市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

血税3440万円と広告収入3千万以上をかけたグラフぐんまを無料ダウンロードさせない群馬県と監査委員

2012-12-30 20:33:00 | 県内の税金無駄使い実態
■大澤知事の提灯記事をちりばめた「グラフぐんま」は役所、出先機関、県議会等政治関係先、農協、病院、銀行、飲食店、理・美容店だけに毎月1万6200部無料配布されていますが、納税者である一般県民が、この県政写真誌と称する代物を読もうすると、県内の限られた書店で1冊350円で買わざるを得ません。


 内容がいまひとつ面白くないのに、毎月勝手に送りつけられるので、この費用をもっと県民のために有意義に使ってほしいという県民のかたからの声にもとづき、これまで「グラフぐんま」の制作・発行に関して、いろいろ調査し、その結果、地方自治法に定める最小限のコストで最大限の効果を挙げるという趣旨に反していることが明らかになったため、市民オンブズマン群馬のメンバーらが、群馬県監査委員に対して平成24年10月23日に住民監査請求を行いました。その結果が同12月26日付で通知されましたので報告します。なお、監査結果は、案の定「棄却する」でした。

 群馬県監査委員から届いた監査結果通知は次のとおりです。

**********
                    群監 第202-19号
                    平成24年12月26日
請求人 小川  賢 様
者求人 鈴木  庸 様
                    群馬県監査委員
     群馬県職員措置請求に関する監査結果について
平成24年10月23日付けで収受した標記請求に係る監査結果は下記のとおりです。
         記
1 監査委員名   富 岡 恵美子
          横 田 秀 治
          織田澤 俊 幸
          新 井 雅 博
2 監査結果   別紙のとおり
                    監査委員事務局特定監査係
                    Tel 027-226-2767・2768


