入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       ’16年「夏」 (37)

2016年06月13日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

  仲良し

 レンゲツツジが雨に濡れていた。上に来れば小降りになると期待して来たが、生憎今日はそうとはならず、加えて風もかなり強く、朝9時の気温は12度Cでしかなかった。
 
 一息入れてから第1牧区へ行ってみると、何頭かの牛たちは心細げに森の中で風雨を避けてじっとしていた。どうやって判別するのか分からないが、最初のうちは畜舎が同じ牛同士で群れをつくるようだ。今日は4群に分かれていたが、危うくダケカンバの林の中の1群を見落としそうになった。どうもまだ、お気に入りの場所が決まらないようで、思いがけもしなかった場所でこちの方をじっと見ている群れに遭遇して、驚かされることがある。
 和牛の群れは姿を見せず、どうしたのだろうかと「舞台」の方へ行けば、そこに9頭が雨に濡れながら反芻していた。さすがにこの群れは堂々としたもので、風を避けるふうもなく、濡れた草の上に茶色の図体を休ませていた。ホルスタイン牛の方が体は大きくても、主導権は和牛が握っている。
 雨合羽のポケットからメモ帳を出し、双眼鏡の助けも借りながら耳に付けている牧場の番号札の番号を記録していくのだが、耳標といってもう一つ、牛は自分のIDとなる札を耳に付けている。これが、牧場番号札と重なったりして読み取るのによく苦労する。イラつく。
 最終的には全頭数を確認でき、これはこれで雨の中の1万歩以上を歩いた”甲斐”となる。気分良し!

 昼近くになって、鳥の声がして、周囲が明るくなってきた。霧は風のせいでそれほど深くない。雨は止むかも知れない。いつもは囲い罠の隅にいるまき牛(=種牛)と2頭のホルスも、草地の中央に出て一心に草を食んでいる。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては、カテゴリー別の「H28年度の営業案内」をご覧ください。
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       ’16年「夏」 (36) 

2016年06月12日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     ついにアップで登場!

 涼しい風が吹き、夏ゼミの声が辺りに溢れている。どこへ行ったのか、鳥の声は聞こえてこない。雲は高いところで動こうとしないでいる。気だるくなるような山の午後が、誰にも邪魔されずに続いている。
 ヤマナシの花の時期ももうすぐ終わる。木々の葉はさらに緑の色を深め、樹種の区別が分からなくなりつつある。レンゲツツジが咲き始め、夏はまた一歩を進めたらしい。どこかへ行っていたカッコーとホトトギスが戻ってきたようで、その声を聞いていると時間はさらにゆっくりと過ぎていくように感じられる。安穏。

 

 テントが片付けられ、人が去り、辺りはまた普段の景色に戻った。去り際、南の彼は「必ず、また来ますので」と笑顔で言った。耳に残る。

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       ’16年「夏」 (35)

2016年06月11日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


昨日ほどの好天は長く続かないのか、午後になって空は雲に覆われてしまった。ただ、鳥の声は聞こえるし、権平山もよく見えている。今夜ぐらいは大丈夫だろう。崩れてもそれほどのことはなさそうだ。
 
 ようやく牛たちは落ち着いてきた。それにお気に入りの場所が見付かったのか、上に行ってみれば3群に分かれて草の上に横になり反芻していた。お蔭で入牧以来初めて、全頭確認に成功した。ここでは、単に牛の数を数えるだけでなく、耳に付けてある牧場番号札で管理している。そのリストができた。これからは、愛用のカールツアイス(双眼鏡)が、個々の牛の札を確認する際にその性能を発揮してくれるだろう。



 古い友人3名が来て、一緒に楽しく昼を食べた。Kさん夫婦はキノコ採り、特にマツタケの名人で、Kさんの作ってくれた握り飯にはたっぷりとマツタケが入っていた。Eさんは里に残した夫が気になるのか、ぼそぼそそんなことを言いながらも、コナシやクリンソウの花に、Kさんと一緒に若い声を上げていた。Kさんの夫のSさんは、美術系の大学を卒業した後Kさんの田舎に来て暮らし、全然別な仕事をしながら今ではすっかり妻の土地の人になっている。いろいろな人生のことを考えさせてくれるのも、古い友達である。
 Kさんは小学校と中学校、Eさんは中学校の同級生で、他にもう何人かと”同級会の練習”と称して、年に一度は会って、愉快な付き合いを続けている。

 土曜日だというので3組、9名のキャンパーがやってきた。それぞれが広い場所を贅沢に占有して、さぞご満足なことだろう。今の時期はこれでいい。
 東部支所の電話番号が違っていました。0265-94-2473です。お詫びして訂正いたします。汗顔。猛省。
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       ’16年「夏」 (34)

