   
   私は三沢さんから情報をもらった2016年以来、歴史的なことよりも、
   あの辺鄙な地で毎年、健気に咲いている花が、桜の中でも珍しい『
   八重・枝垂れ・濃いピンクで豆(小振りの花)』と揃っているのに惹かれ
   ています。
   高遠花の丘公園(国内の桜を多種集めて植栽してある)にもない種類
   なのです。

 と、あった。やはり写真家の目は鋭いなと感服した。と同時に、羨ましくも思った。きょうのUme氏のPHに匹敵するような言葉は、いくらひねっても出てこないからだ。残念ながら持ち合わせていない。「肝心な部分」を呟くことができなかった。

 毎春、あの枝垂れを眺め、山室川の清冽な流れや、中州の幾本かの大木が、鮮やかな黄色の若葉を茂らせるのを目にしてきた。この春、それを雌雄の揃ったヤナギだと教えてくれたのがUme氏だった。背後の落葉松や他の雑木も生気を漲らせ、競うように谷を飾る。冬の間の愛想のない風景が、明るい春の陽射しを浴びて日に日に変貌していく。あの堰堤が堰き止めた膨大な土砂が、その舞台となる。
 枝垂れがひとしきり主役を張るが、primaはそれだけではない。この時季、いろいろな"踊り子"の躍動する姿が次々に現れ、それらに目を奪われ、ときめかされるのがあの谷の遅い春だ。
 偶々あの枝垂れが思わぬ端緒となり、奥出雲で小耳にしたある人の生涯を少し知ることができた。第1堰堤の八重紅枝垂れ桜は直接にはその人とは繋がらない花のようだが、それでも、あの枝垂れに対する印象がお蔭で変わったことは間違いない。

 雨の煙る放牧地の向こうに、1本の山桜が見えている。その花の色も赤く濃い。この雨で白樺の芽は若葉に変わり、目の前の放牧地はさらに緑の色を増やすだろう。
 
 本日はこの辺で。明日は沈黙します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする