今朝は、また「朝日に匂ふ山桜花」を拝みたくて、いつもより早く家を出た。ところが、あれから間にたった一日を置いただけなのに花びらは朝の光の中に舞い、その光景はまさしく拝みたくなるような美しさだったが、季節は花を葉桜に変えながら足早に過ぎていくようだった。昼、ここ牧場の気温は20度まで上がった。
昨日の呟きで間違いをした。第1堰堤の見事な枝垂れ桜に混じって、ヤナギと白樺の若葉が周辺に新たな趣を添えている、といった意味のことを呟いたが、昨日の帰りに車から降りてよく見たら、あの若葉は白樺でもヤナギでもなかった。白樺の芽吹きは、あの辺りではまだ少し先のようだ。こういう思い込みがますます激しくなるようで困る。そのうち、佳人と老女まで間違えてしまかも分からない。
また間違えるわけにはいかないからと図鑑で確認し、本当は言いたいのだが、あの木のことはよく分からないということにしておく。若葉は新緑と言うよりか鮮やかな黄色をしていて、これからその色合いも変わっていくのだろうが、ともかく枝垂れの背後で白樺に代わって実にいい脇役を果たしている。
もう一つ、今やっている作業道の整備は、本当は狂暴な雄牛のためで、決してCM撮影や某女優のためなどではない。あの二代目種牛が今年も来たとしたら、牧区替えの際にあんなモノ(本当に「あんなモノ」)を追い上げの坂に出すことなど、とてもではないが危険過ぎてできない。
となれば一度パドックに誘導して、そこで縄を付け、トラックに乗せて上に運ぶしか手がないだろうが、そうなると、最低でも2トンの4駆のトラックが必要になる。そのことも一応考慮して、重機があれば半日でできることをツルハシ、スコップ、ジョレンを使い、乏しい砕石を入れ、幾日もかけて人力で整備をしている。
かつてあの作業道は、伐り出した木材の搬出に4トントラックが走ったというが、とても今そんなことを想像することなどできない。軽トラの走行にさえもこれまでどれほど苦労してきたことか。
こんな山の中、きょうも一日誰とも会うことはない。オフロードバイクが3台ばかり通過していった。
本日はこの辺で。