【群馬県職員措置請求監査結果】
第1 請求に対する判断
 請求人の主張には理由がないものと判断し、請求を棄却する。
第2 請求人
 安中市野殿980番地 小川賢
 前橋市文京町1丁目15番10号 鈴木庸
第3 請求書の提出
 平成24年10月23日
 なお、受理するに当たり、平成24年10月31日に補正を求め、平成24年11月12日に補正が行われた。
第4 請求の内容
1 .請求書の要旨(原文から抜粋したもの(一部要約))
(1)グラフぐんまについては、開示された資料を見る限り入札執行調書はあるが、肝心の予定価格調書については、封筒の写しのみが開示されただけであり、予定価格は設定されているようだ。しかし、その情報を隠そうとしていることから、予定価格の積算根拠について、広告料を把握していないまま積算している可能性があり、その場合、全く根拠に乏しい予定価格の数字となってしまう。
(2)群馬県は上毛新聞社に、契約に基づいて毎月287万円を委託業務費として支払っている。もし、上毛新聞社が、毎月の広告代として、40ページの20パーセントに相当する8ページ分の広告料を、それぞれ1ページ当たり、仮に30万円と設定した場合、8ページ合計で240万円の広告収入となり、落札額の8割以上をカバーできることになる。仮に1ページ分の広告料を40万円に設定した場合は、8ページ合計320万円となり、落札額を上回る収入になるため、県から受け取る公金は、まるまる利益にすることも可能である。
(3)総務部広報課では、きちんと広告料を把握し、グラフぐんまの入札に際して、適正な予定価格をあらかじめ設定することが必要である。
(4)大沢正明知事は、ただちにグラフぐんまに係る広告料・広告収入を広告取扱事業者から報告させ、適正なコスト+利益率を設定し、もし、それを超える過分な利潤がある場合(請求人は、過分な利潤は必ず存在していると確信する)、広告取扱事業者であり、グラフぐんまの編集・発行者でもある上毛新聞に対して、適正な範囲を超える利潤を返還させるための交渉を行うよう、監査委員から勧告をされたい。
2 事実証明書について
(1)平成24年4月1日付の総務部広報課の回議書類(グラフぐんまの製作・発行委託について)のコピー
(2)同上の決定内容と起案説明のコピー
(3)同上の入札執行調書のコピー
(4)同上の上毛新聞社の入札書のコピー
(5)同上の予定価格調書用を入れたと思しき封筒のコピー
(6)同上のグラフぐんまの製作・発行に係る群馬県と上毛新聞社との間で締結される予定の平成24年4月1日付の契約書のコピー(全3ページ)
(7)平成24年7月16日付の群馬県に対する公開質問状のコピー
(8)平成24年7月31日付の群馬県からの回答のコピー
(9)平成24年7月5日付の上毛新聞社に対する公開質問状のコピー
(10)平成24年7月13日付の上毛新聞社からの回答のコピー(全2ページ)
(11)平成24年8月20日付の群馬銀行に対する公開質問状のコピー
(12)平成24年8月24日付の群馬銀行からの回答のコピー
3 補正書の内容(原文から抜粋したもの(一部要約))
(1)予定価格の積算根拠について、広告料を把握していないまま積算している可能性があり、その場合、全く根拠に乏しい予定価格の数宇となってしまう。
(2)入札が一般競争入札なのか、指名競争入札なのか判然としない。(略)一般競争入札以外の契約形態(指名競争入札及び随意契約を含む)は地方自治法に定められた場合のみ行うことが出来る。
(3)本件の入札では、公告に示した競争執行の場所及び日時に、入札者を立ち会わせて開札をしているのかどうかも不明である。しかも、入札書は郵送で提出されているが、入礼者が立ち会わない場合の措置がきちんとなされていたかどうかも不明である。
(4)一連の契約行為において、適正な予定価格、適正な入札が担保されていない場合、入札結果として、落札価格=契約価格に正当性の瑕疵が生じることになり、必然倚に財務会計上、発注者側に不利な結果、すなわち損害を生じることが考えられる。公金の支出に対しては、歳出予算に違反しないこと(地方自治法232条の3、232条の4)、最小経費・最大効果の原則に違反しないこと(無駄遣いでないこと)(地方自治法2条14号、地方財政法4条1項)という規制があり、本件に係る一連の契約行為はこの双方に抵触している。
(5)さいたま市が半年ごとに1万部ずつ1部62円程度のコストで発行している写真誌などから推定すると、グラフぐんまの場合、毎月1万6千部も発行しているのであれば、広告を募集しなくても、1冊あたりせいぜい90円程度で費用が賄えるはずであり、そうであれば、現在1冊当たり約177円の公費を投入して編集・製作・発行しているグラフぐんまは現在の半額程度で製作できることになり、残りは無駄遣いとなるため、地自法に違反する。
(6)グラフぐんまの広告料について、その実勢を把握せずに予定価格を設定している場合には(請求人らはその可能性が極めて高いと思料する)、得べかりし利益を放棄していることになり、これが損害にあたる。
第5 請求の受理
 本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成24年11月15日に受理を決定した。
第6 監査の実施
1 監査対象事項
 本件請求に係る請求書、事実証明書及び補正書から判断し、監査対象事項は次のとおりとした。
 平成24年度「県政写真誌「グラフぐんま」製作・発行委託業務」契約(以下「本件契約」という。)
2 監査対象機関
 県総務部広報課(以下「広報課」という。)
3 請求人の証拠の提出及び陳述
 平成24年11月22日、法第242条第6項の規定に基づき証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人2名から陳述があった。
 なお、追加証拠書類として、次の提出があった。
(1)群馬県職員措置請求書にかかる陳述書
(2)町田市のホームページの記事(2012年度地域情報紙「まちぴと」発行業務受託候補者選定のための公募型プロポーザルについて)
4 監査委員による対面監査
 平成24年12月10日、広報課に対し、監査委員による対面監査を行った。
5 関係人調査
 法第199条第8項の規定に基づき、県生活文化部県民生活課(以下[県民生活課」という。)及び県会計局会計課(以下「会計課」という。)に対し、平成24年12月5日付け文書による調査を行ったところ、県民生活課から同月10日に、会計課から同月12日にそれぞれ回答を得た。
6 非開示情報の取扱いについて
 監査時には、予定価格や予定価格積算の具体的な金額を監査したが、本監査結果において、予定価格等を具体数値で示すことは、契約事務に関し、県の財務上の利益等を不当に害するおそれがあり、群馬県情報公開条例(平成12年条例第83号)第14条第6号ロに該当すると判断し、具体的な金額を記載しない。
第7 監査の結果
 関係書類の調査並びに広報課職員及び関係人への聴取等により、確認した事実は、以下のとおりである。
1 関連する規定等について(各法令等の記載は、関連規定の抜粋とする。)
(1)地方自治法施行令(昭和22年政令第16号。以下「施行令」という。)
 第167条 地方自治法第234条第2項の規定により指名競争入札によることができる場合は、次の各号に掲げる場合とする。
(1)工事又は製造の請負、物件の売買その他の契約でその性質又は目的が一般競争入札に適しないものをするとき。
(2)その性質又は目的により競争に加わるべき者の数が一般競争入札に付する必要がないと認められる程度に少数である契約をするとき。
(3)一般競争入札に付することが不利と認められるとき。
 第167条の6 普通地方公共団体の長は、一般競争入札により契約を締結しようとするときは、入札に参加する者に必要な資格、入札の場所及び日時その他入札について必要な事項を公告しなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、前項の公告において、入札に参加する者に必要な資格のない者のした入札及び入札に関する条件に違反した入札は無効とする旨を明らかにしておかなければならない。
(2)群馬県情報公開条例(平成12年条例第83号。以下「公開条例」という。)
 第11条 何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対し、当該実施機関の保有する公文書の開示を請求することができる。
 第14条 実施機関は、開示請求に係る公文書に次の各号に掲げる情報(以下「非開示情報」という。)のいずれかが記録されている場合は、当該公文書を開示してはならない。
(6)県の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人又は公社が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの
 ロ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、県、国、独立行政法人等、他の地方公共団体、地方独立行政法人又は公社の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
 第18条 実施機関は、開示請求に係る公文書の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨並びに開示を実施する日時及び場所を書面により通知しなければならない。
