■さて、この事件の発覚は、実は別件の贈収賄事件から判明したものです。その別件の事件が発覚しなかったら、斎藤烈事件も日の目を見ることはなかったことでしょう。
その事件とは、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の建設工事の測量業務を巡る競売入札妨害(不正入札)事件のことです。当時の平成18年5月17日の新聞報道記事等の情報を見てみましょう。
↑土木測量会社「協立測量㈱」(本店 杉並区上荻1-15-1)の玄関入り口。同社の事務所は、丸三ビルの4階にある。↑
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国土交通省関東地方整備局OBで「協立測量」社長逮捕
警視庁捜査二課と築地署などは、平成17年5月17日、国土交通省関東地方整備局北首都国道事務所(埼玉県草加市)が発注する圏央道の測量業務の予定価格を業者に教えたとして、同事務所の元副所長で財団法人「公共用地補償機構」相模事務所長の伊藤久数容疑者(56)=同県川越市、と、土木測量会社「協立測量㈱」(本店 杉並区上荻1-15-1)社長の海老原秀行容疑者(66)=横浜市、同専務阿部善宏(46)=練馬区=の3人を競売入札妨害(偽計)の疑いで逮捕した。同課は17日未明、同社を家宅捜索。同事務所と関東地方整備局(さいたま市)を同日午前に家宅捜索。その他自宅など約10カ所も家宅捜索した
捜査2課の調べでは、同事務所副所長として測量業務委託の設計書審査などを担当していた伊藤容疑者は昨年3月、圏央道工事の埼玉県幸手市上高野周辺工区の用地測量業務の指名競争入札で、入札予定価格が 1470万円であることを事前に海老原容疑者らに電話で漏らし、公正な入札を妨害した疑い。伊藤、阿部両容疑者は容疑を認め、海老原容疑者は「副所長に価格を打診しただけ」と否認しているという(海老原も容疑を認めているという報道もある)。
調べでは、入札は2005年3月に電子入札で行われ、1度目の入札では参加した10社すべてが予定価格を上回り、同日に再度行われた2度目の入札で協立測量が予定価格1470万円をわずかに下回る1450万円で落札した。1回目の入札でも予定価格に一番近い応札だった。
圏央道は、国交省や旧日本道路公団が事業主体で、神奈川、東京、埼玉、茨城、千葉の1都4県を結ぶ総延長約300キロの自動車専用道路。
伊藤久数は国土交通省関東地方整備局北首都国道事務所の元副所長で、1968年に旧建設省に入省し、工事用地の買収、調査業務を担当する「用地畑」を歩み、2003年4月から同事務所副所長を務めた。2005年3月に退官し、同年4月から国交省認可の財団法人「公共用地補償機構」相模事務所次長として、用地買収などを担当。また、「入札・契約手続運営委員会」の委員で、指名業者などを決める権限を持ち、設計や積算価格を審査する立場にあり、予定価格を知りうる役職。
伊藤から予定価格を教えて貰っていた海老原容疑者も関東地方建設局(当時)の用地調整官で、平成9年3月に旧建設省と退職、平成11年(1999年)に協立測量に天下っていた。伊藤と同じ部署の先輩・後輩の関係。なお、海老原は、社団法人日本補償コンサルタント協会の理事もしている。
協立測量専務の阿部善宏容疑者(46)も、伊藤容疑者が副所長になる前からの約10年来の付き合いがあったという。
捜査2課では、ほかの事業でも不正な入札や、金品の授受があった疑いがあるとみて追及する。
民間の信用調査会社によると、同社は昭和39年(1964年)8月設立、資本金1000万円(1500万円という報道もある)、従業員約70名(約65人という報道もある)、年商約6億 5000万円。
この協会のホームページによると、補償コンサルタント業を営む個人又は法人の所属職員の資質の向上及び補償コンサルタント業務の進歩改善を図り、広く社会公共の福祉の増進に寄与することを目的に、「補償コンサルタント」を会員として、建設大臣の許可を得て設立された公益法人。「補償コンサルタント」とは、公共事業に必要な土地等の取得若しくは使用、これに伴う損失の補償又はこれに関連する業務の受託又は請負を行う者をいう、とある。
伊藤容疑者は2003年4月~2005年3月、測量業務の入札で阿部容疑者に予定価格を漏らした見返りに、温泉や女性コンパニオンを同伴する旅行の接待を受けたり、ゴルフ代金をつけ回すなどした疑い。接待は約50回総額500万円に達し、両容疑者とも容疑を認めている。
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■収賄側の元国交省副所長と協立測量の元専務は平成18年6月6日に再逮捕されました。
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500万円接待は収賄 元国交省副所長を再逮捕
