入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       帰らぬ日々が去っていく

2014年09月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 二日間上に泊まる。山の朝は早く、夜は長い。毎日、片道1時間以上をかけて上り下りするよりか、上に泊まった方が楽のような気がするが、実際はそうでもない。暗い山道を好んで下り、誰が待っているわけでもない家で、山とは違う時間を過ごすのも悪くはないのだ。そうすることで、一日の区切りもできる。
 帰り道、高遠を過ぎて笠原地区に来ると、伊那谷の灯が見える高台に出る。ここからしばらく、町の灯りを目にしながら、その下で営まれている人の生活のことを想像してみる。何か具体的なイメージが浮かぶわけではないし、誰であれ日々の暮らしがいいことばかりではないはずだが、それでも他人の幸福を思いほほえましく感じ、また一方で自分の暮らしを振り返ってみたりする。
 と言って、今の暮らしに格別な不満などない。むしろ、幸福と思うことの方が多い。

 村の祭りが終わった。準備には加わることができたが、祭事と後片付けには参加できず、呆気なく終わった。TKJ君から貰った小鮒の甘露煮、あれは祭りにふさわし懐かしい味がした。クロッカワ、里芋の煮付け、茄子の漬物・・・、一人でした祭りであったが、それでよかった。
 店に秋の味覚が溢れ、鍋の季節もやってくる。一日を閉じる祭りに、時間が不足しそうだ。

 K‐隊が帰るのを見送る。皆いい人ばかりだったから、ぜひ冬の入笠にも足を運ぶようにと話した。Oさんご夫妻や千葉から来た三人は、渋滞に巻き込まれずに帰れただろうか。朝早く引き上げたY-隊他は、多分大丈夫だったろう。青い空に幾筋かの巻雲が、空の高さを教えてる。
 ― かくしてこうして繁忙の数日が終わり、また帰らぬ日々となって去っていく。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。

                  キク〈左)とHAL いい子で待ってろよ

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   多忙だった3連休が終わる

2014年09月15日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 比較的好天に恵まれた3連休が終わる。牧場にもいろいろな人が訪ねてくれた。ゴンドラ利用客で賑わう富士見側や、その延長にある入笠山頂に比べ,こちらはいたって平穏、キャンパーや小屋の宿泊者にもとても評判がよかった。

 下の写真の女性らは、昨年の今頃テイ沢から来た折に牧場に立ち寄った7人のうちの3人で、このときのことは記憶に残っていたが、早くから小屋の予約をしてくれていたFさんが、その中の一人とは分からなかった。あのときもそうだったが、今回もアップに耐えれるというので、正面から撮らせてもらう。バックは北アルプスの山並み。この場所は大沢山の牧区内だが、こうして忘れずに来てくれたのが有難く、お礼の意味で案内した。



 そういえば先週はこの場所で、集英社の「シュプール」誌の撮影も行われた。カメラマンは以前「トミー」のカタログ撮影で牧場を使ってくれたA氏で、これまた有難く、感謝した。因みに、牧場内でのこうした商業撮影は有料でお願いしている。

 罠の点検を済ませて、先述の3人も一緒に久しぶりにアラスカの森を抜け、仏平からヒルデエラ(=大阿原)に回り、テイ沢を下った。この時期のヒルデエラはUme氏の写真でも紹介したように、湿原の草木はすっかり秋の色に変わり、夏の喧騒も失せていた。テイ沢に下りはじめると、清冽な水が流れ、砕け落ち、日の射さない谷は大古の趣きを漂わせ、迎えてくれた。驚いたことに、三筋の滝のすぐ上で、イワアナらしい魚影まで見た。ウーン、イワアナはあそこまで行けるのか。
 ブログを見て来てくれたOさん夫妻もすっかり牧場が気に入ってくれて、予定を延ばして2泊していった。やはり、ブログを見てきてくれたと知ると、それは嬉しいものだ。
 K-隊は、牧場から入笠山頂へ登り、テイ沢のコースにご満悦で、実は今夜も祭りは続く。管理人としては”営業”すべきか悩む。
 アッと忘れていたが昨夜、クマ対策のG-channが来て、彼を含めた3名で行った南沢流域の鹿のライトセンサスにも同行した。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。週末は、星につかれたあの人たちが来る。

 