2 実施機関は、開示請求に係る公文書の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき及び開示請求に係る公文書を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
(3)群馬県財務規則(平成3年規則第18号。以下「財務規則」という。)
 第169条 契約担当者は、一般競争入札に付そうとするときは、契約をしようとする事項に関する設計書、仕様書等に基づき、当該契約の目的となる事務、事業、物件又は役務について市場価格、取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮し、予定価格の積算を行い、適正な予定価格を定めなければならない。
2 予定価格は、契約をしようとする事項の価格の総額について定めなければならない。ただし、一定期間継続してする製造、修理、加工、売買、供給、使用等の契約の場合においては、単価についてその予定価格を定めることができる。
 第170条の2
 2 知事は、前項に規定する資格を定めたときは、定期に又は随時に、一般競争入札に参加しようとする者の申請をまって、その者が当該資格を有するかどうかを審査し、当該資格を有すると認めた者又は当該資格がないと認めた者に対し、それぞれ必要な通知を-・しなければならない。
 第171条 契約担当者は、一般競争入札に付そうとするときは、法令に特別の定めがある場合を除くほか、その入札をする日の前日から起算して10日前までに群馬県報への登載、新聞紙への掲載、掲示その他の適切な方法により、これを公告しなければならない。ただし、急を要する場合においては、その期間を5日までに短縮することができる。
 2 前項の公告は、政令第167条の6に規定する事項のほか、次に掲げる事項について行うものとする。
 (1)入札に付する事項
 (2)契約条項を示す場所及び日時
 (3)入札保証金に関する事項
 (4)前3号に掲げるもののほか、必要があると認める事項
 第175条 一般競争入札に参加する者(以下「入札者」という。)は、入札書(当該入札書に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下同じ。)を作成し、所定の日時に所定の場所に提出しなければならない。
 2 代理人が入札する場合は、入札前に委任状を提出しなければならない。
 第179条 契約担当者は、一般競争入札の落札者が決定したときは、直ちにその旨を落札者に通知しなければならない。
 2 落札者は、前項の通知を受けた日の翌日から起算して5日以内に契約を締結しなければならない。ただし、契約担当者が特に理由があると認めた場合は、この限りでない。
 第190条の4 契約担当者は、特例政令第6条の規定による一般競争入札の公告をする場合は、第171条第1項の規定にかかわらず、特例政令第6条に規定する事項のほか、次に掲げる事項について、その入札をする日の前日から起算して40日前(一連の調達契約のうち最初の契約以外の契約に係る一般競争入札については、24日前)までに、群馬県報へ登載して公告しなければならない。ただし、急を要する場合においては、その期間を10日までに短縮することができる。
 (1)当該公告に係る特定調達契約に関する事務を担当する部局の名称
 (2)契約の手続において使用する言語
 第190条の6 知事は、第190条の4第1項の公告又は前条第1項の公示をした後、当該公告又は公示に係る一般競争入札又は指名競争入札に参加しようとする者から第170条の2第2項(第187条において準用する場合を含む。)の規定による申請があったときは、連やかに、その者が政令第167条の5第1項又は第167条の11第2項に規定する資格を有するかどうかについて審査を開始しなければならない。
 第190条の7 契約担当者は、特定調達契約につき郵便による入札を禁止してはならない。
 第190条の8 特例政令第8条に規定する入札説明書に記載する事項は、次に掲げるものとする。
 (1)特例政令第6条又は第7条の規定により公告又は公示をするものとされている事項(特例政令第6条第5号に掲げる事項を除く。)
 (2)調達をする物品等又は特定役務の仕様その他の明細
 (3)開札に立ち会う者に関する事項
 (4)契約に関する事務を担当する部局の名称及び所在地
 (5)契約の手続において使用する言語
 (6)その他必要な事項
 第190条の10 契約担当者は、特定調達契約につき、一般競争入札若しくは指名競争入札により落札者を決定したとき、又は随意契約の相手方を決定したときは、その日の翌日から起算して72日以内に、特例政令第11条の規定により群馬県報へ登載して公示しなければならない。
 2 前項の公示については、次に掲げる事項を記載するものとする。
 (1)落札又は随意契約に係る物品等又は特定役務の名称及び数量
 (2)契約に関する事務を担当する部局の名称及び所在地
 (3)落札者又は随意契約の相手方を決定した日
 (4)落札者又は随意契約の相手方の氏名及び住所
 (5)落札金額又は随意契約に係る契約金額
 (6)契約の相手方を決定した手続 .
 (7)一般競争入札又は指名競争入札によることとした場合には、特例政令第6条の規定による公告又は特例政令第7条の規定による公示をした日
 (8)随意契約による場合には、その理由
 (9)その他必要な事項
(4)県広告掲載関連
 ア 群馬県広告掲載要綱(平成23年5月24日施行。以下「掲載要綱」という。)
 第1条 この要綱は、県の財源確保対策の一環として、県資産に掲載する広告の取扱いについて必要な事項を定めるものとする。
 2 広告の掲載については、他の要綱に特別の定めがある場合を除くほか、この要綱の定めるところによる。
 イ 群馬県広報媒体広告掲載要綱(平成20年2月21日施行。以下r媒体要綱jという。)
 第4条広告取扱事業者は、広告媒体に広告掲載しようとする広告主及び広告内容について、あらかじめ県と協議するものとする。
 ウ 「グラフぐんま」及び県政テレビ番組広告掲載要領(平成20年2月21日施行。以下「掲載要領」という。)
 第2条 グラフぐんま及び県政テレピ番組への広告掲載は、県からグラフぐんま又は県政テレビ番組の製作業務を受託した者と広告掲載業務に関する委託契約を締結して行うものとする。なお、広告掲載業務に関する委託契約は、製作業務に関する契約に含めて締結することができるものとする。
 第6条 広告の募集は、広告取扱事業者が行う。
 2 広告取扱事業者は、この要領に基づき、広報媒体に広告掲載する者の候補を選定し、広告掲載内容を検討するとともに、あらかじめ県の承認を得なければならない。
(5)年度開始前の契約準備行為について
 ア 「当初予算に係る年度開始前の入札執行について」(平成11年3月4日会第17号。以下「入札通知jという。)
 1 対象業務
  年度開始早々に契約を締結しなければ業務に支障を来すもの。
 2 事務手続きの範囲
  執行伺い(内部意思決定)から入札・落札者の決定までとする(随意契約に係るものは、見積書の徴取・契約の相手方の選定までとする。)。
 3 留意事項
  ・執行伺いは新年度予算議決日以後に行うものとし、年度開始前の契約準備行為である旨を記載のうえ、財政課長(出先機関にあっては主管課長)の承認を得ること。
  ・入札通知には「当該入札の落札決定の効果は、平成○年4月1日に平成○年度予算発効時において効力を生ずる。契約の締結は平成○年4月1日とする。」旨の条件を付すこと。
  ・支出負担行為の決議及び契約の締結は、4月1日以後とすること。
 イ 「年度開始前の契約準備行為の事務手続きについて」(平成15年3月17日(財)。以下「事務通知」という。)
 1 変更内容
  年度開始前の契約準備の執行伺い時の財政課長の承認を次のとおり変更
  <変更前>財政課長の承認〔地域機関にあっては主管課長の承認〕
    ↓
  <変更後>主管課の承認(地域機関は従来どおり)※財政課長の合議は必要なし。但し、財務規則上の合議区分による合議は従来どおり。
 2 適用時期
  平成15年度当初予算の契約準備行為から適用
 3 その他
  これ以外の事務手続きについては、平成11年3月4日付会第17号通知のとおりに行ってください。
(6)会計事務の手引(群馬県会計局作成)
 ア 第6 契約5 予定価格(5)
  また、下記ア及びイに掲げる場合を除き、予定価格は開札後であってもこれを公表すべきではない。
  なぜなら、①入札が不調に終わり、新たに入札を実施する場合又は再度公告をして入札を実施する場合があること、②落札者が契約に応じない場合があること、③当該入札における積算基準等を推察することが可能となる等の理由により、その後の競争入札において、県にとって有利な価格で契約することができなくなるおそれがあるためである。
 イ 第6 契約9 一般競争入札(6)
  ウ 特に禁止しない場合は、代理人に入札させてもよい。この場合は、代理人に委任状を提出させ、入礼者は代理人とする。
  エ 入札書は、封書にして提出させ、封筒の表面余白に一般競争入札に付された事項及び氏名又は名称(会社名等)を記入させる。
 ウ 第6 契約9 一般競争入札(7)
