入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「秋」(17)

2023年08月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 
 牧場へ通うには、高遠の市街を通り長藤の集落から小豆坂のトンネルを抜けて、荊口、芝平と山室川が削った狭い谷を上ってくるのがずっと普段の通勤路だった。
 それが燃料の値上がりなどが引き金になって、昨年からは山に生活の中心を移し、今ではそんな暮らし方が通常の生活になっている。もう慣れたと言っていい。
 現在、芝平の集落から上は、恐らく枯れ木橋の先になると思うが、6月初期の大雨で「災害による通行止」になっていて、いまだにいつ復旧するのかも分からない。たまに里へ下るには、そのため千代田湖経由で松倉へ下って、藤沢の集落で杖突街道へと出るしかない。

 今朝は里からその街道を走ってきたのだが、懐かしい風景を見たような気がした。自転車で通学する若者が反対方向へ向かって走る姿を久しぶりに目にしたのだ。このごろは、下に用があっても彼らの通学時間とは違う場合が多いから、久しくこういうことはなかった。
 それでも約15年間、毎朝のように高校生の自転車に乗った通学姿を見てきた。中でも、雨の降る中を傘もささず必死で自転車をこぐ女子学生や、行きは下りでも帰りは急な夜の小豆坂を上がらなければならない男子高校生の姿もあった。
 学生ではなかったが30代の体格のがっしりとした男の人が、どんな事情があるのか、毎朝のように人目を避けるようにうつむきながら歩く姿にも目が行った。彼についてはすれ違う場所が日によって違うから、こんな所まで来るのかと時に驚いたりしたこともある。

 あれからもう何年も過ぎた。あの雨に強い女子高校生の方は、結婚するにはまだ少し早い気がするが、どうしているだろう。男子高校生は進学したか、それとも就職してどこかで働いているのか、いずれにしても元気でやっていると思いたい。
 彼女、彼に限らず、多くの高校生の通学風景を見てきた。地元の高校へ通う若者もいれば、さらにもっと遠い20㌔近い距離を伊那の街の高校へ行く者もいた。もちろん、彼ら彼女らからすれば、そんな姿に関心を寄せていた者のことなど知る由もなく、想像だにしなかっただろう。
 ただ、病気を克服しようとしてか、何年も毎朝思い詰めたようにして特徴のある歩き方をしていたあの彼は、3,4年ほど前にその姿を目にすることがなくなった。彼も、ついには糖尿病を克服できなかった一人なのかも知れない。
 
 一言だって言葉を交わしたことのないまま、あの若者らの青春の断面とでもいう姿を見させてもらった。今では結婚して、子供がいてもおかしくない年齢に達している人たちもいるはずだ。しかし、高遠の街中で会ったとしても分からない。
 いずれの若者も、人生における一瞬の触れあいであったが、言葉を必要としない対話の余韻が今も快く残っている。

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 本日はこの辺で。
 
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