首都圏中央連絡自動車道(圏央道)をめぐる不正入札事件で、警視庁捜査2課は6日、予定価格を教える見返りに総額500万円相当の接待を受けたとして、収賄容疑で国土交通省の元北首都国道事務所副所長伊藤久数(57)=埼玉県越谷市、贈賄容疑で協立測量(東京)の元専務阿部善宏(46)=東京都練馬区=の両容疑者を再逮捕した。 伊藤容疑者は飲食店で接待を受けた際や電話などで、約10件の入札予定価格を漏えいしていたという。捜査2課は繰り返しの接待を悪質と判断し「わいろ」と認定した。警察庁によると、警察が摘発した接待による贈収賄事件で、わいろと認定された金額としては過去最高とみられる。
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■続いて、平成18年9月20日付けの判決記事を見てみましょう。
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国交省元副所長に有罪 圏央道接待汚職で東京地裁
国土交通省発注の首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などの測量をめぐる接待汚職で、収賄と競売入札妨害罪に問われた同省北首都国道事務所の元副所長伊藤久数被告(57)に対し、東京地裁(川本清巌裁判長)は平成18年9月20日、懲役3年、執行猶予3年、追徴金約478万円(求刑懲役3年、追徴金約478万円)の判決を言い渡した。
検察側は論告で「20年以上にわたって測量業者と癒着し、副所長当時の2年間だけでも計44回も利益供与を受けた」と指摘。伊藤被告は罪状を認め、弁護側は「反省している」として刑の執行猶予を求めていた。
判決によると、伊藤被告は副所長当時の2003年4月から昨年4月にかけ、圏央道などの測量業務の入札で、協立測量(東京)が落札できるように、おおよその予定価格を漏らすなどした。
さらに、その謝礼として協立測量の元専務阿部善宏被告(47)=贈賄罪などで公判中=から、1泊10万円以上のコンパニオン付き温泉旅行など、繰り返し過剰な接待で計約478万円相当の利益供与を受けた(この他にもゴルフ接待や無担保融資などもしていたという情報もある)。
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■このように、八ッ場ダム工事は、国交省の職員にとって、おいしい話に半永久的にありつける願ってもない事業であり、これからも手を変え品を変え、時の政権に取り入り、我々の税金を絞り取ろうとして悪知恵を働かすに違いありません。なにしろ、いくら賄賂やコンパニオン付き旅行やゴルフ接待を受けても、執行猶予で済むのですから、役人ほど割のいい職業は他にありません。
【ひらく会・八ッ場ダム問題研究班】
その事件とは、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の建設工事の測量業務を巡る競売入札妨害(不正入札)事件のことです。当時の平成18年5月17日の新聞報道記事等の情報を見てみましょう。
↑土木測量会社「協立測量㈱」(本店 杉並区上荻1-15-1)の玄関入り口。同社の事務所は、丸三ビルの4階にある。↑
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国土交通省関東地方整備局OBで「協立測量」社長逮捕
警視庁捜査二課と築地署などは、平成17年5月17日、国土交通省関東地方整備局北首都国道事務所(埼玉県草加市)が発注する圏央道の測量業務の予定価格を業者に教えたとして、同事務所の元副所長で財団法人「公共用地補償機構」相模事務所長の伊藤久数容疑者(56)=同県川越市、と、土木測量会社「協立測量㈱」(本店 杉並区上荻1-15-1)社長の海老原秀行容疑者(66)=横浜市、同専務阿部善宏(46)=練馬区=の3人を競売入札妨害(偽計)の疑いで逮捕した。同課は17日未明、同社を家宅捜索。同事務所と関東地方整備局(さいたま市)を同日午前に家宅捜索。その他自宅など約10カ所も家宅捜索した
捜査2課の調べでは、同事務所副所長として測量業務委託の設計書審査などを担当していた伊藤容疑者は昨年3月、圏央道工事の埼玉県幸手市上高野周辺工区の用地測量業務の指名競争入札で、入札予定価格が 1470万円であることを事前に海老原容疑者らに電話で漏らし、公正な入札を妨害した疑い。伊藤、阿部両容疑者は容疑を認め、海老原容疑者は「副所長に価格を打診しただけ」と否認しているという(海老原も容疑を認めているという報道もある)。
調べでは、入札は2005年3月に電子入札で行われ、1度目の入札では参加した10社すべてが予定価格を上回り、同日に再度行われた2度目の入札で協立測量が予定価格1470万円をわずかに下回る1450万円で落札した。1回目の入札でも予定価格に一番近い応札だった。
圏央道は、国交省や旧日本道路公団が事業主体で、神奈川、東京、埼玉、茨城、千葉の1都4県を結ぶ総延長約300キロの自動車専用道路。