  ア 開札は、入札終了後直ちに入札場所で入札者を立ち会わせて行う。この場合に立ち会わない入札者があるときは、当該入札事務に関係のない職員を立ち会わせて開札する。なお、立ち会わない入札者が数人いても、職員は1人でもよい。
  イ 開札は原則として、入札執行者及び補助職員2名以上で次のとおり行う。
2 広報課職員からの聴取事項
(1)「グラフぐんま」について
 ア 広告掲載根拠
  広告掲載については、掲載要綱で県の財源確保対策の一環として、県資産に掲載する広告の取扱いについて必要な事項が定められている。広告の掲載は、掲載要綱第1条第2項で他の要綱に特別の定めがある場合を除くほか、この要綱の定めるところによるとされているため、広報課では、掲載要領を制定し、掲載要領第2条で規定している。
 イ 契約方法について
  本件契約は、掲載要領第2条の規定により、受託業者に、製作業務と併せて広告の募集、掲載業務を委託している。広告料収入を製作費用の一部に充てることで県の歳出削減が図られると認識している。実際に、広報課では、広告料収入を見込んだことにより、平成24年度の契約金額が34,440千円(税込み)となり、広告料収入を見込まない金額より30,000千円以上の県費の節減が図られたものと想定している。
  なお、請求人は、「広告料収入だけでも発行は可能ではないか、利益も期待できる。」と主張しているが、毎月の287万円は、製作費から広告料収入を差し引いた金額であり、ここから広告料収入を差し引くのは算術的に明確な誤りである。
  また、「グラフぐんま」は、通常の雑誌とは異なり、行政の刊行物という性格上、広告掲載条件も厳しいが、製作と広告募集を合わせた委託を行うことにより、受託業者の待つ営業力を生かした広告募集が行えると考えている。
 ウ 「楽楽楽(ららら)さいたま」との比較
  請求人は、「さいたま市が発行しているグラフ誌版広報誌「楽楽楽(ららら)さいたま」に比べ、「グラフぐんま」の製作単価が高い。」と主張しているが、「楽楽楽(ららら)さいたま」は、市内の魅力や観光スポットなどを紹介する冊子であり、「グラフぐんま」は県政や県内の出来事を紹介するものである。
  また、表1のとおり、発行回数や製作方法等も異なっており単純に比較することはできないと考える。
*****表1「グラフぐんま」と「楽楽楽(ららら)さいたま」(きいたま市発行)の比較表(平成24年度)*****
 冊子名/制作/構成/部数(1回あたり)/発行回数/規格/製作方法/写真枚数(平均)/ホームページへの掲載)/制作費(千円)/印刷費のみの比較(円・税込み)
■グラフぐんま/群馬県/・閲覧目的で配布・県政や県内の出来事を紹介・内容 県内の話題、県政の出来事、県内の観光情報など・配布先 市町村、図書館、学校、病院、金融機関、飲食店、理・美容院等/16,200/年12回/B4変形 40ページ(カラー28、白黒12)/製作委託 企画:県、上毛新聞 取材・編集・発行:上毛新聞社/100/概要のみ/34,440※取材編集発行経費含む/@138.6(@132(税抜き))
■楽楽楽(ららら)さいたま/さいたま市/・一般人への配布・市内の魅力や観光スポットなどを紹介・内容 市内観光情報、イベント情報など・配布先 区役所、観光案内所、しないホテル、コミュニティセンター等/10,000/年2回/A4 20ページ(フルカラー)/直営(印刷は外注) 規格、取材、編集、発行:さいたま市/40/全ページ/1,312※印刷経費のみ/@62.53
(2)入札方法等について
 請求人は、「入札が一般競争入札なのか、指名競争入札なのか判然としない。(略)公告に示した競争執行の場所及び口時に、入礼者を立ち会わせて開札をしているのかどうかも不明である。しかも、入札書は郵送で提出されているが、入札者が立ち会わない場合の措置がきちんとなされていたかどうかも不明である。」と主張しているが、次のとおり入札は適正に行っている。
ア 入札形態について
 本件契約は、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令(平成7年政令第372号。以下「特例政令」という。I)の適用を受けるため、財務規則第190条の4第1項の規定により、入札する日の前日から起算して40日前までに公告を行わなければならないため、平成24年2月10日に入札公告し、一般競争入札を行っている。
イ 入札参加資格について
 本件契約については、施行令第167条の6第1項の規定により、入札に参加する者に必要な資格を定め、入札公告を行った。平成24年3月12日に、入札に応札の意思を示した2者から入札説明書で指定した書類の提出があり、審査の結果、入札に参加する資格があると認められたため、2者に対し同月19日に入札参加資格確認通知書を送付した。
ウ 入札及び開札について
 本件契約については、入札通知及び事務通知により、平成24年3月13日に県企両部企画課(以下「全面課」という。)へ年度開始前の入札執行に関する協議を行い、同月19日に承認され、同月26日に入札及び開札を行った。入札及び開札は、入札執行者1名、補助職員2名の広報課職員3名により執行し、入札者の委任を受けた代理人から入札書の提出を受け、代理人立会の下、開札を行い、落札者を決定し、直ちに落札者の株式会社上毛新聞社,(以下「受託業者」という。)に通知を行った。なお、今回の入札では、郵送による入札書の提出はない。
(3)予定価格積算について
 請求人は、「予定価格積算根拠について、広告料を把握しないまま積算している可能性があり、その場合、全く根拠に乏しい予定価格の数字となってしまう。」と主張しているが、予定価格の積算は、財務規則第169条第1項に基づき、「積算資料印刷料金」((財)経済調査会)、会肝臓が参考積算した印刷製本費、市場価格及び取引の実例価格等を考慮し、適正に積算している。主な項目についての積算の考えは次のとおりである。
ア 企画・編集・デザイン料
 「積算資料印刷料金」に掲載されている単価を利用している。写真、デザイン点数などは過去の実績を参考に積算している。
イ 印刷製本費(刷版料、印刷料、製本・加工料、用紙等)
 会計課見積資料の参考単価×印刷部数
ウ 広告料
 広報課が広告料収入を見込まずに積算した金額と、受託業者から徴取した当該業務の見積額(広告料収入込み)の差額を広告料とし、積算している。なお、広告効果の高い裏表紙や表紙裏面などは、他の雑誌を参考にして割増を行っている。
エ 広告料の扱い
 広告募集業務も委託業務契約に含めており、広告料収入は受託業者の営業努力によるものである。広告料収入を報告させることは、受託業者の営業を妨げることになる。また、契約上広告料収入を報告させる規定はないことから、受託業者から報告させる必要もなく、報告させていない。
 積算している広告料については、今年度に受託業者以外の広告会社から見積書を徴取した結果、広報課で積算した見積金額の方が高いことからも、適正な金額と考えている。
(4)情報公開について
 請求人は、「開示された資料を見る限り入札執行調書はあるが、肝心の予定価格調書については、封筒の写しのみが開示されただけであり、予定価格は設定されているようだ。しかし、その情報を隠そうとしている。」と主張しているが、広報課では、公開条例第14条第6号ロに該当すると判断し、非公開情報としている。これは、「グラフぐんま」は、毎年ほぼ同様の仕様で入札を行っているため、予定価格を公開すると、次年度の予定価格を容易に推察されてしまい公正な入札を行うことができず、今後の契約業務に支障を来すためである。
3 監査対象事項に係る事実関係の確認
(1)「グラフぐんま」について
ア 特徴・掲載内容・発行回数等
(ア)特徴
 県内のさまざまな出来事を、大きな写真を使ってわかりやすく紹介する目的で、昭和42年発刊。気楽に手に取り読んでもらえるように、県民が一定の時間滞在する施設などに配布。
(イ)掲載内容
 県の施策紹介、県にゆかりのある著名人などの紹介、県内で行われた行事やイベントなどの地域の話題、スポーツ情報、県内企業の商い技術紹介、県内で活躍する高校生の活動、食、県内の観光情報など
(ウ)配布先
 医療機関、飲食店、理容所・美容院、金融機関、図書館、郵便局など
(エ)規格
 B4変形 40ページ
(オ)発行
 毎月10日
(カ)広告掲載
 本件契約の契約書第8条において、「広告の掲載は、全ページ数の概ね20パーセント以内とする。」と規定されている。
イ 契約について
(ア)委託契約先
 株式会社上毛新聞社
(イ)契約期間
 平成24年4月1日から平成25年4月16日まで
(ウ)契約額
 34,440,000円(税込み)
(エ)契約書で示している部数
 194,400部(16,200郎×12回)
ウ その他
(ア)県内61書店で販売(定価350円(税込み))
(イ)県ホームページで、概要のみ掲載
 (URL : http://www.pref.gunma.jp/cate_list/ct00001205.html
(2)入札について
 表2「入札の経緯」のとおり、一連の入札の手続を実施していた。
*****表2 入札の経緯*****
項番/日付/内容/備考
1/平成23年10月25日/見積書提出/予定価格等の歯槽を算出するため、(株)上毛新聞社から見積書を求める。
2/平成24年2月3日/入札実施決定/財務規則第169条第1項に基づき、予定価格等の金額を定め、一般競争入札を実施することを決定
