入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「秋」(11)

2023年08月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日の朝よりか雨風は強まってきたようだが、それでもまだ台風の接近を思わせるほどではない。クリミア半島で10日間のキャンプ経験があるというK氏の一人用テントがそぼ濡れて、あの国の人たちのように気の毒な姿を晒している。

 昨日、ここに3時ごろ到着すると知らせてきたK氏は、予定よりか少し遅れてやってきた。コーヒーを出しながら出身地を尋ねれば「ウクライナ」だと応えた。一瞬そういう国があるなと思いきや、ややあって、あのウクライナかと改めて国名を認識し、驚いた。8年前に筑波大学の院に入り、そこで経営学の博士号を取得したという。
 よりによってこんな山の中に、それも大型の台風が明日にも来るという時に、まさに世界中がその行方を案じ、関心を寄せている国からの来訪者である。何でも翌日、つまりきょうが、彼の誕生日であり、それを一人で寿ぐために台風を承知の上でやってきたのだと。
 
 妙に、こういう話題性のある人、事件に縁があるような気がして、昨夜はまた小宴を張り、ここ数日の酒量を気にしながらも二人で歓談した。
 何しろ、あんなことが起きなければ、人生最後の海外旅行はまだ行ったことのない欧州、それも主にかつてハップスブルグ家が威光を放った東欧と呼ばれた国々を訪れ、帰路はシベリア鉄道に乗り頭がおかしくなるほど退屈してみたいと考えていたからだ。それを諦める羽目になったのは、あのロシアによるウクライナ侵攻である。

 話しをしていてどうしても、ロシアやウクライナを旧ソビエト連邦というくくりで捉えてしまうというのが、極東の島国の牛守である自分だと気付いた。
 しかし、かつては連邦を構成したウクライナもキリギスもベラルーシも、今は独立した国々である。日本と韓国は全く別な国であるし、あるいは台湾が中国とは別な独立国であると主張するように、ロシア民謡やロシア文学を大雑把に「ロシア」とひとくくりにして語られることに、K氏は相当に抵抗があると感じた。
 トルストイも、ドストエフスキーも、ゴーリキーも、はたまたショーロホフも、イエフトシェンコーも、シェフトフも、一体本当はどこの国に生まれた人か知らない。みんな「ロシア」で済ませてきた。チャイコフスキーなどの音楽家もやはりそうだ。
 フムー、これも悪い言葉を連想するかも知れないが、「スラブ」の方が彼の耳にはいくらか響きがよく聞こえるだろうか。

 小宴は今夜も続くかも知れない。台風来襲の夜に祝う誕生日に相応しい話題とは、さて何だろう。
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 本日はこの辺で。

 
コメント
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