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    山の事故と中高年登山

2014年09月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 中高年の登山が盛んだ。しかしそのため事故も多く、遭難者の7割を占めるという。事故のたびにいろいろな分析が言われ、原因も明らかにされるが、増加傾向は止まらない。
 大分以前のことだが、ある女性の元登山家が「秋の取り入れが終わったら、3000メートルを超えるような山へ、中高年は登るべきでない」と書いていた。これは、卓見だと思う。
 いろいろなところで、山は危険だと、すでに充分過ぎるほど言われてきた。だがその割に、どうもその内容があまりピンとこない。その点、これは具体的で、一つの基準にもなる。
 初心者や中高年は、遅くも10月の半ばを過ぎたら、森林限界を超えるような山には行くな、ということで分かりやすい。思いがけない氷雨や霙に降られて体力を消耗し、その上3000メートルの高所で風にでも吹かれたら、頼りのゴアテックスも安心には程遠いと知るべきだ。



 登山はどうしても情緒的に語られる。遭難事故でさえ、歌になり、詩に書かれ、小説にも綴られる。しかし、中高年の遭難事故には、そういうふうな要素はないのか、知らないし聞かない。
 これからしばらく、秋日和の森や林にこそ、彼ら彼女ら中高年の舞台が、しつらえられていると思うのだが。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,62日のブログをご覧ください。

 
 
 
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   秋桜といろいろな秋

2014年09月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



 高遠から茅野に通ずる杖突街道では今、秋桜の花をよく見かける。途中で分岐する松倉の集落でも、小さな村に秋桜が咲いている。普段は悪路の芝平経由と決めているが、今朝は遠回りしてこの谷あいの風景を眺めながら登ってきた。期待した通りそこらかしこに秋桜の花が咲き、薄色のピンクや白い花の色がこの小さな里の風景を、美しくも、清潔にも見せていた。

 ようやくにして、天気は少し安定してきた。村祭りを前に、今年もTKJ君が小鮒の甘露煮を届けてくれた。今ではどこの家も、親戚・知人を呼んで賑やかに祭りを祝うことはしなくなったが、これとクロッカワ、キノコと里芋の煮付け、茄子の漬物で、昨夜はいつもの一日を閉じる祭に加えて村祭りの分まで、慶することができた。


    もうこんなにも見事

 明日から3連休になる人が多かろう。予約も入っている。満月から4,5日しか経たないことになるが、月の出は9時近くだから、”あの船”に乗って星の海に船出することができるかも知れない。来週末は天気さえよければ、最高の航海(=観測)ができるだろう。
 かんと氏やTBI氏もやってくる。銀河の海が、星に憑かれた人たちを待っている。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。調布第2団・田中さん承知しました。楽しみにしています。



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     囚われの鹿

2014年09月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 
 大型の囲い罠のゲートが落ちていた。朝来ると管理棟に着く前に、いつも決まった場所で、車の中からゲートの確認をするのが、長い間の日課のようになっている。ところが、この頃はうっかりして忘れることも多い。キャンパーがいると、まず罠の中に鹿が入ることはないので、気にしなくなる。そういう日が幾日か続いたせいだ。
 仕事の準備をしていて、何気なく目をゲートにやったら、落ちていた。ということは、中に鹿が入っているということだ。以前は、ゲートが落ちていても、必ずしも捕獲につながらないこともあったが、もうそういうことはまずない。
 で、いた。3頭。3頭とも雄鹿で、頭に袋角が見える。いや、もう1頭、単独行動がいる。雌らしい。

 鹿は捕獲されたことを、どのように理解しているのだろうか。今日の鹿は必死というほどではないが、ともかく閉じられた空間から自由になりたい、というふうには見える。罠に入ったときのゲートが、閉じられてしまっていることを何度も確認して、合点がいかない、というような素振りでまた別の違った方向へと走り出す。
 昨夜から今日一日、囚われの身をなんとか脱したいとの思いで罠の中を走り、フェンスに沿って歩き回り、疲労困憊であることは間違いない。やがて迎える運命を知ってか知らでか、今は姿を隠している。重苦しい不安の中で、身を潜めじっと息を殺しているのだろうか。



 また激しく雨が降り出し、雷鳴もする。一発の銃声にはむごいほどの反応を見せる鹿だが、雷の音にはそれほどでもない。我が家の2匹の犬も、HALは雷、花火、オヤジには大反応するが、もう片方のキクはケロッ。

 上に泊まろうかとも思ったが、初もののクロッカワをいただいたことを忘れていた。今夜の祭はさてこれで、どこまでいってしまうのだろう。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。



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