3/平成24年2月10日/入札の公告/財務規則第190条の4台1項に基づき、入札をする日の前日から起算して40日前までに公告を実施
4/平成24年3月12日/入札参加資格書類提出/施行令第167条の6第1項の規定に基づき、一般競争入札に参加する業者に対して必要な資格を定め、書類の提出を受け資格審査を実施した。
5/平成24年3月19日/入札参加資格者決定起案/施行令第167条の6第1項の規定に基づき、一般競争入札に参加する業者に対して必要な資格を定め、書類の提出を受け資格審査を実施した。
6/平成24年3月13日/年度開始前の契約手続協議/年度開始前の入札執行のため、入札通知及び事務通知に基づき、主管課(金員課)と協議を実施し、年度聞蛤養契約手続の承認を受けた。
7/平威24年3月19日/年開始前の契約手続承認/年度開始前の入札執行のため、入札通知及び事務通知に基づき、主管課(金員課)と協議を実施し、年度聞蛤養契約手続の承認を受けた。
8/平成24年3月26日/入札執行/入札者(2者)参加のうえ、財務規則第175条に基づき入札を実施した緒果、(株)上毛新聞社が落札した。
9/平成24年4月1日/契約締結/入札後に、財務規則第179条に基づき、落札した旨を即日(株)上毛新聞社に通知し、契約を締結した。
10/平成24年4月17日/落札の公示/財務規則第190条の10に基づき、一般競争入札で落札者((株)上毛新聞社)を決定後に県報に落札した旨を公示した。
11/参考/債務負担行為/期間::平成25年度 限度額・3,173千円 議会提出(平成24年2月20日)
**********
ア 特例政令第3条第1項に規定する総務大臣の定める区分及び総務大臣の定める額が、平成24年総務省告示第14号において、平成24年4月1日から平成26年3月31日までの間に締結され調達契約について、役務の提供(出版及び印刷のサービスに該当)は2,500万円以上に改定された。本件契約の予定価格が、基準額以上になることから、特例政令の該当となった。
イ 財務規則第169条第1項に基づき、予定価格積算を行い予定価格を定め、法第234条に基づき一般競争入札を実施することを平成24年2月3日に決定した。(項番2)
ウ 務規則第190条の4第1項に基づき、その入札をする日の前日から起算して40日前までに群馬県報へ登載しなければならないとされており、平成24年2月10日に群馬県報で公告(以下「入札公告」という。)を行っていた。なお、公告掲載事項は、特例政令第6条、施行令第167条の6及び財務規則第190条の4の規定により必要な事項等とし、財務規則第190条の7の規定による郵便による入札についても記載事項とした。(項番3)
エ 施行令第167条の6第1項に基づき、一般競争入札に参加する者に必要な資格等を定め、入札参加業者2者から資格等に係る書類の提出を受けて、資格審査を実施し、平成24年3月19日に入札参加確認通知書を送付していた。(項番4及び5)
オ 入札通知及び事務通知については、年度開始早々に契約を締結しなければ業務に支障を来すものについては、主管課と協議を行い、承認を得ることになっており、平成24年3月13日に企画課へ年度開始前の入札執行に関する協議を行い、同月19日に承認された。(項番6及び7)
カ 財務規則第175条に基づき、平成24年3月26日に応札業者2者で一般競争入札を実施した。郵送による入札はなく、入札者から委任を受けた代理人によって、広報課3名(入札執行者及び補助職員2名)により、入札執行された。(項番8)
キ 財務規則第179条の規定に基づき、落札した旨を平成24年3月26日、落札者に通知し、同年4月1日契約を締結した。(項番9)
ク 財務規則第190条の10第1項において一般競争入札により落札者が決定した場合は、その目の翌日から起算して72日以内に、群馬県報へ登載して公示することとされており、平成24年4月17日に県報登載されていた。(項番10)
(3)予定価格積算について
 表3「グラフぐんま製作・発行委託業務の積算内訳jのとおり、積算を行っていた。
*****表3 グラフぐんま制作・発行委託業務の積算内訳*****
項番/積算内訳/積算概要
1/企画・編集・デザイン料
    1/企画料/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版参照
    2/原稿執筆料/積算根拠として「積算資料印刷料金」2011年版参照
    3/編集デザイン料
      1 エディトリアルディレクション/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版参照
      2 表紙デザイン/積算根拠として「積算資料印刷料金」2011年版参照
      3 本文デザイン/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版参照
    4/その他
      1 写真撮影/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版写真撮影参照
         カラー/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版写真撮影参照
         白黒/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版写真撮影参照
      2 イラスト/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版イラストデザイン参照
         カット/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版イラストデザイン参照
        文章表現にあわせるもの/積算根拠として「積算資料印刷料金」2009年版イラストデザイン参照
2/印刷製本料
    1/DTPパーツ作成料/会計課見積資料より
    2/DTPメイクアップ作成料/会計課見積資料より
    3/DTP出力料/会計課見積資料より
    4/印刷料/会計課見積資料より
    5/製本・加工料/会計課見積資料より
    6/用紙価格/会計課見積資料より
3/諸経費/印刷の制作においてかかる間接費用で、一般管理費、販売費等に対し、加工品に応じた比率(7%)を乗じて算出する。/積算根拠として「積算資料印刷料金」
4/広告料
    1/広告主から受け取る広告掲載料金を値引きとして計上/表紙裏面、裏表紙裏面については、1ページあたりの広告単価に割増率20%を乗じ、裏表紙については、同単価に割増率30%を乗じて広告料単価を算出している。
    2/1ページ/同上
    3/1/2ページ/同上
    4/1/4ページ/同上
    5/裏表紙/同上
    6/表紙裏面/同上
    7/裏表紙裏面/同上
5/納入/配送経費/ゆうメール運賃
     配送人件費/平成24年当初予算標準単価一般人夫費から算出
     封筒製作/書籍名と発送元明記のための印刷、ゆうメール発送のための一部カットなどの加工費を見込む
**********
ア 企画・編集・デザイン料(項番1)
(ア)企画料
 内容:印刷物の製作に当たり、その目的を達成するためのトータルマネージメントを行う作業/グランドデザイン(企画・立案)
 積算:単価×1回 単価は、「積算資料印刷料金」2009年版を利用
(イ)原稿執筆料
 内容:印刷物の製作に当たり、その目的を達成するための文字原稿を執筆する作業
 積算:単価×61枚 単価は、「積算資料印刷料金」2011年版を利用 61枚は、写真やデザイシを除く1ページ当たりの文字数から計算
(ウ)編集デザイン料
 内容:印刷物の製作に当たり、印刷プリプレス工程前に必要とする原稿の整理、印刷のルールの指示及びビジュアル原稿を作成する作業
a エディトリアルディレクション
 内容:主に編集、全体の進行や企画、デザインの方向性の決定、ページのバランス、原稿、レイアウトのチェック
 積算:単価×35ページ 35ページは、エディトリアルディレクションの必要のない全面広告5ページを除いたページ 単価は、「積算資料印刷料金」2009年版を利用
b 表紙デザイン
 積算:単価×1ページ 単価は、「積算資料印刷料金」2011年版を利用
c 本文デザイン
 積算:単価×35ページ 単価は、「積算資料印刷料金」2009年版を利用 35ページは、本文デザインの必要のない全面広告5ページを除いたページ
(ェ)その他
a 写真撮影
 積算:カラー写真単価×46点 白黒写真 単価×30点 単価は、「積算資料印刷料金」2009年版を利用 写真撮影点数は、過去の掲載実績を参考
b イラスト
 カット:単価×4点 単価は、「積算資料印刷料金」2009年版を利用
        文章表現にあわせるもの:単価×3点 単価は、「積算資料印刷料金」2009年版を利用
イ 印刷製本(項番2)
 会計課積算単価×部数(16,200部) なお、16,000部で会計課が見積した積算単価132円(税抜き)を利用
ウ 諸経費(項番3)
 印刷の製作においてかかる間接費用で、一般管理費、販売費等に対し、加工高に応じた比率を乗じて算出するもの
 積算:上記(ア+イ)×比率 諸経費率は「積算資料印刷料金」2011年版を利用
エ 広告料(項番4)
(ア)広告料については、次のとおり算出していた。