伊藤久数は国土交通省関東地方整備局北首都国道事務所の元副所長で、1968年に旧建設省に入省し、工事用地の買収、調査業務を担当する「用地畑」を歩み、2003年4月から同事務所副所長を務めた。2005年3月に退官し、同年4月から国交省認可の財団法人「公共用地補償機構」相模事務所次長として、用地買収などを担当。また、「入札・契約手続運営委員会」の委員で、指名業者などを決める権限を持ち、設計や積算価格を審査する立場にあり、予定価格を知りうる役職。
伊藤から予定価格を教えて貰っていた海老原容疑者も関東地方建設局(当時)の用地調整官で、平成9年3月に旧建設省と退職、平成11年(1999年)に協立測量に天下っていた。伊藤と同じ部署の先輩・後輩の関係。なお、海老原は、社団法人日本補償コンサルタント協会の理事もしている。
協立測量専務の阿部善宏容疑者(46)も、伊藤容疑者が副所長になる前からの約10年来の付き合いがあったという。
捜査2課では、ほかの事業でも不正な入札や、金品の授受があった疑いがあるとみて追及する。
民間の信用調査会社によると、同社は昭和39年(1964年)8月設立、資本金1000万円(1500万円という報道もある)、従業員約70名(約65人という報道もある)、年商約6億 5000万円。
この協会のホームページによると、補償コンサルタント業を営む個人又は法人の所属職員の資質の向上及び補償コンサルタント業務の進歩改善を図り、広く社会公共の福祉の増進に寄与することを目的に、「補償コンサルタント」を会員として、建設大臣の許可を得て設立された公益法人。「補償コンサルタント」とは、公共事業に必要な土地等の取得若しくは使用、これに伴う損失の補償又はこれに関連する業務の受託又は請負を行う者をいう、とある。
伊藤容疑者は2003年4月~2005年3月、測量業務の入札で阿部容疑者に予定価格を漏らした見返りに、温泉や女性コンパニオンを同伴する旅行の接待を受けたり、ゴルフ代金をつけ回すなどした疑い。接待は約50回総額500万円に達し、両容疑者とも容疑を認めている。
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■収賄側の元国交省副所長と協立測量の元専務は平成18年6月6日に再逮捕されました。
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500万円接待は収賄 元国交省副所長を再逮捕
首都圏中央連絡自動車道(圏央道)をめぐる不正入札事件で、警視庁捜査2課は6日、予定価格を教える見返りに総額500万円相当の接待を受けたとして、収賄容疑で国土交通省の元北首都国道事務所副所長伊藤久数(57)=埼玉県越谷市、贈賄容疑で協立測量(東京)の元専務阿部善宏(46)=東京都練馬区=の両容疑者を再逮捕した。 伊藤容疑者は飲食店で接待を受けた際や電話などで、約10件の入札予定価格を漏えいしていたという。捜査2課は繰り返しの接待を悪質と判断し「わいろ」と認定した。警察庁によると、警察が摘発した接待による贈収賄事件で、わいろと認定された金額としては過去最高とみられる。
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■続いて、平成18年9月20日付けの判決記事を見てみましょう。
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国交省元副所長に有罪 圏央道接待汚職で東京地裁
国土交通省発注の首都圏中央連絡自動車道(圏央道)などの測量をめぐる接待汚職で、収賄と競売入札妨害罪に問われた同省北首都国道事務所の元副所長伊藤久数被告(57)に対し、東京地裁(川本清巌裁判長)は平成18年9月20日、懲役3年、執行猶予3年、追徴金約478万円(求刑懲役3年、追徴金約478万円)の判決を言い渡した。
検察側は論告で「20年以上にわたって測量業者と癒着し、副所長当時の2年間だけでも計44回も利益供与を受けた」と指摘。伊藤被告は罪状を認め、弁護側は「反省している」として刑の執行猶予を求めていた。
判決によると、伊藤被告は副所長当時の2003年4月から昨年4月にかけ、圏央道などの測量業務の入札で、協立測量(東京)が落札できるように、おおよその予定価格を漏らすなどした。
さらに、その謝礼として協立測量の元専務阿部善宏被告(47)=贈賄罪などで公判中=から、1泊10万円以上のコンパニオン付き温泉旅行など、繰り返し過剰な接待で計約478万円相当の利益供与を受けた(この他にもゴルフ接待や無担保融資などもしていたという情報もある)。
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■このように、八ッ場ダム工事は、国交省の職員にとって、おいしい話に半永久的にありつける願ってもない事業であり、これからも手を変え品を変え、時の政権に取り入り、我々の税金を絞り取ろうとして悪知恵を働かすに違いありません。なにしろ、いくら賄賂やコンパニオン付き旅行やゴルフ接待を受けても、執行猶予で済むのですから、役人ほど割のいい職業は他にありません。
【ひらく会・八ッ場ダム問題研究班】