2016年06月10日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


今日は晴れた。澄み渡った青い空に、爽やかな風が一日中吹いていた。
 
 昨日に続き、鹿のことについてもう少しだけ書いておきたい。前日9日の毎日新聞長野県版によれば、「GPS発信機で鹿の移動経路を把握して効率よくわなを仕掛け、捕獲数を増やす」という県による初めての試みを大きく報じていた。
 どうもこの記者は、有害動物の駆除についてよく知らないままに記事を書いたと思われる。捕獲目標を達成できないのは、『子供を毎年産む雌の捕獲目標が達成できていない』からだと、県の鳥獣対策担当の言葉をそのまま紹介し、その理由は「猟銃を使って雌を選んで捕獲しようと計画していたが、猟銃による捕獲は効率が悪いため、雄雌ともに捕獲するわなを使った方法に頼っているためという」と書き、これで説明したつもりかもしれないが、文意がよく分からない。県の担当者が、だから雌が減らないのだというのなら、これまた呆れるしかない。
 雌は群れを作るが、雄は雌の群れといつでも行動を共にしているわけではない。行動していたとしても雌に比べその数は少ない。通常は、群れを狙って罠を掛けるから、捕獲される鹿は圧倒的に雌の方が多い。罠で雌雄の区別なく捕獲しようとした結果、雌の捕獲目標が達成できないというのは、何の説明にもなっていない。かつて、銃で雄ばかりを狙っていた結果が、現在のような状況をつくってしまったということを、もう忘れてしまったとしたら、問題である。



 それでGPSだが、計画では八ヶ岳を中心にナント15頭の鹿に付ける予定だという。それで一体、何が分かるのだろうか。また、捕獲の効率を上げるためなら、移設可能な囲い罠、監視カメラを利用した獣道の調査、誘引方法の工夫と普及、くくり罠の集中設置などと、もっとやるべきことがありそうに思う。
 先日罠の点検に行ったら、1頭捕獲したまま見落としていて、足しか残っていなかった現場を見た。これでサンクチュアリーから鹿の気配は完全に消えた訳が分かった。くくり罠に掛かった鹿は、見せしめに2,3日そのままにしておけば、群れは別の場所に移動する。
 かつて”本州一”の捕獲数を誇った当牧場の囲い罠は、今年はいまだ6頭という結果しか出していない。鹿も囲いの中の捕えられた鹿を見て学習するから、固定式はいつかはこうなる。
 TDS君、海老名出丸さん、ありがとうございました。また、書きます。

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       ’16年「夏」 (33)

2016年06月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  朝はいつも、NHKの「クラシックカフェ」を聞きながら上がってくる。今朝のような雨催いの天気では、生い茂る木々の緑に包まれるような気がしながら来るのだが、そういう周囲の雰囲気と曲が上手く合ってくれるときはいい。しかし、そうでもない時もある。
 確かに柄にもないことで、爺さんがアニメソングでも聞くようなものだろうと、自覚はしている。

 今朝も1頭ホルスが脱柵して、通常柵と電気柵の両方が切られていた。通常の牧柵の1メートル外側、高さ45センチの位置にリボンワイヤーを通し、そこに約8千ボルトの電圧の電気を流しているから、当然この牛は感電しているはず。為に暴れてワイヤーを切ったのだろう。
 それにしても二日続けてというのは、頭が痛い。



 最近新聞に、野生鹿に関する報道が続いた。最初の記事は、茅野市と富士見町のAコープで、鹿肉の販売が行われるようになったというもの。冷凍真空パックで、背ロースは200グラム1382円、モモ肉は1274円だという。記事のコメントに「脂肪はほとんどなく、高たんぱく質で低カロリー、鉄分も非常に多く云々」とあるのは、その通りだろう。しかしこの値段には驚いた。脂肪が少ないということは、旨味が少ないということでもあり、余程、調理の方法を考えないと、人気をつかむのは難しい気がする。。
 これまでに、約700頭以上の鹿を捕獲した。そのうち、囲い罠は捕獲までだが約450頭になる。射殺後の搬出や解体は手伝うが、後は銃を扱える猟師に一切をお任せしている。
 くくり罠の場合は、捕獲から解体、そして残さの処理まで全てを牧場で行う。肉の多くは、ここで欲しいという人に無料で提供してきた。ここでも下でも販売したことは一度もない。だから中には、「貰ってやる」みたいな無礼者もいた。「無礼」なのは、もちろん鹿に対してでもあるが、そこら辺りのことはこういう輩には分からない。(つづく)

 牧場の宿泊施設や営業について、「週刊伊那」から問い合わせがあった。で、深い霧の中から聞こえてくるカッコーの声につられて、つい、「ここは楽しむ所ではなく、味わう所です」などと、言ってしまった。分かってもらえただろうか、クク。
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