 ①「グラフぐんま」作成経費(表3、項番1、2、3及び5の計(広告料収入を含まない。))
 ②表2項番1で事前に徴取した(広告料収入を反映した)見積金額
 ③広告料算出額=①-②
 ④1ページ当たりの広告単価=③/最大広告掲載ページ(8ページ)
(ィ)表紙裏面、裏表紙等は、広告効果が高いことから、割増をしていた。
 表紙裏面、裏表紙裏面単価=上記④×20%(割増率)
 裏表紙単価=上記④×30%(割増率)
(ウ)平成23年度最大広告掲載ページ約16%を参考に、上記(イ)で計算した広告単価に基づき、広告料を積算していた。
オ 納入(項番5)
 納入箇所のうち、県庁を除く少量個別配送先への納入に係る経費
(ア)配送経費
 積算:ゆうメール運賃×配送部数
(イ)配送人件費(配布名簿により配送作業)
 積算:単価×時間
(ウ)封筒製作
 積算:作成費×配送部数 封筒単価については、市場単価を利用
(4)その他
ア 広告料収入を受託業者から報告させる義務は、掲載要綱、媒体要綱、掲載要領及び契約書の条項に、規定されていなかった。
イ 公開条例第11条に基づき平成24年4月11日付けで請求人鈴木庸氏からの公文書開示請求に対して、同月25日に公開条例第18条第1項及び第2項により、全部開示決定及び不存在決定を行い、同年5月10日に公文書開示決定通知書とともに、開示文書の写しを交付した。
ウ「楽楽楽(ららら)さいたま」については、さいたま市内の見所などを紹介する冊子であり、年2回の発行で20ページである。また、「楽楽楽(ららら)さいたま」の経費は、印刷のみであり、単価「62.35円(税込み)」となっていた。
4 関係人調査の結果
(1)群馬県政府調達苦情検討委員会について
 関係人(会計課)に確認したところ、本件契約に開する苦情申立てはなかったとの回答を得た。
(2)公文書開示手続について
 関係人(県民生活課)に確認したところ、非開示情報があると判断したならば、その部分については開示しない旨をその理由とともに開示請求者に示す必要があるとの回答を得た。
第8 監査委員の判断
1 予定価格積算について
 .以下のとおり、本件契約に係る予定価格積算については、違法又は不当な積算は認められない。
(1)広告料の積算について
 一般的に、広告掲載料金は、広告が掲載される雑誌などのジャンル、発行部数及び読者対象者などの広告媒体の要因、また景気動向などの経済的要因などにより、大きく変動すると考えられる。そのような状況の中で、広告料に関しては客観的な基準がないことから、広報課は、前記第7の2(3)で記載した方法により、受託業者1者から徴取した見積書から広告料を積算していた。
 広報課は、今年度に「グラフぐんま」の広告単価について、受託業者以外の広告代理店から見積書を徴取した。それによると、平成24年度契約で見積もった広告単価の方が高いことが確認された。
 また、表紙裏、裏表紙などの広告単価の割増率に開しては、広報課が調査した他の雑誌等の割増率と比較したところ、同程度であることが確認された。
 以上のことから、より適正な予定価格を求める上で、複数の業者から見積書を徴取することが望まれるが、広告料の算出方法は、不合理とは言えず、その算出額は、違法又は不当とは言えない。
(2)その他項目の積算について
ア 企画・編集・デザイン及び諸経費
 単価に関しては、「積算資料印刷料金」に掲載されている単価を利用している。
 企画料などの一郎単価については、2011年版に記載されていなかったことから、2009年版の単価を利用していたが、2011年版に記載されている類似項目の単価を参考にした上で、同単価を利用していることから、一定の合理性が認められる。
イ 印刷製本
 県庁各所属が予定価格10万円以上の印刷物を発注する場合は、会計課に対して物品購入を依頼することとされている。会計課では、その依頼に基づき、印刷物を発注する前に、一定のルールに基づき統一的に印刷製本の積算を行っている。
 本件契約に関しても、直接印刷物を発注する契約方法ではないが印刷物を発注する場合と同様に、広報課は会計課に印刷製本の見積依頼を行っていた。その見積結果の単価(1部132円(税抜き))を採用し、印刷部数16,200部に乗じて印刷製本部分を算出していることから、一定の合理性が認められる。
2 入札について
 以下のとおり、本件契約に係る入札手続については、違法又は不当な手続は認められない。
(1)入札方法・公告時期等について
 本件契約の予定価格が、特例政令第3条第1項に規定する総務大臣が定める額以上であるため、特例政令による手続を必要とする。
(2)入札及び公告について
 本件契約は、法第234条の規定に基づき、一般競争入札を採用している。特例政令の適用1咲けることから、財務規則第190条の4の規定により、入札前日から起算して45日前である平成24年2月10日に入札公告を行っていた。
 入札公告記載内容は、特例政令第6条、施行令第167条の6及び財務規貝|』第190条の4の規定により必要な事項等、また財務規則第190条の7の規定による郵便による入札についても記載しており、記載事項に不足はなかった。
(3)入札参加資格について
 施行令第167条の6第1項の規定に基づき、一般競争入札に参加する者に必要な資格等を定め、当該資格等に係る公告をしている。
 また、上記資格等に関する書類の提出を求め、当該書類の提出のあった2者に対し、財務規則第190条の6第1項に基づき審査を開始し、平成24年3月19日付けで入札参加資格確認通知書を送付している。
 なお、本件契約に係る入札は、法第234条第2項及び施行令第167条の規定により、資力、信用その他について適切と認める特定多数の者を指名し、その特定の参加者をして入札の方法により競争させる指名競争入札ではない。
(4)年度開始前手続について
 入札通知及び事務通知において、年度開始早々に契約を締結しなければ業務に支障を来す入札を対象に、執行伺い(内部意思決定)から入札・落札者の決定までの範囲について年度開始前に行うことができるものとしている。
 この通知に基づき、広報課は、平成24年3月13日付けで企画課長あてに、同年4月1日から業務が発生するという必要性から「年度開始前の入札執行等」に関する協議を行い、同年3月19日付けで企画課長から年度開始前の契約手続き(平成24年度)の承認を得ている。
(5)入札・開札について
 財務規則第175条第2項に基づく委任状の提出を受け、同条第1項に基づき入札日に入札書が提出されていた。
 法第234条の第3項の規定により、予定価格の制限の範囲内で最低の価格(県にとって最も有利な価格)をもって申込みをした者を契約の相手方とし、財務規則第179条第1項に基づき落札者に即日通知をしていた。
 なお、郵送による入札はなく、また、財務規則第176条の規定に基づく無効となる入札書は確認できなかった。
(6)落札者の公示について
 特例政令第11条及び財務規則第190条の10第1項に基づき、落札者を決定した日の翌日から起算して22日日の平成24年4月17日に、群馬県報へ登載して公示していた。
 また、公示しなければならない事項についても、同条第2項に基づき登載していた。
3 その他
 以下のとおり、次の事項について付記する。
(1)「楽楽楽(ららら)さいたま」との比較
 上記第7の2(1)ウのとおり、「楽楽楽(ららら)さいたま」と「グラフぐんま」の規格があまりにも異なっていることから、これを同列で比較することは妥当ではない。
 また、請求人は「90円程度で費用が賄える。」と主張しているが、90円の根拠を示していない。
(2)公文書開示について
 毎年ほぼ同様な印刷物である「グラフぐんま」の次年度の予定価格を容易に推察されてしまい公正な入札を行うことができないため、広報課は予定価格を非開示情報と判断している。
 よって、監査対象事項について、違法又は不当と言うべきものはなく、請求人の「本件契約の予定価格積算が適正にされておらず、入札も適正にされていない。そのことに伴い、本件契約が法第232条の3、第232条の4、第2条14号及び地方財政法第4条第1項に抵触している。」の主張には理由がないものとし、第1のとおり判断する。
第9 意見(法第199条第10項に基づく意見)
 本件監査請求に対する監査結果は上記のとおりであるが、法第199条第10項の規定に基づく監査委員の意見を次のとおり付する。
1「グラフぐんま」について
 県は、「グラフぐんま」を始めとした複数の広報紙を発行しているが、広報紙のあり方については引き続き県民から意見を聴くなどして、掲載内容や発行回数など県民ニーズに沿った紙面作りに努めることを望むものである。
2 情報開示について
 平成24年4月11日付けで請求人鈴木庸氏から請求のあった「毎月発行の「グラフぐんま」に関する公文書開示請求」に対し、広報課は、公開対象文書を特定し、開示決定を行った。
 特定した文書の中には、「予定価格調書」が含まれており、広報課は当該調書を公開条例第14条第6号ロに該当すると判断して、非開示情報としていた。非開示情報がある場合は、部分開示決定とすることが正しく、また、その際は「予定価格調書」を非開示情報と考える理由について、開示請求者が理解できるように、公開条例の該当規定とともに、付記する必要がある。
 広報課においては、県民との相互の信頼関係のため、非開示情報については、開示しない旨をその理由とともに示すなど、公開条例に基づき適正な情報公開を行うことを望むものである。

■監査委員の前で陳述した際には、埼玉県の町田市の「広報まちびと」を例にして、公募プロポーザル方式での広報誌編集、発行の事例を詳細に説明しましたが、監査結果にはまったく反映されていませんでした。

 町田市の場合には、「グラフぐんま」と同様に、広告料は委託先の業者のとり分となっていますが、A4判36ページで全頁フルカラー印刷となっており、しかも、年4回発行で市民に各回9万5000部ずつ無料配布しており、年間38万部発行していますが、制作・発行・配達込みで年間契約金額は税込みで800万円となっています。

 一方、「グラフ群馬」の場合には、A4判より若干サイズの大きな変形B4判ですが、40ページのうちカラーは28ページですので、町田市の「広報まちびと」と1部あたりのコストは大差ないと考えられます。しかも、発行部数は年間38万部であり、「グラフぐんま」の19万4400部の2倍となっています。

■いくら編集回数が年間4回発行の「広報まちびと」にくらべて、毎月発行している「グラフぐんま」の場合、3倍の制作・発行の手間がかかるといっても、町田市の800万円にくらべて3440万円というのはあまりにも高すぎます。しかも、どこの自治体でも、広報誌はすべてホームページからダウンロードできるのに、「グラフぐんま」は群馬県でも上毛新聞でもホームページから記事の内容をダウンロードできないようにしてあります。

 これほどまでに、懇切丁寧に他の自治体の事例を説明したにもかかわらず、群馬県監査委員4名は、まったく住民の陳述の内容を聞いていなかったことになります。おそらく16ページの監査結果も監査委員事務局の職員が、群馬県総務部広報課の担当者の言い分を聞きながら、書いたに違いありません。こんな無能な監査委員はやはり淘汰したほうがよいようです。

 また、群馬県広報課の職員には、県民の視線に立った読み手本意の面白い広報誌を自ら作りあげるという気概がみられません。業者に全部丸投げしたのでは、せっかくの行政情報が十分に県民に伝えられません。しかも、群馬県行政には勤務中もソフトボールに興じたり、アダルトAVをパソコンで鑑賞したりする余裕があるのですから、毎年6500万円もの費用をかけて上毛新聞につまらない広報誌を作ってもらうより、職員が自分でやれば、血税がそれだけ節約できるのです。


■もうひとつ解せないことは、群馬県が厳しい財政状況の中で、公共施設の維持管理費確保のための財源確保の手段としてネーミングライツ(施設命名権)制度を積極的にしているのに、「グラフぐんま」では、貴重な広告料の権利をみすみす上毛新聞に委ねて、しかもその広告料を確認さえしようとしないことです。いったいなぜなのでしょうか。

 群馬県は、これまでに4件の県有施設の命名権を企業に使わせて使用料を受け取っています。

◎敷島公園県営陸上競技場
 群馬県館林市に本社を置く醤油製造会社の正田醤油が年間700万円の3年契約で命名権を取得しており、2008年6月から「正田醤油スタジアム群馬」(略称「正田スタ」)の呼称を用いている。なお、2011年2月に契約を更新、期間は2011年3月から2014年2月末まで。
◎敷島公園野球場⇒上毛新聞敷島球場
群馬県は2008年10月20日、敷島公園野球場と群馬県民会館の愛称を対象として施設命名権を売却すると発表した。希望売却額は野球場が年間700万円、希望契約期間は5年間とし、同年10月21日から12月19日までの2か月間、売却先の募集を行った。
その結果、敷島球場の命名権取得を申し込んだのは上毛新聞社1社のみで、同社が提示した希望額は年間500万円の2年間契約であった。2009年1月15日、弁護士ら7人から成る県の選定委員会は全会一致で同社を売却先に決定し、これを受けて県は同年4月1日から施設の愛称を「上毛新聞敷島球場」とすることを発表した
◎群馬県民会館⇒ベイシア文化ホール
 2009年度から命名権(ネーミングライツ)が導入されることになり、2008年10月20日、群馬県は敷島公園野球場と群馬県民会館の愛称を対象として施設命名権を売却すると発表した。希望売却額は県民会館が年間1000万円、希望契約期間は5年間とし、同年10月21日から12月19日までの2か月間、売却先の募集を行った結果、市内を本社とするスーパーマーケットベイシアが5年間、5000万円で取得し、ホール名も『ベイシア文化ホール』となった
◎群馬総合スポーツセンターぐんまアリーナ⇒ALSOKぐんまアリーナ
 群馬県は、2010年5月から募集していた群馬県総合スポーツセンターぐんまアリーナの命名権に群馬総合ガードシステム株式会社(前橋市)の1社から応募があり、2010年9月にスポンサーに決定したことを発表した。契約金額は年700万円、11月1日~5年間の契約となった。県は、県内企業にDMを送付するなど活動を行い決定まで至っており、正田醤油スタジアム群馬、上毛新聞敷島球場、ベイシア文化ホールに続き、4か所目の導入となった。

 上記を見てみると上毛新聞が敷島公園野球場を年間500万円で命名権を買っていますが、群馬県は「グラフぐんま」の編集・制作・発行で、それをはるかに上回る3000万円以上の広告料の権利を上毛新聞に渡しているのです。誠に不可思議な構図としか言いようがありません。

■いずれにしても、このままほうっておくことはできません。せめて、血税で賄って作られた成果品である広報誌をホームページから、県民が無料でダウンロードできるようにするためにも、これまで血税を使いながら、成果品を県民に無料配布することを怠ってきた群馬県を相手取り住民訴訟を起こす必要がありそうです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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